視力検査でC判定をもらったらどうすればいい?年齢で変わる対処法を知っておこう

『視力検査でC判定をもらってしまいました。最初は目が良かったのに段々視力が下がってとうとうCになってしまったのですが、眼鏡は作ったほうがいいですか?』

この前こんな相談があったので、今回のテーマとして取り上げてみます。

 

学校でも職場でも、定期的に健康診断が行われますよね。
この中で必ずある項目に視力検査があるのですが、そこで【C】という判定が出ると皆さんかなり不安になるようです。まあAやBならそんなもんかと感じますが、Cだとちょっとねえ…という気持ちはよくわかります。

  • Cってつまりどういうこと?
  • お医者さんに行かなきゃいけないの?
  • 放っておくとマズいことが起こる?

きっとこんな感じの疑問が出てくることでしょう。

というわけで、この記事では視力検査でC判定が出てしまった場合に取るべき行動についてまとめてみました。

 

視力検査のC判定とはどんな状態?

 

実は定期検診の視力検査ではあまり正確な数値を出すわけではありません。
眼科や眼鏡屋では視力を0.1単位で導き出して眼鏡補正に役立てるのですが、検診の目的は補正器具(レンズ)の作成ではなくおおまかな健康状態の把握にあるためです。

なので検査結果はA~Dの4段階で示されるわけですね。
ではこのアルファベットはそれぞれどんな状態を表しているのでしょう。

C判定の視力は0.6~0.3

大まかな判定のため、ランドルト環(大きなCマークでどっちに隙間が空いているかを答えるマーク)のサイズも基本的に使用されるのは0.3、0.7、1.0の3種類になります。これらを利用して、被験者の視力がどの範囲にあるかを判定します。

健康診断のマニュアルによると、

0.3の視標が4方向のうち正答が2方向以下の場合は「判別できない」とし、「D」と判定する
4方向のうち3方向を正答できれば「正しい判別」と判定し、次に0.7の視標にうつる。
0.7の視標で同じく「判別できない」なら「C」と判定、「正しい判別」と判定されれば1.0の視標にうつる。
1.0の視標で同じく「判別できない」なら「B」と判定「正しく判別」できれば「A」と判定する

出典:【眼科学校保険 資料集】 日本眼科学会

といった流れで検査を行うことになっています。

まとめると、

【D】判定は視力0.3未満
【C】判定は視力0.6~0.3
【B】判定は視力0.9~0.7
【A】判定は視力1.0以上

となるわけですね。

検査結果の用紙に記載があると思いますが、『視力C、Dの場合は眼科への受診を勧める』『視力A、Bの場合は眼科受診の勧めは不要』となっているので基本的にはその指示に従うようにしましょう。

測る場所と状況によって結果が違う可能性アリ

実は視力は、体調や精神の状態によって意外なほど左右されます。

朝より夕方のほうが目が疲れてピント調節機能が落ちるため視力が下がってくる(特に高齢者)
緊張状態にあると筋肉がうまく動かないため指標が見えなくなる(特に小さい子供)

私達検査員もこの点についてはかなり注意して検査をします。
日が落ちてからいらした年配の方には、それを踏まえてやや弱めに出すか改めて午前中に来店をお願いすることを検討する場合もあります。また学校で0.7は見えていたという子が、眼科に来てものすごく緊張したのか視力0.1まで急落するなんて極端な事例も。

なので、お子様がいつもはAなのにいきなりC判定になってものすごく焦って駆け込んでくる保護者の方が稀にいらっしゃいますが、必ずしも視力が低下したとは限らないためまずは落ち着いて判断することをオススメいたします。

 

