見えてるようで見えてない!?いつの間にか起こる視力低下に注意報!

眼鏡屋さんには日々目についての相談が持ち込まれるわけですが、よく思うのは「自分では目の変化になかなか気付けない」という点です。

客観的に見ると明らかな異常が出ているのに、本人はそれを気にも留めていない。指摘されて初めて、検査をして数値として出てきてようやく状態の悪化を自覚することがよくあります。
あるいは何となくの違和感や見えづらさは感じているけれど、そこまで悪かったとは思いもしなかったというのもよくある話。

実はこれって結構危ないことだったりするんです。
なにせ本人は出来ていると思っているその行動の精度がいつの間にか下がっているのですから。

ちなみにこの原因は色々です。水晶体の変化で屈折異常が起きていたり角膜や神経が上手く機能していなかったりなどが考えられますが、それらを個別に考えるのは別の記事に譲りましょう。

このページでは、気付かぬうちに進行する視力低下が引き起こす事例と、異常をなるべく早く発見するためのポイントを解説しています。
目の変化は最悪の場合大きな事故を引き起こす可能性があるので、ぜひ定期的にご自分の目をチェックする機会を作ってあげてください。

 

徐々に進む視力低下は気付けない

一部ぼやける景色

皆さんアハ体験って覚えてますか?

うーむ懐かしい…。いつやっていた番組だかもう忘れてしまいましたが、1枚の写真の一部が徐々に変化していくのでそれはどこか当てましょうというアレですね。
あの問題でわかる通り、少しずつ起こる変化というのは実に気付きづらいものです。最初と最後をパッと切り替えれば一目瞭然なのに、僅かずつ変えるだけで発見の難易度がぐんと上がっていました。

そしてこれと同じことが視力低下についても言えるでしょう。
特に目に自信を持っている方に顕著なのですが、実際に明らかな不便を感じるまでは『自分は見えている』と思い込んでしまうのです。遠くを見る時でも近くを眺める時でも同じで、多少の見にくさは目の調節能力を強引に活用してカバーしてしまうので、いつまでも実は見えてないことに気付けない人が多いです。

そうして過ごしているうち、ある日いつも見れていた特定の一点が見えなくなってようやく自覚をする―――ついでに言うとさらにここから重い腰を上げて眼科や眼鏡屋さんに来るのにも時間がかかるのですが。

では発見の遅れがどんなことに繋がるのか。
私が目にしてきた具体的な事例を紹介しましょう。

 

気付かないまま過ごすと何が起こるか

見づらさ=目の疲れ

目のせいで全部疲れる

最初にシンプルな話をすると、見づらいのに気づかないということは目に余計な負荷をかけ続けていることに相違ありません。
例えば見たい距離、見たい対象に対してちょうど良くピントが合うように調整した眼鏡をかけていると目はすごく楽に過ごせます。しかし度が変わったことに気付かずに矯正の修正を行わないままだと、目は見づらいものを頑張ってみようとして常に緊張を強いられてしまうのです。

これが目に良いわけはありませんよね。眼精疲労が抜けきらない人によくある状況です。

 

仕事のトラブル

仕事のトラブル

「仕事がクビになりそうなので眼鏡を作ってください」

·····?!

開口一番そんな相談を口にした方が以前来店されたことがあります。
聞くと機械の部品のピッキング・点検作業を長年されている方で、そこで見付けるべき不良品の見落としが最近多くなってしまい、上司に強く注意されてしまったという話でした。

この方は作業中に以前作った老眼鏡を使っていたのですが、どうやら老眼の度が進行したことに気付かないまま同じ眼鏡を使っていたようなのです。かなり細かいキズなどを見つけなければいけない仕事らしく、だんだん見えなくなっていったそのキズを本人は異状なしと勘違い。とうとう現場で問題にされるに至ったという訳。

傍から聞くと自分で気付きそうなものですが、『今までずっとこの眼鏡で問題なく見えていた』という意識が自覚の遅れを引き起こしたと言えるでしょう。

新たに老眼鏡を作り直したこの方の、私ってこんなに見えてなかったんだ…という呟きが印象的でした。

 

交通事故

交通事故

仕事と並んで気をつけなければいけないのが運転です。

運転免許の更新は3~5年ですが、これは自然に視力が落ちるのに十分な時間です。年齢にもよりますが、若い方は特に半年~1年位で一気に落ちることもあるので要注意。
気付いたら安全に運転できるラインをとっくにわってしまっていたなんてことが有り得ます。

ここで気にしておきたいのは、更新時に不合格とされる視力でも普段の運転では不便を感じにくいということ。
いつも車で行動するコースが決まっていると、曲がる場所や脇道の配置、人が飛び出してきやすい物陰などの情報を記憶してしまっているので、目から入る情報の重要性を脳が下げてしまうのです。多少見えなくてもなんら不都合がないのであれば、あなた自身が見えづらさを認識するのは難しいかもしれません。

