店にコンタクトを買いに行く時、ちゃんとBC(ベースカーブ)を気にするようにしていますか?
眼科で処方箋を取る場合は、お医者さんがベースカーブをしっかり確認して処方してくれるので安心です。
でも処方箋を持たずに、おおよその感覚でコンタクトを購入したいと来店する方も少なくないのが現状です。
特にカラコンをご希望の若い方に多いのですが、このベースカーブを無視してコンタクトレンズを選んでしまうと目に余計なトラブルを抱えることになるかもしれませんよ?
ベースカーブが違うとどんなことが起きるか
ベースカーブとは、コンタクトレンズの丸みの曲がり具合を数字で表したものです。
出典:webseeya「コンタクトレンズのBCやDIAとは?」
今使っているレンズの箱を見て下さい。
度数表記の近くにBCという文字と、それに続いて8.3とか8.6という数字が書いてありませんか?
これがベースカーブで、小さいほど曲がり方が急になっています。
日本人の平均は大体8.6~8.7と言われています。
あなたのベースカーブにピッタリ合うレンズを選ぶのが基本となるでしょう。
では、違う数字のベースカーブを選んだらどんなことが起こるでしょうか?
着け心地が悪い
まず考えられるのは、カーブが合わないことによる装用感の悪さです。
コンタクトレンズは眼球に張った涙の膜の上に浮いていて、まばたきをして涙を循環させ潤いを保っています。なので、眼球とレンズの角度が違うとまばたきの時にひっかかりを感じて違和感を感じやすいのです。
コンタクトをつけると目がゴロゴロしてスッキリしない思いをしたことはありませんか?
それはベースカーブが合ってない事が原因かもしれません。
目にキズがつく
あなたの目より小さいベースカーブのレンズを使っていると発生しやすい症状です。
レンズのふちが眼球側に曲がっているので、その角が目にひっかかってガリっと傷をつけてしまいます。
うーむ、聞くからに痛そうですね。
ちょっとくらいなら自然に治癒しますが、長い間使っていると慢性的に傷が残る危険があると思っておいて下さい。
そこから菌が入って眼病のもとになりやすくなります。
外れる、もしくは割れる
ベースカーブが大きい時、レンズが緩いので今度は外れやすくなります。
涙の上をあちこち動くように移動するので、見え方も安定しなくなるかもしれません。
いつの間にか取れて無くしてしまったので、何でもいいから売ってくださいと店に駆け込んでくる人がいます。
それ、何でも良くないからそんな状況になったんですよ?
あとあまり考えなくて良いのですが、不具合のあるレンズをつけた時にベースカーブが合わないと割れたりヒビが入る確率が上がるかもしれません。
痛みが出たりドライアイになる
カーブのズレは目を圧迫させて痛みを引き起こしたり、涙の供給をせき止めて眼球が乾きやすくなったりします。
充血して目か赤くなることもあるので、見た目の観点からも気をつけたい部分ですね。
誤差はどこまでなら許容できる?
少しくらいなら問題ないことが多い
じゃあ実際問題どれくらいずれていても大丈夫なのでしょうか。
「0.1でもズレたらつけないほうがいいですか?」という質問はよく聞きます。
ここまでの話で心配になった方も多いでしょう。
ではお答えします。
『少しくらいなら気にしなくていいですよ』
さっき散々脅してきたのにどういうことだ。
この”少しくらい”を具体的に言うのは難しいのですが、経験上0.1~0.2くらいのズレなら「まあ試してみます?」くらいの対応をすることがあります。それ以上になるとうーんという感じで、これまでと0.4とか0.5違うレンズを選ぼうとされている方には止める方向に回りますね。
なぜ少しくらいのズレなら許容範囲として扱うかというと、実はBCの細かい違いより重要なものとしてレンズと目の相性があるからなのです。
まずレンズの要素を考えてみましょう。
ベースカーブ以外でもこれだけの違いが存在します。
サイズ(DIA)
素材(ヘマやシリコン)
柔らかさ
吸水率
エッジの角度
着け心地
そしてメーカーや商品によっても力の入っている箇所がかわります。
要はこれらを総合的に判断して、あなたの目とかみあうかを考えるのが重要だということです。
AとBの2種類のコンタクトをつけた経験があったとして、Aのほうが何となく調子が良い気がするけどベースカーブはBのほうがピッタリだからBにしておくほうが良い、とは限らないということですね。
まずは装用感を確認してみる。
ベースカーブをきっちり合わせるというのは、その次で構いません。
ベースカーブが合わないことによって明らかに問題がでる場合、あなたの感覚がそれを教えてくれるからです。
もちろん全然違う数字になるほど悪影響が出やすいのは間違いないですが、神経質にピッタリ一致させる必要はないと言えるでしょう。
カラコンは目的のBCが見つけにくい
