遠近両用は眼鏡とコンタクトどっちが良い?使い方を知って最適なレンズを選ぼう

・今まで眼鏡やコンタクトをずっと使ってきたけど、最近近くが見づらくなってきた
・遠くは問題ないけれど新聞を読む時に困る
・老眼鏡はかけ外しが面倒であまり使いたくない
・昔遠近を試してダメだったけど、最近は随分レンズが良くなったと聞いた

そんな人はぜひ遠近両用の矯正を考えてみましょう。
うまく使えるようになれば以前と近い見え方を再現でき、快適な生活を取り戻すことが出来ます。

では遠近両用を検討するとして、眼鏡とコンタクトのどちらを作ってみるのが良いでしょう。

この記事ではその2つの使い方や見え方や作り方の違いと、それぞれの持つメリットや注意しなければいけない点をご説明しています。
違いをキッチリ把握しておけば、作った後でこんなはずじゃなかったのにー!と後悔することを防ぐことが出来ますので、あなたの目的と照らし合わせて読み進めてみて下さい。

 

そもそも設計がまるで違う

機械をいじるカエル

まず遠近両用と銘打ってはいますが、どうやって遠用と近用を使い分けているのか、馴染みがないとイメージできないと思います。
最初にそれぞれの設計とどのように利用すれば良いのかを確認して下さい。

 

眼鏡
遠近両用メガネには2種類あって、こちらは累進多焦点と呼ばれるもの。
1枚のレンズに2つの度数が入っています。
図のように上部に遠くを見る用の度数が、下部に近くを見る用の度数が入っていて、その度数がグラデーションのように徐々に変化していくことで1枚のレンズを形成しているのです。
設計上、周辺部分(メガネイラストの灰色部分)に歪みが発生してしまい、その部分で見ようとすると景色がぼやけてしまいます。
室内写真の両側にあるソファがぼやけてよく見えなくなってしまっていますよね。
なので見える部分と見えない部分を意識する必要があります。
遠くを見る時はやや顎を引いて上目で、近くを見る時は逆に顎を持ち上げて下半分のレンズを使うように見るという使い方をします

 

もう1つが二重焦点(バイフォーカル)と呼ばれるもので、図のように遠く部分と近く部分が線によってくっきりと区分けされています。
歪みなどは発生しませんが傍から見て明らかに近用レンズのポケット部分が分かるので、デザインとしては気になる部分です。

 

コンタクトレンズ
遠近コンタクト同時視タイプ遠近両用コンタクト(同時視タイプ) 出典:新宿東口眼科医院
遠近両用コンタクトにはピントの合わせ方が2種類あります。
こちらの同時視タイプは、黒目に当たる部分の中に遠用と近用の両方が含まれている設計。
つまり最初から遠くが見える状態と近くが見える状態が重なるように存在しているのです。
かなり不思議なことになっていますよね。書いていて私もそう思います。
使い方は意識して行うことは何もなく、ただ手元を見ようとするだけでじわーーっと近くにピントが合ってきます。逆に手元を見た後に遠くを見ようとすると、やはり少し間をおいて遠くにピントが合わさるわけです。
どうしてこうなるかというと、脳は今あなたが見ようとしている景色だけを抽出して見せてくれるのです。見なくても良い部分は意識の外に追い出してしまうわけですね
使い捨てを含め、ほとんどのソフトレンズがこちらに当たります。
遠近コンタクト交代視タイプ遠近両用コンタクト(交代視タイプ) 出典:新宿東口眼科医院
もうひとつは交代視タイプと呼ばれるもの。
こちらは同時視とは逆で、真ん中が遠用レンズとなっています。
使い方のイメージとしては先ほどの遠近両用メガネに近いでしょうか。
まっすぐものを見る時は遠くがよく見える状態です。近用度数を利用したい場合は、上目や下目でレンズ周辺部を見るようにします。
自分で意識して見る位置を調整する必要があります
ハードコンタクトレンズはこちらの設計が使われています。

眼鏡とコンタクトそれぞれのメリット・デメリット

眼鏡

メリット デメリット
・レンズが大きいので近用が活用しやすい

・レンズ作成時にどちら重視か細かく指定できる

・視力が確保しやすい

・度数の範囲が広く、強い乱視などもカバーできる

・視野が狭くなる(良いレンズにすれば軽減可)

・足元が迫ってくるような感覚に襲われて、階段が降りづらいといった状態が発生する

・レンズ内にゆがむような反射があるので、遠近レンズ使用とわかる場合がある

・使用にコツがいるので、慣れるまで時間がかかる

遠近両用メガネは処方度数の他にも、普段かけているときのアイポイントはどのあたりかとか、どれくらいの位置から近く用の度数を入れていくか等、単焦点に比べて決定することが多くあります。

それはつまり、作る際にある程度見え方のコントロールが可能だということです。
眼鏡屋さんが詳しくお話を聞いて、生活に合ったタイプのレンズを入れるようにしてくれるはずです。

