眼鏡を作ろうと思った時に気になるのが、費用と出来上がりにかかる時間。
即日渡しすら珍しい時代もあったわけですが、今やどんどん期間は短くなり、簡単なものならあっという間に出来上がるようになりました。実にいい時代です。
では実際、眼鏡をイチから作ろうとした時にどれほど時間を見ておけばいいのでしょう。
「明日免許証の更新なんだけど」
「なかなか店に寄る時間が取れない」
「レンズ交換をしたいがフレームを預けてしまうと何も出来なくなる」
例えばこういった事情があると、すぐ作れるかどうか不安になってしまいますよね。
この記事では、有名店舗を例に取りながら、眼鏡作成にかかる所要時間とそれをなるべく短くするためにはどうすればいいかというワザを教えちゃいます。
所要時間=検査+フレーム選び+レンズ選び+レンズ加工
眼鏡屋の扉をくぐってさあ眼鏡を作ろうとなった時、かかる時間をおおまかに分けると以下のようになります。
①~③の順番は状況によっては前後します。
度数を計る機械はどの眼鏡屋さんにもあるので、その場で計測を始めることが出来ます。
基本的には、現在の視力の確認に始まり、近視や乱視の状態を調べて、左右のバランスを見つつ実際に使うシーンに合わせた度数を決定するという流れになります。
若い人や目がさほど悪くない人ならまだしも、年齢を経て眼鏡をかけても視力矯正が難しい人ほど検査も手間がかかります。
また遠近両用眼鏡を作る場合は調べる項目が増えるのでさらに10~15分ほど多く見積もって下さい。
ある時それはもうものすごくお急ぎの方がいたのですが、手持ちの眼鏡があったおかげで3分くらいで度数が決定したという事例もありました(笑)。
もちろん適当にやったわけではないですが、参考になるものがあるほど決めやすいのも確かなのでお急ぎの場合は覚えておいて下さい。
ある程度目星がついていれば決まるのも早いですが、特に指針もなくふらっと入った時は何十分経っても決まらないなんてことはザラです。眼鏡屋側としてはゆっくり選んでいただいて全然構わないのですが、忙しい中来店された方はそうも言ってられないですよね。
こういう希望があるのでどんなフレームがいいですかとか、単純に私に似合う眼鏡を見繕って下さいでもいいので、店員と一緒に探してもらうのが早く見つけるための近道です。
全体からおおよその目星をつけて選択肢をぐっと絞ってもらうことが大事です。
長い時間をかけて選んでも、大抵は最初に目について手にとった2.3本の中から決まることが多いからです。
考えれば考えるほどよくわからなくなってくるので、そんな時は最初に何となくいいなと思ったフレームに正解が隠れていると思っておくと良いでしょう。
他の記事で似合う眼鏡選びのコツを紹介していますのでぜひ読んでみて下さい。
度数が低く乱視もない人なら、シンプルに最初からセットになっているレンズで十分なので所要時間は1分も要らないかもしれません。
しかし目の状態が複雑になるにつれ、歪みの少ない設計や厚みをどうするか、使用環境によっては傷防止や眩しさ避けやブルーライトカットのコーティングを検討する必要が出てきます。
すべての項目が決定したら、あとはレンズを加工してフレームにはめ込むだけです。
その店舗にその度数のレンズがあるならば、その場で加工をしてもらえます。
お店の混み具合などにも左右されますが、基本的に加工は30分~1時間ほど必要になると思っていて下さい。繁忙期などは加工が何件も立て込んでもっと時間がかかる場合もあります。
ちなみにこの時間はセルフレームとメタルフレームの場合で、ナイロール(下半分にレンズ枠がなくてヒモで吊っているタイプ)はつけ外しがやや手間なので追加で10分~30分頂くお店が多いでしょう。
ツーポイントという枠なしフレームは、レンズに穴を開ける作業が必要になるので同じように追加の時間が発生します。穴開けの機械がないお店はそもそもその場での加工ができないので、レンズ自体は在庫だったとしても工場預かりで数日かかることを留意して下さい。
また、遠近両用レンズや特殊コーティングのレンズなどは注文を受けてからメーカーが製造という流れになるので、3日~2週間がどうしてもかかってしまいます。
○店舗には置いてないがメーカーに在庫有のレンズ:3~4日
(強度数、高屈折率、コーティング付きレンズ)
○遠近両用レンズ:7~8日
(中近レンズや近々レンズ含む)
○オーダーメイドレンズや偏光調光などの特殊レンズ:10~14日
レンズ加工の最速は何分でできる?
