コンタクトでお風呂に入るのは平気?ダメ?アブナイのはこんな人だ!

近視がひどすぎて裸眼ではなにも見えずお風呂にも入れない人っていますよね。

でも調べてみると、「コンタクトをつけたままお風呂に入るのは危険!」という情報ばかりが目に飛び込んできます。

熱で変形するだとか、
雑菌に感染するだとか、
コンタクトが目にくっついてしまうだとか。

しかし逆に「自分は全然コンタクトつけたままお風呂入っちゃうよ!全然平気だよ!」という人達がいるのも事実。

 

一体どっちが正しいんでしょう?

実は、危険な状況に陥る人は危険になりやすいコンタクトの扱い方をしてしまっているんです。

 

そもそも、コンタクトが危険だから風呂にはつけて入るなと言われても困ってしまいますよね。
ですからここでは危険性がなるべく少ない使い方を考えていきましょう。

とは言っても、大したことをする必要はありません。
コンタクトを使う上で本来なら当たり前にやっていることが危険性をいかに減らしてくれているかを改めて確認してもらうだけで充分です。

 

被害を大きくするのはこんな人

大前提として、コンタクトをつけたままお風呂に入ることは推奨されません。
冒頭で書いたトラブルは確かに起こり得ます。従って、つけなくて済む人はなるべく付けないようにして欲しいところです。

その上で、それでもコンタクトをつけて入っちゃう人はいると思うので、せめて何がマズいのか知っておくべきでしょう。

長時間の入浴

入浴中コンタクトレンズの形に影響を与える要素は、

水分です。

コンクタクトレンズの素材は熱によって変形してしまいます。
また、レンズは眼内に入れるために適切な成分が含まれていますが、当然シャワーや浴槽に張ったお湯とは中身が異なります。レンズにお風呂場の水分が触れると成分の差を均等にしようとする力が働き(浸透圧)、その力に引っ張られてレンズの形が変わってしまうのです。

これはちょっとやそっとの時間ならそこまで大したことはないのですが、長風呂が好きで1時間とか2時間熱々の湯船に浸かっている人は要注意。変形した後のレンズは、ゴロゴロしたり見えにくくなったり角膜を傷つけやすくなったりといったことが発生します。

あとはなるべく目の中にシャワーの水が入り込まないように気をつけましょう。目を強くごしごしこすったりするのもNGですし、浴槽に頭から潜るのが好きな人もコンタクトをつけている時は我慢ですよー。

コンタクトの管理が雑

コンタクトを使う上で最も気をつけなければいけないのは雑菌の繁殖。
ワンデーならそこまでではないのですが、2週間以上の連続装用レンズを使って入浴している人はレンズの消毒・洗浄を普段以上にしっかり行う必要があります。

というのも、お風呂場というのは普段の生活の中で雑菌が目に入る確率がかなり高い場所だから。水分は菌の住処とも言えるので、お風呂上がりにはほぼ間違いなく多量の雑菌がレンズに付着しています。
しっかり洗浄液で洗い流せればそこまで問題はないのですが、こすり洗いが足りてないと菌が落ちきらずにレンズケースの中で繁殖しやすくなってしまうんですね。

適当に洗っている人、洗浄液を交換せずにケースに入れっぱなしにして継ぎ足している人、ケース自体の交換を全くしない人、たまにいる洗浄液ですらなくただの水で洗い流している人。

正直かなり危険と言わざるを得ません。

 

どうして裸眼よりコンタクトのほうが感染症を起こしやすい?

