眼鏡が壊れてフレーム交換が必要になるのはどんな時?交換と修理の使い分けをチェックしておこう

うっかり眼鏡を踏んで壊してしまった!

レンズは無事そうだけど、これってフレームを交換しなければいけないの?

 

普段から使っている大事な眼鏡を壊してしまったら焦りますよね。
この破損は修理で済むのか、はたまたフレームの交換が必要なってしまうのか、すぐには判断できないと思います。

 

この記事はそんな緊急事態に陥ってしまった方にオススメの情報をまとめています。

  1. フレームが壊れた時の対処法
  2. フレームの修理もしくは交換をするのはどんなパターン?
  3. 交換するのと新しく眼鏡一式で買い替えるのはどっちが安い?
  4. フレーム交換(枠替え)のメリットデメリット
  5. 保証を活かせるのはどんな時?

 

フレームが壊れてしまったら、慌てずにまず眼鏡の状態を確認して、お店でどのように対応してもらうか考えていきましょう。

眼鏡のフレームが壊れたらまずはどうする?

眼鏡は皆さんが思う以上にデリケートな製品です。
頑丈そうなフレームでも、一定以上の力がかかればあっさり折れることがありますし、軟性を謳っていて曲がりに強い素材でもパーツの接合部は脆いことがほとんど。

落としたり踏んだりかけたまま寝落ちしたり、子供に曲げちゃいけない方向にぎゃーんとやられてしまったら壊れてしまう可能性は大いに考えられますよね。

そんなふうに眼鏡フレームが損壊してしまった時、眼鏡屋さんでは次のような対処法があります。

修理する

まず真っ先に考えるのがコレ。

修理と言っても色々あって、後述しますがその場でカンタンに曲げ戻しをすれば済む場合や、店にストックのある汎用部品を取り替えてハイ終わりとなることもあります。

しかし酷い破損になると店では対応できないので、自社工場やメーカーに回しすことになりますが、時間や費用がそれなりにかかることに注意しましょう。
特にメーカー修理は1万円以上、2~3週間かかることもザラです。

注意点としては、どんな修理でも殆どの場合もともとの状態より強度が落ちてしまうことは留意しておいて下さい。一見キレイに直っていても、同じような負荷をかけ続けたなら最初の破損よりもっと早く同じ壊れ方をしてしまうでしょう。

パーツを交換する

眼鏡は分解するといくつかのパーツに分けることが可能。
つまり一部が壊れたとしても、他が無事ならば壊れた部分だけ交換するという手段が取れます。価格は交換部位によって変わり、フロント交換ならまるまる1本全部の値段の1/2、テンプル片方なら1/4などの費用で済むこともあるのでリーズナブル。

ただし交換部分と元の部分の状態に差が出ることは有り得ます。バフ研磨面の剥がれが目立ってきたり、サビ・色落ちが激しいと結構見た目の違和感が出てくる場合があるので、状況によってはまとめて交換するほうがいいかもしれません。

丸ごとフレームを交換する

レンズが無事であればそれを活かしてフレームだけ交換する方法もアリです。
修理が難しい破損だったり高額になってしまう時、パーツが廃版で入手困難、もしくは心機一転新しいフレームを使いたいなどといった際は、フレームの丸ごと交換を検討してみましょう。

ちなみに全く同じ型(形が同じなら色違いでもOK)でもいい場合、在庫があるならそっくりそのままレンズを入れ替えるだけでカンタンに事が済みます。再加工料(1000~2000円くらい)などもかからずフレーム単体の値段だけで済みますし、早ければ1分もかからず交換できるのでまずは在庫が残っているかお店に確認してみましょう。フレーム自体の個体差で微妙に入りづらい時もありますが(ウルテムやTR90素材なんかはやりづらい)、少し時間を貰えれば手摺りで微調整してはめ込むことは可能なのでご安心を。

別のフレームに入れる時は、新しいフレームの形に合わせて今まで使っていたレンズを削り直して入れる枠替えという形を取ります。なので新しいフレームは、もともとのフレームのレンズの枠よりタテヨコナナメともに一回り小さいサイズである必要があります。おおよそ2mm前後小さければ枠替え可能な可能性が高いので、最初の目安としてフレームや値札に記されているレンズ幅の数字を参考にしてみて下さい。
例えば【54□17 140】であれば□の前の54という数字がレンズの横幅になります。