初めてカラーコンタクトレンズをつけてみようかと思っている人がお店に買いに行くと、
「カラコンのBCってこれしかないの!?」という事態に直面することが多いのではないでしょうか。
ネットで探せばそれなりに種類も見つかりますが、実店舗だと定番のものしか置いていないことが多いです。昔からあるJJの1Dディファインなんかだと8.5というのもありますが、PIAなど新しめの10枚入りレンズだと大体のパッケージがBC8.6や8.7ばかり。ちょうど日本人の平均値に合わせて作っていることになります。
これは、カラコンはただでさえ色や着色外形などが何種類もあるため、そこに加えてBCに幅を持たせてしまうと作成する分量が膨大になってしまうという問題を抱えているからでしょう。店舗の陳列場所も有限ですので、メーカーとしては分派する要素はなるべく減らしたいということなのかもしれません。
というわけでBCが8.5や9.0だった人が新たにカラコンを試してみたいと思ったとき、好みの色で自分のBCに合うものが見つからないといったことが往々にして起こります。果たしてこの合わないBCで選んでしまってよいのだろうかと不安になってしまう方も多いでしょう。
しかしこれに対するアンサーも前述のクリアレンズと同じで、完全に合わなくてもそこまで気にしなくて構いません。
それよりは素材などを含めた相性がやはり大事で、BCの違うあるカラコンは全然大丈夫だけどBCをあわせた他のカラコンだと逆にゴロゴロする、なんてことも少なくない話だったりします。
カラコンもソフトレンズですからBC誤差の許容範囲は大きい方です。
正直、もう皆さんカラコンに関してはBCを気にしている人のほうが少ないくらいで、質問を受けるのも着色直径や発色に関してばかり。少量で買っていく人が多いこともあり、合わなかったらさっさと次のを試していくぐらいのノリでバンバン買っていってしまう感じですね。
よってここでもベースカーブよりは以下の事柄を気にしたほうが良いでしょう。
- つけ心地の良いものを選ぶ
- 長時間の装用を避ける
- 異常が出たら使用をやめる
- たまには眼科検診を受ける
特に、カラコンは全体として酸素透過率も低くクリアレンズより乾きやすいものも多いため、一日中つけているのには向かないとされています。家に帰ったらすぐ外すなど、不必要に長く装着しないように気をつけていきましょう。
同じ商品ならワンデーから2ウィークに変えても問題ない!?
他によく聞くのがこの質問。
同じ名前でワンデーと2ウィークが両方発売されている商品がありますよね。
たしかに同じなんだから変えても問題ないように見えます。
でもよく見ると、ベースカーブの設定がまるで違う場合があるのです。
例としてアキュビューオアシスを見てみましょう。
ワンデーオアシス :BC 9.0 もしくは 8.5
2ウィークオアシス:BC 8.8 もしくは 8.4
なにこれひとつも一致していない…。
つまり適当に買い換えると、9.0から8.4になってしまうこともあるわけですね。
さすがに許容しかねるベースカーブの差なので、買う際は必ず確認するようにして下さい。
またワンデーは一日使い捨て、2ウィークは2週間保たせる関係上、設計が全く同じではありません。
なのでワンデーは快適なのに、2ウィークにした途端目がゴロゴロしたり疲れるということが起こりえます。
やはり眼科のテストレンズでチェックしておいたほうが良いと言えるでしょう。
ハードコンタクトの許容範囲はソフトより狭い
ここまでお話してきたベースカーブの許容範囲は、全てソフトコンタクトレンズを前提としています。
ソフトレンズはその名の通り素材が柔らかく、多少カーブが一致しなくても眼球と馴染んでくれるので違和感や異常が出にくいので、言い方はアレですが少しばかり雑に選んでもそこまで心配はいりません。
ですがハードコンタクトとなると話は別なので注意して下さい。
例えば有名所の『メニコンZ』だと、
このように大分広い範囲かつ細かく0.1単位で設定できるようになっています。
これはハード素材が固く、なるべく目のカーブとぴったり一致させないと快適につけることが叶わないからです。
ちなみにハードはソフトよりサイズが小さく黒目の先端に乗せるようにつけるため、全体的にBCは小さめ。ソフトレンズで使っているBCとは数値が違ってくる可能性も高いです。
よって何らかの事情でハードレンズを選ぼうとしている人は、眼科での検査が必須だと思って下さい。ハードばかりは適当に選んでしまうと後悔する可能性が高いです(まあ店側も処方箋なしでハードレンズを販売することはまずないでしょうが)。
おわりに
目は、外部に露出している中で一番デリケートな臓器です。
そこに直接触れているのですから、あまり適当に扱うのは避けた方がいいでしょう。
必要以上に心配することは無いですが、たまには眼科で診てもらうのは大事な事だと思います。