ひとつの疑問として、「お風呂場がそんなに菌に触れやすい場所だと言うなら裸眼で入浴する人も危ないのでは?」と思うかもしれません。

以下のデータを見てみましょう。

近年、アカントアメーバ角膜炎が急増しており、その90%がコンタクトレンズ(CL)装用者で、中でも多いのは、2週間頻回交換ソフトコンタクトレンズ(SCL)とSCL消毒剤MPS(multipurpose solution:多目的用剤)を使用している者であるといわれています。

出典:ソフトコンタクトレンズ消毒剤MPS使用者におけるアカントアメーバ角膜炎発症防止に関する要望書

アカントアメーバとは土や水道水など、どこにでも含まれているありふれた微生物ですが、角膜から入り込んで失明や脳炎を引き起こす可能性のある危険な生物です。
調査では、このアメーバが起こした角膜炎の患者の大半が2週間タイプのコンタクトレンズ装用者だと提示しています。

このアメーバを始め、実は菌というものはおおよそ数が少なければそこまで悪さをしないもの。シャワーから流れる菌がちょっとやそっと目についたからといってトラブルになることはほとんどありません。
重要なのは、菌の数が増えやすい環境があって、そこで増殖した菌が直接目に付着する可能性があるかどうかということなのです。
そう考えると、前述したレンズケース内での菌の増殖が感染症の大きな原因になるだろうことがわかりますよね。

さらにコンタクトを長期的に利用してきた人は角膜にキズが多くついている人が多く、再生能力を持たない角膜内皮が不揃いになってしまったりと、感染しやすい条件が整ってしまっていることも要因のひとつでしょう。

 

コンタクト風呂のフローチャート

ここまでを踏まえて、なるべく危険性を減らしたコンタクトをつけたままの入浴手順を考えてみます。

 

まずお風呂場に入ってシャワーや湯船につかる際は、とにかく目の中にお湯がかからないよう注意を払って下さい。
頭を洗う時はしっかり目をつぶったまま最後まで洗い終えるようにしましょう。目にシャワーのお湯が入り込むことを防げるだけでなく、流したシャンプーを目とレンズの隙間に侵入させないという点でも重要です。

レンズの変形を防ぐためお湯の温度を上げすぎないようにして、なるべく少なめの時間で入浴を終えるようにします。

そしてお風呂から上がったなら、可能な限り速やかにコンタクトを外しましょう。放っておくとレンズは水分を急速に失い眼球に張り付いてしまう可能性があります。
原因は洗い場の熱で水分が蒸発するせいですね。レンズがわずかに変形することで内部組織から水分がさらに抜けやすくなっているのも乾燥に拍車をかけています。お風呂上がりって肌があっという間に乾燥するイメージありませんか?入浴によって肌の角質に隙間ができ、内部の水分が抜けやすくなってしまうためですが、レンズにも近いことが言えるのでしょう。

そして翌日以降もそのレンズを使うのであれば、このタイミングでしっかりと洗浄を行います。大概はMPS洗浄液でしょうから、外したレンズをこすり洗いする必要があります。
まず手、特に爪先を丁寧に洗ってから、目安として、洗い残し部分がないように意識しながら20回程度はしっかりこするようにします。

この時、試しに20回数えながら洗ってみて下さい。
いつもより結構長くやったなーという気がする人はちょっとアブナイです(笑)。

髪を乾かしたりレンズを洗ったりする時にはぜひお風呂用眼鏡を利用しましょう。
これは入浴を想定した眼鏡で、フレームもレンズも100℃付近の熱にも耐えられるよう設計されています。もちろん最初からこの眼鏡を使用してもいいのですが、お風呂の中では水滴や湯気で見づらくなるのが嫌という人もいるでしょうから、その場合この眼鏡は風呂上がりに活用するのがベストと言えます。

 

まとめ

コンタクトレンズをつけたまま入るお風呂の危険性とその原因を納得いただけたでしょうか。

この記事で取り上げたトラブル要因は、そのほとんどがレンズを複数日使い回すことに端を発しています。
つまり最も簡単な対策は1日使い捨てレンズを利用することですね。それであれば、たった一回の入浴におけるレンズの変形や雑菌の付着などが深刻な自体を招く可能性は少ないと言えます。

生活の上でお風呂の中というのはかなり独特な環境となっているということを理解して、出来る限り安全にコンタクトレンズを使っていきましょう。