これは余談なのですが、即日で加工を受けた時にお伝えするお時間というのはある程度マージンを取った数字になっています。
眼鏡レンズの加工というのは必ずしも毎回スムーズに同じ時間で終わるというわけではないというのがその理由。
例えば削ったレンズが思ったより大きくて一度でフレームに入らなければ、二度ズリをして入れなおす必要がありますから時間のロスが発生します。レンズ度数が強くて厚みがあるレンズは機械が削る時間そのものが長くなりますし、極端なことをいうと機械の調子が悪かったり人為的なミスで加工に失敗することがないとは言えません。
なのでそういった状況に対応できるよう、少し長めにお時間を頂いて30分とか1時間とか言っているんですね。
ということは、つまりですよ。
トラブルなく効率よく加工できたらという前提でなら、もっと作成時間は短いのです。
実際店舗でどれだけ短く出来上がるか、最速の時間を計ってみました。
10回ほど計測してみたところ、最短は11分30秒!
まあでもこれは正直-1.00Dで削りやすいサイズだったのもありますし、セルフレームで枠を温めることもなく一発でパチンとレンズがきれいにはまったおかげもあるので参考記録といったところでしょう。
実質としては15分がお受け出来る限界なんじゃないかなと思います(できれば20分)。
もう本当にめちゃくちゃ急いでいて、この眼鏡がないと困るしもう電車が来ちゃうなんて方に15分強でお作りしたことはあります。ただやはりリスクがそれなりにありますから、基本的には十分時間があるときに来店されるのをお願いしたいところです。
街で見かけるあのお店はどれくらいで作ってくれる?
JINS
店舗購入
・平均40分
・特注レンズの場合、7~14日程
・レンズ在庫欠品の場合、5~7日程
という記載になっていますが、平日で空いていれば15分ほどで作ってもらえる場合もあるようです。
ネット購入
出典:jins 2020.7.22に注文
シンプルな在庫範囲のレンズで注文したのが上図です。
注文日から数えると10日以上はかかりますよ~という表示ですが、実際には3~5日程度で届いてしまうことが多いようです。
時期や配送エリアにもよりますが、店舗で在庫レンズがないだけのときと変わらない日数で受け取れるので嬉しいところですね。
Zoff
店舗購入
・最短30分
・特殊レンズの場合、10日程度
最短30分とありますが、こちらも状況によってはもう少し早く出来上がることもあります。
ネット購入
出典:zoff 2020.7.22に注文
やはり10日表示には変わらないようです。
しかし別の質問欄には、
在庫品:5日程度
常備範囲外:上記に+α
となっていますので、注文画面の表示よりこちらも早く届くと考えて良いようです。
メガネスーパー
店舗購入
・在庫レンズ60分
・特別注文のレンズの場合、一週間後の同曜日
上記2店舗に比べると少し時間がかかりますが、代わりにメガネスーパーでは店舗での予約サービスを行っています。
これによりせっかく行ったのに混雑していて長い時間待たされた、というリスクを減らせますので是非活用しましょう。
ネット購入
・眼鏡の場合は5~10日
眼鏡市場
店舗購入
・最速25分。
・高機能レンズの場合、1週間程度
こちらも他店舗と大きな違いは有りません。
特徴として、レンズ+フレームのセット価格のパターンが絞られているので、細かく設計やコーティングであれこれ悩む時間は少なくて済むでしょう。
