他店購入の眼鏡の調整は気軽にお願いしていいもの?眼鏡屋側の心情はこんな感じ

眼鏡は使っているとテンプルが広がってずり落ちやすくなったり、どこかにぶつけたり踏んづけたりして曲がってしまうこともしばしば。
こんなときは眼鏡屋に調整に持っていけばいいのですが、いつでも買った場所に持って行けるとは限りません。なので気になるのは、他のお店で購入したフレームの調整も受け付けてくれるかということですね。

 

やってくれそうな気はするけれど、いくらかかるか分からないし、無料でも何となく気が引けるし…。

なんて人もいると思うので、他店購入の眼鏡を持ち込まれた時、眼鏡屋がどんな対応をしているのかを説明していきましょう。
フレームの状態によって対応は結構違ってくるのですが、その際の店員側の心情(※個人差があります!)もお教えしますので、持ち込みの参考にしてください。

 

他店購入の眼鏡でも調整は全然OK

まず基本的な話として、他店で購入した眼鏡の調整のお願いすることは全く問題ありません。
もしかすると調整が難しい状態だったりすると断られる可能性も無くはないのですが、ほとんどのお店で快く引き受けてくれるはずです。なので調整のお願いをすること自体は遠慮なくして頂いて大丈夫です。

破損の危険性は?

よほど酷く曲がっているとかでもない限り、調整で破損する確率はかなり低いです。他店購入のものだとしても、眼鏡屋が見ればフレームのおおよその状態はつかめますからそれに対応した調整をしっかり施してくれるはず。

ただし調整を引き受ける際には、どのお店でも定型句のように「万が一調整中に破損をさせてしまっても保障できかねますが、それでもよろしいですか?」というセリフを聞くことになると思います。そんなことを言われても困ってしまうかもしれませんが、店員側としても中々難しい事情があるのです。

眼鏡は何十(ものによっては何百)という細かなパーツを組み合わせて作られています。
眼鏡の調整の多くは【曲がってしまったパーツを元の位置に戻す】作業に他なりませんが、この時に繊細に組み合わされたパーツのどこかが破損してしまう可能性を完全に排除するのは残念ながら不可能と言えます。

よく「壊れない範囲でいいからやってくれ」と仰る方がいますが、ハッキリ言ってその”壊れない範囲”というのは外から見て確実に判断できるものではないんですね。
私達は経験則から、まあこれならいけるだろうと調整に踏み切ります。しかしもしかすると既に見えない位置の接着が剥がれかけていたり、内側にヒビが入っていたりして調整することでトドメをさしてしまう危険性は常にあるため、どのお店も最初にことわりを入れることになっているわけです。

素材によって難易度が変わる

フレーム自体の素材でも、調整のしやすさはかなり変化します。

通常のセルやメタルなら問題は大してないのですが、べっ甲や金18、木製などは高額なことも相俟って調整がかなり難しい部類。というかその辺はおそらく調整を断られてしまうんじゃないでしょうか。お店のホームページには大体受け付けられないフレームの種類が載っているので確認してみると良いでしょう。

基本的に、そのお店で販売されていないフレームの持ち込みだとどんな素材が使われているかがわからないため取り扱いに慎重にならざるをえません。
熱をかなり加えないと調整が困難なフレームもあれば、下手に熱するとぐにゃんと変形したり塗装が剥がれ始めたりするフレームも存在するのでかなり厄介なのです。

料金はどれくらい?すぐ終わる?

ほとんどの場合、調整は無料で済みます。

曲げたりバランスを整えたり取れたネジを新しく取り付けたりくらいならば料金がかかることはないでしょう。すんなり行けば数分以内で終わりますし、よほどひどいガタツキのものでもせいぜい30分あれば形にすることは可能です。

しかし、調整ではなく修理の範疇に入ってしまったならこの限りではありません。
既にダメージが深かったり調整で壊れてしまったなんてことになったら、ロウ付けやパーツ交換で数千円から費用がかかる可能性はあります。時間も数日から1週間前後フレームを預からなければならないでしょう。また、他店フレームではパーツの取り寄せが難しいことも覚えておいてください。

JINS、Zoffはお断りされる可能性が高い

ほとんどのお店で持ち込み調整OKと書きましたが、JINSとZoffは注意が必要です。
オリジナルの自社ブランドフレームが大勢を占めているこの2社は、リスクヘッジの観点からよそのフレームの持ち込みをお断りしているようです。