ですが形が大きく違うと小さくても案外変なところがはみ出してうまく入り切らないので、店員さんに一緒に探してもらうほうが良いでしょう。

フレームとレンズ一式で買い替える

上記の条件が悉くうまく活用できない場合は、もはやフレームとレンズを丸ごと買い替えてしまうのをオススメします。

正直最近はフレームとレンズのセット販売が基本でかつ価格が安く抑えられているので、下手にレンズを再利用するより改めて買い直したほうが手っ取り早いというがその理由。新しいレンズも今までと全く同じ度数を入れて作ってもらえばいいだけですし、古いレンズにはどうしても細かなキズがついてしまうので、同じ度数でも見え方が多少なりスッキリするのもメリットでしょう。

修理?交換?壊れ方で変わる対処法

テンプル、クリングス、鼻パッドにリム枠。
眼鏡が壊れたと言ってもその箇所や壊れ方は様々です。

その故障の程度や眼鏡自体の素材によって、また眼鏡を使えるようにするために取るべき対処法は変化します。
危惧していたより安価に収まることもあるので、大体どれくらいの手間と費用が相場なのかを紹介していきます。

カンタンな調整・修理で済む(無料or数百円~)

①レンズが外れた
意外かもしれませんが、眼鏡のレンズは結構あっさり外れてしまうもの。
なので、レンズが外れたからといってフレームのどこかが壊れたとは限りません。大概はうまい具合に力がかかったか、枠を留めているネジが緩んだだけということが多いです。
パチンと外れたならパチンとはめ込むだけなので、当然無料数秒~1分以内に終わるので超簡単ですね!

②テンプルが広がった
眼鏡のかけ外しを繰り返すとテンプル(耳にかかる部分)が徐々に広がってくることがあります。転んだりして眼鏡をぶつけてしまったとか、子供やペットに力いっぱい広げられてしまったなどの理由でなることも。
ひどいとかけたときにゆるゆるで非常に困るテンプルの広がりですが、有料修理となることはほとんどありません
大抵はテンプルやモダンを曲げてかかりを強くしたり、智元を器具で曲げ戻したりして対処します。その場ですぐできるフィッティングの範疇であるとも言えます。
しかしそこから明らかに逸脱するほど縦横にすさまじい曲がり方をしている時は、戻す途中で折れたりロウ離れになる危険が高いので、調整を断られたり買い直す形になったりする可能性があります。

③ネジを紛失した
使用中にどんどんネジが緩んでいってある日ぽろっと取れてしまった場合。
これは無料ですぐに新しいネジを留め直してくれるので安心して下さい。
取れてしまったネジ以外のパーツは失くさないよう大事に持っていきましょう。

④鼻パッドが取れた
鼻パッドの先端、鼻に接地するプラスチックやシリコンの鼻当て部分がなくなってしまった時は、店に汎用品の在庫があるのですぐに交換してくれます。
費用は店やキャンペーンによってまちまちですが、無料の時もあるし有料でも500~1000円くらいで済みますブランドフレームによっては専用の鼻パッドを採用しているものもあるので、そちらをご希望ならもう少し高く付くこともありますので要確認です。

⑤ネジ山潰れ
古いネジは劣化してネジ山が潰れやすくなっています。
潰れたネジはまともに回すことができませんから、テンプルがパタパタして締められなくなったり、他のパーツと交換しようと思ったときに外れなかったりといった影響が考えられます。専用器具でのネジ抜きが必要で、一箇所につき500円~2000円くらいでしょうか。器具が店舗にあれば10分くらい、なければ工場送りになるので2.3日預けることがあるかもしれません。

⑥モダン割れ
耳にかかるテンプルの先端部分に被せられているプラスチックの覆いをモダン(先セル)と言います。直接耳に当たることから汗や皮脂による劣化が早く、使い込むといずれどこかにヒビや割れが入ってきてしまいます。
被せたプラスチックの破損であればそのまま取り替えれば済むので、大体800円~2000円くらいなことが多いと思われます。フレームの状態で交換しにくいこともあるので、時間は10分~30分くらいとさせて下さい。

⑦ナイロールのひもが切れた
ナイロールとはレンズの下(上)半分が枠ではなくナイロン紐で吊ってあるタイプのフレームのこと。
軽くていいのですが、たまにこの紐が切れてしまうことがあります。
レンズも脱落するので見た目としてはなかなかの故障に見えますが、この紐は結構簡単に貼り直すことができるので落胆しなくても大丈夫ですよ。価格も無料からせいぜい1000円くらいで10~20分もあればやってくれます。

本格的な修理が必要(~数千円)