ちなみに最近増えてきた器械を覗き込んで測るタイプの検査も苦手にしている人がいるようです。そちらの件は別記事で紹介しているので合わせてチェックしてみてください。

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レンズの度数はこれだけではわからない

例えばC判定を受けた人で「自分はどんな度数の眼鏡をかければいいのか」と質問を受けることがありますが、正直に言うとこの情報だけで度数を決めることはまずムリです。

繰り返しますが、視力検査の判定はもともと大雑把なため矯正範囲が非常に広いことがまずひとつ。同じCと判定でも0.3の人と0.6の人に入れるレンズはやはり差が大きいですから、適当に入れてしまうと矯正不足、過矯正になる確率は高いでしょう。
さらに仮に全く同じ視力だったとして比較した場合でも、そもそも何が原因でそれぐらいの見え方になったのかは人によって千差万別。そもそも近視の場合もあれば遠視の可能性もあります。乱視のせいで見えない人もいれば、屈折異常以外の原因(ドライアイや神経異常など)だったならばいくら度数を上げても視力は改善しないのです。

つまり視力矯正における度数の算定というのは、こういった諸々の可能性を包括的に考慮して決定することになるため、今現在の視力だけを見て決めることはほぼ不可能に近いです。

 

理屈と経験則でものすごく大雑把に無理やり答えるなら、-1.00Dから-2.00Dあたりに落ち着くことが多いのではないでしょうか。でもやっぱり適当に度数を決めることは絶対にしないほうがいいので、一度は正確に測ったもらったほうがいいですね。眼鏡ならば眼科に行かずとも普通の眼鏡屋さんですぐ無料で調べてくれるので(別に測ったからといって必ず買わなければいけないわけでもない)、こっそり調べておきたい事情があるとかネット購入を検討しているといった人は眼鏡屋さんにお願いしに行きましょう。

 

C判定をもらったらどうすればいい?

ではC判定になってしまったときどう行動すればいいかですが、これはあなたの年齢と今現在の環境を踏まえて考える必要があります。

学生時に受ける学校での検査と、成人して職場での検査に分けて解説します。

小児~学生時はなるべく眼科を受診しよう

早ければ幼稚園児の段階で受けることになる視力検査ですが、年齢が若ければ若いほど判定が低かった場合に眼科の受診をするべきだと言えます。

人間の視機能は生まれたときから成長を続け、6歳~8歳あたりで完成します。正常なら3歳頃で0.8、6歳あたりには視力1.0を出せるはずなので、そこに満たないならば決してそのまま放置してはいけません。
幼い時は脳の発達も未熟でそれを進ませるために五感から外部の刺激をしっかり取り入れる必要があるのですが、視力が足りないと目から入ってくる情報が少なくなりその発達を阻害することになるためです。また大抵最初は遠視状態でそこから近視に向けて移行していくのですが、小児の遠視を矯正せずに放置すると、体が大きくなってもひどい遠視で非常にその後の生活に難儀する確率が高くなります。

たまに来るそういったお子さんのための眼鏡は、キャタラクトという目玉焼きみたいなプラスレンズを入れる羽目になってすごく可哀想なので、ぜひ小さいときほどお子さんの視力には気を配ってあげてください。

 

小学校~高校の段階になると、行動できる範囲も増え環境が変わっていきます。
この時気にしてほしいのは、『特定の距離を長時間見る際の目の負担』

学生生活においては、授業中の黒板など、それなりの距離の文字を集中して読む時間が長い時期と言えます。
C判定を受けた視力というのはそのあたりでどこかしらに不都合が出る可能性が高いので、それ用の眼鏡をひとつ作っておくべきでしょう。

見にくいものを見続けようとすると、目のピントを合わせる筋肉が常に緊張を強いられます。そしてそのままでいくとさらなる視力低下を招きかねません。
視力の弱い状態に慣れてしまうと本人は別になくても平気だよと答えるかもしれませんが、本当にそうなのかを慎重に見ていく必要があります。