ネット購入
・通常レンズ3日
・高機能レンズ7日
・PCとカラーは10日以内
眼鏡市場ではフレーム選びのサポートとして「顔タイプ診断」を行っています。
これはあなたの顔を、
大人顔or子供顔 ✕ 直線的or曲線的 という合計4パターンに分けてどんな眼鏡の形が似合うのかを判断してくれるサービス。特にフレーム選びに関してまだなにも見当をつけていないよという人は、まずこのサービスで大雑把に当てをつけてから選び始めると非常にスムーズですね。
また「パーソナルカラー診断」では眼鏡の色が与える様々な印象を説明してくれるので、あなたが「こうなりたい!」と思ったイメージに近付けるカラーがどれなのかを診断してくれます。温かみが欲しいのか、クールに行きたいのか、活発に見せたいのか愛嬌を足したいのか。カラーひとつで意外なほど印象が変わりますのでぜひ相談してみてはいかがでしょうか。この2つのサービスで方向性を見つけてからのほうが、あてもなく選び始めるより短い時間でフレーム選びを済ませられることが多いのもおすすめポイントですね。
その他の眼鏡屋さん
○キクチメガネ
在庫レンズは即日渡し可能。正確な時間は書いてありませんが、よほど忙しくない限り1時間以上かかることはあまりないはずです。
店にはないがメーカーに在庫のあるレンズは2~3日、特注品は1週間~10日程度となっています。
また視力検査に力を入れている眼鏡屋さんでもあります。認定眼鏡士が目の状態やライフスタイルを考慮したレンズ度数を測定してくれるので、検査を急かすことがないよう当日は少し時間に余裕を持っていったほうがいいかもしれませんね。
○サトーメガネ
こちらも基本は即日で作成が可能となっています。おおよそ40分~1時間ほどだそうですが、やはりお店の混み具合に左右されるので目安と思っておいたほうが良いでしょう。カラーや遠近両用は1週間です。
検査は15ものステップに分かれています。より正確なチェックが出来る両眼開放屈折検査をはじめ、眼位、立体視、調節力、融像力などの諸々の状態を加味した上で度数を確定してくれます。
○パリミキ
公式説明によると即日の場合は30分~1時間。店舗においていない度数だと3日ほどで、遠近両用など完全に特注扱いになるばあいは1週間となるようです。
パリミキの検査は「ビジュアルライフケア」といって生活の悩みや必要性において最適なレンズ選びをしてくれる検査方法。
ジュニアなのかシニアなのか、運転がメインなのか室内仕事で活用したいのか、そういったことを踏まえて必要な検査をセレクトしてくれます。あえて不必要な検査を省くということは、検査時間の短縮ひいては検査中の目の疲労による測定ブレを低減してくれるので、精度の高い測定を実現している眼鏡屋さんです。
○OWNDAYS
在庫レンズの場合、お渡しが最速で20分(早い!)と謳っています。加工の人員を確保して購入後すぐさま加工に入れば確かにそれくらいで作成することは可能です。その他は在庫がない場合数日かかるとしか記載がありませんが、他の店舗と同じように3日~1週間というのは変わらないんじゃないかと思います。
OWNDAYSは視力検査の予約をすることが可能なので、店舗の混み具合とはさほど関係なくメガネの購入を行うことができます。待たされるのがイヤだという人は是非予約サービスを利用してみて下さい。
時間がない人はどうしたらいい?