ただ支店によって判断は異なるようなので、運が良ければ対応してくれる可能性もあります。どうしても近くにその2店舗しかないならまずTELで確認してみることをオススメします。

 

他の眼鏡フレームが持ち込まれて店員が思うこと

通常調整の範囲なら特に気にしない

眼鏡が落ちる、前から見て傾いている気がする、耳が痛い、思いっきり踏んづけた、転んだ後どうも見え方がおかしくなった…。実にバリエーション豊かな理由で調整願いのお客さんが眼鏡屋には日々訪れます。

しかし店員側も慣れたもので、1日に何件も(多ければ10件以上)調整は行う機会があるために他店フレームを持ち込まれても基本的には大して気にならないのが実際のところです。
皆さんすごい申し訳なさそうに「ここで買った眼鏡じゃないんですけど…」とお持ちになりますが、ほとんどの場合問題になることは少ないため、本当に遠慮はしないで下さいね。

全ては眼鏡の状態を見てからです。
調整が難しい時は難しいとちゃんとお伝えするので相談はお気軽にどうぞ!

ゆがみが大きいとかなり怖い

とはいったものの、歪みがあまりにも酷いフレームの場合は話が別
既にかなり強い力がかかっている状態なので、破損リスクが跳ね上がります。このままでは使い物にならないでしょうから何とかしてあげたいんですけど、このレベルのフレームを調整するときは私達にも覚悟が必要になります。持ち込み品はボキッとやってしまった時のフォローをしにくいですからなおさらですね。

私の場合だと、普段は破損確率1000分の1くらいと考えるところをぶっ飛んだ曲がり方をしているフレームは50分の1くらいだな!って思いながらやるイメージ。
いくら事前に破損の危険性を説明したとしても、やっぱり壊してしまった時の気まずさは半端ないですから、いかに怖々調整する羽目になるかが伝わるのではないでしょうか。

経年劣化したフレームは眼鏡屋泣かせ

もうひとつ危険なのは経年劣化したフレーム。

眼鏡は長く使用していると、錆びたり金属疲労を起こしたりして脆くなっていきます。
これがまた厄介で、一目見ただけでは劣化具合が分からないことも多いため、眼鏡屋にとってはフレームのあちこちに地雷が埋まっているようなもの。自分のお店の販売品ならいつ売ったかがわかるのでおおよそのリスクを想像できるのですが、他店のものだとそうはいきません。大丈夫だろうといじったらやらかした経験、眼鏡屋店員なら誰もが経験あるのでは?

あと、運が悪いと持ち込まれた時点ですでに破損済みの場合すら有り得るのも調整の恐ろしいところ。
外からは見えなくてもテンプルとフロントを繋いでいるネジが錆びていて中ほどからぽきっと折れていたりするのですが、お客さんから見ると最初から折れていたのか調整で折れたのかなんて分からないですからどう話したものかと非常に悩むことになります。

滅多にないパターンとはいえ、他店購入の眼鏡はリスキーな面があると言えるでしょう。

珍しいものはちょっとビビる

あと気後れしてしまうものとしては、
高級品
聞いたこともないブランド
珍しい形状のフレーム
です。

当然壊してしまった時の額面を想像してビビるわけですが、ほぼ一点物みたいなデザインをしているフレームは破損させてしまったら一巻の終わり。パーツなんてどこで探せばいいやらだし、特にこういった眼鏡は強いこだわりでかけている人が多く、また思い出の品であったりもします。

形状が特殊な場合も難易度が高いです。
ごてごてしたり変なとこが尖ったりして単純に調整がしづらいものが多く、ちょいと器具で触っただけで塗装が剥がれたり、ネジすら日本ではあまり使われないような規格で代わりが見つからないとか、挙げたらキリがありません。

なのでこのグループは一番調整したくないタイプのフレームと言えるかもしれません。補償のしようがなさすぎるので調整は難しいです、とお答えすることがあるかもしれませんがその時は勘弁してくださいね。

 

まとめ

さて今回色々と眼鏡屋側の事情を書いてきました。繰り返しますが、結論としては調整の持ち込みは他店購入だとしても気にせず持ってきていただいてOKです。

何度も破損の危険性をお伝えしてはいますが、実際問題として本当に壊してしまうのはレアケースとなります。なのでそうそう困ったことになるわけではないので心配ご無用。
調子の悪いフレームを放置する方が良くないですから、眼鏡屋を見つけたら遠慮なく持って行っちゃいましょう。