成人は生活環境で適宜判断する

成人してからの視力検査はまた少し事情が異なります。
というのも、その人が就いた仕事によって必要な視力がかなり変わってくるためです。

例えば運転に携わる仕事やオフィス以外にも活動範囲が広い人、現場管理や大勢の他人と頻繁に触れ合う人は視力が低いと不都合が多いでしょうから視力矯正は必須です。
一方で、自分のデスクの上でほぼ仕事が完結している人、検品や制作作業で手元ばかり見ている人、PCでの仕事がほとんどだったりテレワークに変わった人などはそこまでの視力がなくても問題ない場合が多いです。

後者は0.7以下、なんなら0.4とか0.3でも生活に大して不便を感じていない人が結構いるようですよ。視力の良い人には信じられないかもしれませんが…。

 

学生時と違って、遠くを見ない人は本当に見ない生活を送っています。この人達は、仮に視力検査でC判定になったとしても実質ノープロブレム状態なので、必ずしも眼鏡補正を行わなければいけないわけではありません。
手元作業が多い人が下手に遠くをよく見える眼鏡にしてしまうと、近くを見る時にこれまたピント合わせの毛様体筋に負担がかかり、視力悪化の一因となってしまいます。年齢を重ねるにつれ目の調節力も落ちていくため、視力は1.0より0.6~0.7あたりに抑えておいたほうが都合が良い人も多いのです。

つまりこういった人たちは、C判定に囚われずに自分に合った視力で過ごすことを考えるのが良いでしょう。

 

会社側はわりと機械的に視力検査の判定を鵜呑みにするので、別に必要なくても眼鏡を作れと言われるかもしれません。その時はしっかり説明をして承知の上でC判定をもらったと伝えるか、視力検査用の眼鏡でも作って検査をパスして普段はコンタクトをつけていることにでもしましょう。検査用ならば安価な4000~5000円くらいの眼鏡で全く問題ないです。

判定がC以外でも注意しなければいけない場合がある

さらに、判定が良くても普段の生活のどこかで見えにくさを感じる自覚症状がある時は注意が必要です。
単純に目を酷使して疲労しただけということもありますが、思い出してほしいのは先程お話した「視力検査は4方向の指標のうち3つが答えられればOK」という部分。

ここで何に気をつけるべきかというと、乱視の存在です。
乱視は特定の方向にモノが二重にブレて見える状態を言います。ちょっと下の画像を御覧ください。


正常な状態 (出典:日本学校保健会


乱視のある状態

下図はランドルト環が縦にブレていますね。
これは直乱視で180°方向のレンズで矯正をかける人の見え方なのですが、左2つは隙間が潰れてしまい判別しにくいのに対して、右2つは像がブレているにも関わらず上下に空いている隙間には影響が少ないため検査で正答してしまうことがあるのです。

このように乱視の影響が強い子は4つの指標のうち最も判別がつきにくくなる1つを除いて残りの3つを答えられてしまう可能性があるため、本来乱視の矯正がしっかり必要なのにBや下手をするとAという判定が出てしまう事態になるのです。検査の結果は良かったけれど、特定の文字だけ読みにくいとか、モノがわずかにでも二重にぼやけて見える自覚があるならば、眼科の受診を検討してみましょう。

 

まとめ

自分や子供の視力が段々落ちていくと心配になりますよね。

基本的には目には必要以上にムリをさせないほうが機能が長持ちするので、視力矯正は行ったほうが良いです。
しかし本文でも触れたとおり年齢や環境によってその必要不要は変わってくるため、まずはご自身がどんな視力を必要としているかをよく考えるのがベストです。

度数を少しでも上げると目が疲れやすかったり頭痛が起きやすくなる人もいるでしょう。そんな場合は強引に判定の結果を良くしなければと思わなくても大丈夫。C判定というのは確かに視力としては低めですが、そのあたりがピッタリしっくりくる、楽に生活ができる視力だという人は少なくないのです。

 

かくいう私も、普段の生活では右目0.3の左0.6なんていうガチャ目の面白度数で不自由なく生きていたりします(笑)。