時間がゆっくり取れるに越したことはないですが、いつでもそれが叶うとは限りません。
特に緊急の事態には悠長なことは言っていられないですよね。
お店でよく相談が持ち込まれる急ぎのパターンと解決法をご紹介しておきます。
どうしても即日で受け取りたい
即日加工の場合、お店に在庫してある範囲のレンズで対応することになります。
眼鏡が壊れたときなどはその日持って帰れないと困ってしまうでしょうから、その場合はまずその旨を店員に伝えるところから始めて下さい。
そうすれば、その場ですぐ作り始められるようにフレームやレンズを絞って案内してくれるはずです。
例えば検査の結果、ギリギリ在庫範囲外の度数だった場合、本来よりほんの少し度を落とすことで即日加工として処理するときがあります。
もちろんお客様には説明の上了承をもらいますが、それくらいの強度数になると1~2段階落としてもさほど見え方は変わらないことも多いので、急いでいるなら有効な手段と言えます。
また乱視レンズは常備数が少ない店が多いのですが、乱視度数を下げて通常の球面度数を上げることで同程度の視力を確保できることがあります。
よってその時は強度乱視の人も即日渡しに対応できるので、諦めずにまずは相談してみて下さい。
ナイロール(下半分の枠がなくナイロール紐で留めている)フレームや、ポイント(枠がなく、レンズに穴を開けてネジで留めている)フレームは加工に手間がかかります。
ナイロールで最低1時間、ポイントは基本即日は無理で、可能なお店でも3~5時間は必要となります。
店にいられる時間が少なくて余裕がない
方法のひとつとして、各項目を別の日に分けるという手段があります。
・先に検査だけやっておいて度数の記録を保管しておく。
・先にフレームの目星をつけてお店に取り置きしてもらう。
・受け取りは家族にお願いする など
こうすることで、どうしてもまとまった時間が取れなくとも手続きを進めることが出来ます。
他にも、
・お店が空いている時間を聞いておく
(特にコンタクトも売っている店舗は併設眼科が休診日の曜日は暇)
・予約が可能な店舗を利用する
・大急ぎだとどれくらいで作れるか確認しておく
といったことが重要になるでしょう。
眼鏡屋さんが提示している時間は基本的にある程度余裕を持った時間なので、急ぐ場合はいくらか短縮することが可能です。
レンズ加工自体も、他に急ぎの人がいなければあなたを優先して加工してくれますので、それこそ15分程度で仕上げることも出来るでしょう。
通常 検査+フレーム選び+レンズ選び=40分~1時間
レンズ加工=30分~1時間
お急ぎ 検査+フレーム選び+レンズ選び=20~30分
レンズ加工=15~20分
これなら会社のお昼休みなどを利用して、というのが現実味を帯びてきますよね。
ちなみに度数さえわかっていれば、ネットで購入というのも悪くないと思います。
最近では試着サービスも充実してきたので、この機会に試してみるのも良いでしょう。
お気に入りフレームのレンズ交換をしたいが預けるのは困る
お手持ちの眼鏡のフレームには、新しいレンズを加工して入れ替えることが出来ます。
傷が増えてきたレンズが新品になったり度数を変更できたりとメリットは多いですが、加工のために一度フレームを預からなければいけないのがネックです。
特にそれ一本しか眼鏡を持っていないと、預けている間まともに行動がとれなくなってしまうことでしょう。
なので、その場合はまず予備を先に作っておくことをオススメします。
安いフレームとレンズで構わないので、一週間くらいはしのげるくらいの軽くかけられる眼鏡を選ぶと良いと思います。
そうすれば遠近やカラーレンズなどの特殊レンズを使用している方も、安心してフレームを加工に回すことができますよね。
あるいは、レンズだけ予め注文しておくのも一つの手です。
皆さんには特注レンズは7~10日下さいと説明しますが、これは受注を受けたメーカーがレンズを製造してお店に届くまでの時間とほぼイコールです。
つまりレンズさえ届いてしまっていれば、他の在庫レンズと同じようにその場ですぐさま加工ができることに他なりません。
最初の来店で度数とレンズの種類を決めて発注してもらい、数日後レンズが届いた段階で再訪してフレームを渡し加工を始めてもらうという流れになります。
これなら待ち時間は加工の30分ほどで済みますので、お店のカウンターで座って完成をゆっくりとお待ちになるのが良いかと思います。
まとめ
大事な目のことなので、できることならしっかりと時間を取ってベストに近づけたいところです。
しかしそれでも眼鏡の完成を急がなければいけない時はあるものです。
そんな時はこの記事を参考にして、各項目をいかに短縮あるいは省略していくかを考えてみて下さい。