⑧ロウ離れ
眼鏡は細かなパーツをロウやレーザーで接着して作られています。この接着部分は他の場所より脆く、過剰な力がかかるとあっさりと剥がれてしまうことがあります。
これを直す際は再び同じ様にロウ付けやレーザー修理を行うわけですが、相場としては3000円~5000円あたりを見ておいて下さい。素材によってはもっとかかるかも。
工場案件なので期日はだいたい数日必要になります。

⑨リムやテンプルなどパーツの途中で折れた
さらに強い力がかかると、接合部ではなくリムやテンプル素材のまんなかからボキっと折れてしまうこともあります。
セルなら樹脂で繋いだり、メタルは溶かして溶接し直したりといった手段が取られます。繋いだ箇所の研磨や再塗装も行われるでしょうから、安くても5000円、下手をすれば10000円以上も充分に考えられます。
期間も1週間~1ヶ月と長くなるので、予備の眼鏡なんかがあると良いかもしれませんね。

パーツ交換や枠替えになるパターン

逆に修理ではなくフレームの交換となるパターンはどんなときかと言うと、

□その店舗では修理が不可能
損傷度合いが酷いと修理自体が不可能になります。修理を断られてしまえば残る手段は交換しかありません。
まあどの程度までいくと修理不可なのかは、お店によってかなり変わるので一概に言うのは難しいのですが…。

JINSやZoffのように他社製フレームの修理を一切受け付けてくれなかったり、修理工場の規模が小さいと手間のかかりそうな修理を受けてくれない場所もあります。
例えばフレーム途中の折れや、クリングス(鼻パッドの支柱部分)が取れてしまった、丁番のネジ穴付近が広がったり輪切れしたといった案件は少しばかりその可能性が高くなるかもですね。

□部品が特殊な素材・形状をしている
眼鏡は大量生産品から職人独自の手作りまで非常にデザインが幅広く、使い勝手や見た目の意匠が良くなるよう各部品が特殊な形をしていることがあります。特に丁番は腕の見せ所なので種類が数多く、五枚丁番やRヒンジなど各社趣向を凝らしてあるのが見ていて楽しいところ。
しかしいざ修理となるとこのこだわりが逆効果に働き、性能を元に戻せなかったり同じ素材を用意できなかったり代用品では物理的に組み込めなかったりといった事態が発生します。
購入店に相談して何とかしてもらうしかないでしょうが、特殊フレームはパーツがもうどこにもない可能性も低くないのが厄介ですね。

また、べっ甲や金(K18)、木製フレームはかなり専門技術のある場所でないと受けてくれないです。

□交換したほうが安い
ここまで見てきた以外の修理料金を紹介すると、
・再塗装、再メッキ–5000円~10000円
・クリングス修理–2000円~5000円
・丁番修理–4000円~8000円
といったところ。

このように運が悪いとそれなりに修理はかかってしまうわけですね。となると修理するよりパーツ交換をしたほうが安価でいけることも多いはずなので、眼鏡屋さんに両方の見積もりを出してもらうことをオススメいたします。

フレーム交換とレンズ一式購入はどっちがオススメ?

実際にフレームの交換を考える時、レンズの再利用を行ってフレームだけ交換する(枠替え)のと、新しくフレームとレンズ一式を購入してしまうのはどちらが良いかという疑問が湧いてきますよね。

これは状況によってかなり左右されるので、ご自身の目的と照らし合わせて考えてみて下さい。

フレーム交換が安いことが多い。しかし…

とにかく少しでも安い方が重要だというなら、フレーム交換のほうが費用を抑えられる可能性が高いでしょう。まだ使えるレンズを捨てるもの忍びないですから、可能ならこちらを選びたいという気持ちはわかります。
しかしフレーム交換には注意しなければならない点がいくつかあります。

まず、その時点である程度レンズが劣化しているという点
買って間もないのならレンズは新品に近いですからそこまでではないですが、仮に1年2年と経過していたならレンズには多かれ少なかれ経年劣化が起きているハズ。細かなキズがついて光がキレイに入ってこないかもしれませんし、紫外線カットの性能や汚れがつきにくい撥水コーティングなども当初よりは落ちてきています。さらに必要とする度数が変化している可能性も考えられます。
なので、レンズの状態によってはこちらも買い直してしまったほうがいい場合もあるでしょう。

今やほとんど全部の眼鏡屋で、販売品の眼鏡フレームにはレンズがセットでくっついてきます。
JINSを例に挙げると、基本プライスはレンズ込みで5500円。
レンズを活かしてフレームのみを交換する場合、フレーム代はセット価格より-2200円なので3300円。

ですので、枠替えでなく同型フレームにそのまま入れ替える場合は確かにフレームのみのほうが安くあがります。しかし別の形のフレームに枠替えを行う場合はここに再加工料や調整料といった名目でいくらかの金額が乗ってくるので、結局は大して変わらないという場合も多いのです。

枠替えは見え方が悪化する!?