合格ラインは両目0.7ですが、それより下の0.5、下手をすると0.4や0.3でも不都合なく車に乗ってしまえる場合があることに留意して下さい。しかし見えると思っていても、その視力では実際の危険を発見するのに確実に支障が出ます。
毎度厄介な免許更新の視力検査ですが、あの視力は伊達に設定されているわけではないということですね。

 

病気のサインを見落とす

目に見えぬ不調

目が見えにくくなる原因は屈折異常や眼精疲労だけではありません。

例えば角膜が濁ることで視力の悪化を招き放置すると失明につながる白内障をはじめ、糖尿病性網膜症、網膜色素変性症、網膜剥離などの角膜症状。
あるいは目と脳をつなぐ神経のトラブルで視能力が下がっていく神経炎、虚血性視神経症、最悪の場合は脳腫瘍などの重大な病気。

これらはある日突然ブツンと発生する場合もあれば、長い時間をかけて本人に気づかないような症状がゆっくり進行していくこともあります。徐々に見づらさが増していく、視野が欠けていく、瞼の動きが制限されていくなどの症状がゆっくり進んでいったなら、意識しなければ気づくのは難しいでしょう。

 

視力低下を発見する手がかり

手がかりのピース

ではこの視力の悪化を見つけ出すにはどんな要素で考えてみれば良いでしょうか。
カギは、前と比べて何気なく変わっている状態を発見することです。少し自分を俯瞰的に見ながら探してみましょう。

 

鏡に近づいている

風呂上がりやお出かけ前の身嗜みに不可欠な鏡。髪や肌の状態を見ようとする時、段々と鏡に近く寄って行ったりはしてないですか?
鏡に対する立ち位置が変わっていないか、身を乗り出すようにして見ていないか要チェック。

 

しかめっ面してると言われる

ものが見づらい時に目を細めると少し見えるようになりますよね。
あれは屈折率を司る水晶体を外部から圧迫して無理やりピントを合わせているのですが、視力が落ちてきた人は無意識に目を細める回数が増えていきます。
傍から見てしかめっ面や眉間に皺が寄っていると思われていたらそれが原因かも。

 

眩しく感じることが増えた

昼間の太陽や、車のヘッドライトが以前より眩しく思うことはないでしょうか。
主に白内障など角膜に異常がある時に見られる現象で、濁りや微細なキズがついた角膜に光が乱反射して眩しく感じることが増えていきます。
当然景色が見づらいので、視力としても悪化していると言わざるを得ません。

 

遠くと近くを切り替えてみる

まず少し遠くの景色(室内で少し離れた位置の時計やカレンダーでもいいです)を眺めた後に、パッと手元に視線を移してみましょう。
そこで本なりスマホなりの文字がハッキリ見えるのに何秒かかりましたか?老眼がないうちは、このピント合わせに1秒もかかりせん。ほとんど瞬間的にピントは合います。
しかし1秒~2秒以上かかる様なら、老眼の進行が始まっている可能性は高いです。あちこち視線を瞬間的に動かす仕事や運転などで思わぬ影響があるかもしれません。

 

本を読まなくなった

最近本を読む時間が減ったという人も少し注意です。
単純に面白い本がないとか時間が取れないとかならいいのですが、目の調節力が落ちて自覚の薄い範疇で本の文字が読みづらくなっている可能性もあります。

 

片目ずつ瞑ってみる

意外と鬼門なのが、片目だけ視力が落ちているパターン。
人間は基本両目でものを見るので、片方が何らかの原因で見えにくくなっていてももう片方がカバーしてしまえるせいでそれに気づかない事が多いのです。
結果片側の視野が狭くなっていたり立体視に影響が出て距離感が掴みにくくなっている場合があります。

色々な距離を片目ずつ交互に見て、見え方ぼやけ方に差が発生していないか定期的に調べることをオススメします。

 

最大の予防は検査だ

いつの間にか見えなくなっていたという話は脳と密接に関わりがあるように思います。

目が捉えた映像は神経を通って脳が受け取ることで、初めて「見える」という結果に繋がります。なので仮に見え方が悪くても、脳が『そのままだと生活しづらいからうまいこと編集しておくわー』と視界にフィルターをかけると私達は自分ではその部分に気付けないのです。
こうして一見不都合がないように修正された視界ですが、見えていないことに代わりはないので記事で挙げたようなトラブルが発生するのでしょう。

こうした文字通り目に見えない異常を発見するには、客観的な調査が必要になります。

すなわち眼科での診断。もしくは、眼鏡屋での視力検査です。
ただの眼球の屈折変化ではない、普通と少し違う違和感を検査をしている人なら捉えられる可能性があります。現在何の不便も感じていない人でも、自身でのセルフチェックと合わせてたまには目の状態を調べに行くのが良いかもしれませんね。