この部分が上手く調整できないと、思ったより見え方が悪くなったり、足元が見づらくて歩くのが怖いなどといった状態が発生します。

 

コンタクト

メリットデメリット
・視野が広い

・フレームがないので圧迫感がなく快適

・近用度を使う時いちいち首を傾けなくて良い

・遠近を使っているとばれない
・レンズが目の中で動くので視力が安定しない

・乱視の矯正が苦手

・乾いたり汚れたりすると見えにくくなる


・加入度数の種類が少ない

コンタクトは、そのレンズが自分に合ってさえいればとにかく気を使わなくていいのがメリットです。
メガネであれば多少使うときにコツを掴む必要がありますが、ソフトコンタクトであれば脳が勝手に見え方の補助を行ってくれるのでその辺りを気にする必要がありません。

その分、頭が慣れてくれなければいつまでも見づらさは解消されないかもしれません。
そしてつけている際の疲労も通常のコンタクトより大きいと感じる人が多いようです。

実際に作るまでの流れ

 遠近両用メガネ 

STEP1:眼科or眼鏡屋で度数を計測する(通常の単焦点よりやや時間がかかります)


STEP2:フレームを選ぶ(遠近はある程度上下の幅が大きいほうが使いやすいです)


STEP3:レンズを選ぶ(レンズのグレードで視野の広さが決まるので、慎重に相談をして下さい)


STEP4:遠くと近くのどちらを重視するかを聞き取りながら、レンズのどのあたりから度数が変化していくかを決める(眼鏡屋さんがやる作業です)


STEP5:購入

 

 遠近両用コンタクト

STEP1:眼科で度数を計測する(眼鏡屋では測れません)


STEP2:BC=ベースカーブを計測する(眼球の曲がり具合のこと)


STEP3:あなたのBCに合った商品を選んで、テストレンズを装着してみる


STEP4:遠・近それぞれ見え方が問題なければ、処方箋を発行


STEP5:購入

 

作成時間と費用

メガネの場合、検査を含めて一時間位は余裕があると助かります。
特にレンズに関しては決めることがたくさんあるので、なるべくお客様の使用目的と環境を詳しく聞き取りたいからです。

それが決まったあとレンズの発注をしますが、遠近両用レンズは全て特注レンズとなるので、完成まで大体1週間~10日くらいと思っておいて下さい。

価格は安ければフレーム込みで1万円を切ります
しかし遠近両用メガネのレンズは、グレードの高さ(=価格)で見え方や視野に大きな差が出ます
これは遠近の使いやすさに直結する話なので、特に遠近が初めての方はある程度質の良いレンズを選ぶのがオススメです。
フレーム価格+1~2万でそれなりに満足するメガネになるはずです。

 

コンタクトの場合は、メガネほど手間はかかりません。
通常のコンタクトの計測に+10分程度で済んでしまいます。
ただ遠近用のコンタクトを出しているメーカーは多くないので、現在お使いのパッケージとは異なる製品を選ばなければいけなくなるかもしれません

処方箋さえ出てしまえば、通常と同じように販売店でレンズを購入するだけです。

遠近コンタクトは在庫してある数が少ないので、取り寄せになる可能性が高いことは覚えておいて下さい。
基本は翌日店に届くようになっていますが、休日を挟んだりすると3日程度かかる場合もあるので購入の際はお早めに来店して下さい。

価格は1dayなら1ヶ月¥6000~¥9000、2weekなら3ヶ月¥5500~¥10000あたりが相場でしょうか。
ハードレンズであれば大体2枚で¥20000くらい、モノによっては¥40000を超える商品もあります。

 

こんな人はどっちを選ぶべき?

本を遠近で読もうとする人
最近少し近くが見えづらい。遠近入門はどっちがいい?

どちらでも問題はないかと思います。

ただし、最初は低めの加入度数にしておいてください。
遠近は加入が強い=上下の度数差が大きいと、視野が狭くなり使っていて疲れるメガネになりやすい傾向があります。
よって最初はメガネならば+1.00から+1.50あたり、コンタクトならプラス0.75~1.25あたりの加入のある製品を選ぶのが良いかと思います。

 

どちらかはちゃんと見えないと困る

遠近両用とは両方ともよく見えるということではなくどちらもある程度妥協してほどほどに見えるだけということは、ご説明いたしました。

しかし遠近のメガネなら、近く用の視力を少し落とすことでその分遠くをクリアに見せるという方法が取れます
逆に手元をばっちり見えるように調整することも可能です。

特に遠近コンタクトは遠くの視力が出づらいので、この場合は遠近両用メガネを試してみるのが良いでしょう。

 

まとめ

遠近両用のレンズは遠くと近くのバランスをどう取るかが最も重要です。
どちらも100%を目指すことはせず、許容できる範囲内で一番使いやすいレンズはどこかを探っていくのがベストな方法になるかと思います。

自分は何を最も重視しているのかで必要なレンズが大きく変わってきますので、ゆっくり時間を取って専門家に相談してみて下さい。