枠替えには他にも制約があって、

  • 元のレンズ枠より小さい枠を選ばなければならないため、気に入ったフレームがなかなか見つからない。
  • 元のフレームにおいてレンズの最も歪みの少ない光学中心に黒目が来るようにレンズを削ってあるが、枠替えをするとこのアイポイントがずれる。結果としてやや歪みのかかった場所を中心として使う羽目になる可能性がある。
  • 遠近両用はアイポイントの横だけではなく高さの設定も重要なため、これが変化して遠くや近くの見え方が悪化する事態に陥りやすい。特に他店で購入したレンズを削ってもらう場合、レンズの詳細なデータがないため大雑把な位置で削るしかないことも。

特に遠近両用はレンズの位置設定がかなりデリケートなため、見え方の悪化は許容できないレベルになる可能性があります。

このように、総合して考えると新たに一式で購入するメリットは大きいと言えるでしょう。

その他フレーム交換の方が安くなるパターン

一式購入のメリットと枠替えのデメリットを踏まえた上で、枠替えでフレーム交換を行ったほうがよさそうなくらい価格に差が出る場合はどんなものがあるでしょう。

 

保証が使える時

購入した眼鏡には、フレームにしろレンズにしろ保証期間が設けられています。

内容としては、
・3ヶ月~1年以内の【見え方、度数保証
・半年~1年以内の【初期不良、通常の仕様で自然に発生した破損・不具合の無料保証
・半年~1年以内の【破損に対する半額補償

このあたりはどの眼鏡屋で買ったとしても設定されているはずです。
製品の不具合であれば無料で交換してくれる可能性がありますし、自分でうっかり壊してしまった場合でもみっつめにある「破損に対する半額補償」を受けられる可能性は高いです。フレーム価格に対して50%の割引なので、それだけあれば他の雑費を含めても一式買い直しより安く上がりそうですよね。

ただしあくまでも破損補償なので、紛失には対応してくれないことに注意して下さい。
もしバキバキに壊れてしまったとしても捨ててしまえば対象外となってしまうので、眼鏡屋には必ずパーツを全て持っていくようにしましょう。(あまりにも酷い損傷の場合は重過失や故意を疑われて半額補償すら受けられないこともあるので、眼鏡はなるべく丁寧に扱いましょうね!)

レンズが高額だった時
度数が強い、乱視がかなりある、遠近両用のグレードの高いレンズを使用、ブルーライトカットや傷防止コーティングを入れているなどの理由で価格の高いレンズを使っている方は、フレーム交換のほうが安くつくことが多いでしょう。
特に単焦点のオーダーメイド(individual)レンズや遠近の両面設計レンズだとセット価格+2~3万かかることもあるので、なおさらレンズは再利用したくなりますよね。
ただ店舗によっては屈折率の高い超薄型レンズに変えたりブルーライトカットを施すことに追加の費用がかからない場合があります。そういったサービスをうまく利用していけるならやはり一式で買ってしまったほうがいいかもしれません。

まとめ

眼鏡が壊れると焦ってしまって、どうしたらいいかわからず途方に暮れてしまいますよね。
その時になってからでは大変なので、この記事のように眼鏡の破損時の対処法を予め調べておいたり、予備の眼鏡を準備しておくことは大切です。

最後の付け足しになりますが、眼鏡屋に持っていくまでの応急措置として接着剤を使うのは避けましょう
大抵うまくくっつかない上に、こちらでの修理も行いにくくなります。接着剤の除去作業で余計な費用がかかったり、接着剤がちょっとついてるだけで修理自体をお断りされてしまうケースもあるでしょう。
応急の措置はテープを巻きつけて固定するやり方が最も推奨されます。セロテープでもいいですが、マスキングテープなどがあると剥がしやすく跡も残りにくいので家にあるならそちらを使って下さい。

 

とにかくフレームが破損しても、まずは落ち着いて。

あなたのフレームを直すには修理と交換、どのように対処するのが最良かをじっくり考えていきましょう。