眼鏡は買った時にすっきりかけられるようフィッティング作業が行われますが、時間が経つにつれ少しづつズレが起こり、特に耳周りに痛みが発生することがあります。
他にも目だったり鼻だったりの場合もありますが、まあいいかとそのままの状態を放置するのはオススメできません。
視力に影響が出たり頭痛の元になったり、あるいは関係なさそうな肩や腰に変調をきたすことさえあるのです。
たかが少しの痛みと侮るなかれ、この記事では眼鏡のかかりによる意外な痛みの原因をわかりやすく解説していきます。
耳が痛くなる主な原因
大抵、痛みのパターンとして「片方の耳が痛い」という訴えが多い印象です。
それは日々の生活の中で何度もかけ外しをするうちに、フレーム全体に歪みが発生して右と左のかかり方に差が生まれてしまったことが原因です。
耳の後ろは特に痛みを過敏に感じやすい場所でもあります。
ズレが起こるということは、眼鏡が本来あるべき正しい位置にかかっていない状態。
つまりレンズが最も楽にものが見える位置から外れてしまっているのです。
よって、しっかり見ようと目を常に緊張させるので、眼精疲労を引き起こしやすいと言えるでしょう。
はっきり耳が痛い時だけではなく、漠然とした不調として現れてくる場合もあるので注意して下さい。
・長時間かけていると耳が痛んでくる
・目の疲れが最近ひどい
・頭痛がするようになった
・目の上のまぶたがピクピク動くことがある
例えばこのような症状を感じるようになったら、それは眼鏡のかかりによる影響であるかもしれません。
テンプルの曲がる位置があってない
眼鏡は販売前から耳にひっかける場所(モダン)に曲がりが付けられています。
これは、「おおよそこのサイズの眼鏡をかける人はこの辺りに耳があるだろう」という予測のもとにつけられたカーブです。
人によって顔の形は様々ですから、当然このカーブと耳の位置がピッタリ合わないということが有り得るでしょう。
①縦のカーブ
眼鏡をおかけの方は、ご自分の耳の付け根の一番上を触ってみて下さい。
どうでしょうか。
その頂点部分から耳の後ろに沿ってモダンは曲がり始めていますか?
この曲がりが早すぎると、テンプルが後ろから押されたような状態になり、そちら側だけが前方に飛び出してしまいます。
結果全体が傾くことにより耳や鼻に痛みが出てくるでしょうし、横から見るとテンプルが明らかに浮き上がって非常に格好の悪いことになります。
そして今度は逆にカーブの始まりが遅い場合は、外から見るとそこまでわからないのですが、正しく重さが分散できていないのでテンプルに当たる一部分だけにやがて痛みが発生するでしょう。
②内側へのカーブ
眼鏡のつるは、縦方向だけでなく内側へも弧を描いていますよね。
これは、頭部をその曲がりで適度に締め付けることで、眼鏡が全体として(特に前後に)動いてしまうことを予防しています。
つまりここが緩ければ押さえが足りず、耳の他の部位への負荷がかかったり、眼鏡がずり落ちていきます。
逆にきつければ、それはもう普通に痛いでしょうし高確率で頭痛の種になることでしょう。
テンプルが広がっている
眼鏡を外して広げたままテーブルの上に置いてみて下さい。
左右どちらかのテンプルが根本から外側へ広がっていたりはしませんか?
普段眼鏡を外す際、多くの人はどちらか片方の手でテンプルを持って外そうとします。
するとその拍子に、手に持っていない方に外側へ広がろうとする力がかかってしまうわけですね。
この広がりによって全体の押さえが緩くなるので、眼鏡がずり落ちるようになったなと感じたら、大抵はこの状況になっていることが多いです。
このような状態を気にせずにかけていると、モダン部分も正しい位置にかからなくなるので痛みの温床になります。
もともとフレームのサイズが合ってない
特に女性に多いのですが、最近は大きめのセルフレームをかける方が多いですね。
流行るだけあってオシャレで素敵なのですが、顔に対して大きいサイズのフレームを選ぶと、眼鏡を支える3点(鼻、こめかみ、耳の後ろ)のうちこめかみ部分がスカスカに空いてしまいます。
つまり前述のテンプルが広がっている場合と同じ状態になっているわけです。
正直調整でどうこうできるレベルを超えたサイズを選ばれている方もいるので、どうしてもという方はせめて鼻パッドのあるフレームを選んで下さい。
鼻パッドの高さを変えることで支えのバランスをコントロールして、痛さを軽減できる可能性があります。
鼻パッドの位置が悪い
ではその鼻パッドの話ですが、実は耳の裏が痛いと訴える人の何割かは、テンプル側ではなく鼻パッドが原因なことがあるのです。
どういうことかというと、仮に鼻パッドが曲がって抑えが弱くなった場合、そのまま下にずり落ちてきてしまいますよね。
するとそれに引っ張られて、耳の後ろにかかっているモダンも前に動こうとする力が働いてしまいます。
この時、モダンに押されて耳の裏が痛むのです。
鼻パッドはちょっとした衝撃でも曲がったり歪んだりします。
それに気付かないままモダンばかり気にしていると、本来調整すべき鼻パッドを見落としてしまうので注意しましょう。
(眼鏡屋の店員でも気付かない人がままあるパターンです)
マスクとの同時使用
コロナ流行以来、マスクを長時間付ける機会が増えてきましたね。
それに伴って増加したのが、マスクと眼鏡を併用することによる耳の痛みです。
単純にマスクと眼鏡のどちらかのサイズが合っていないせいかもしれませんが、どちらも耳に負荷をかけているのは間違いないので、同時使用により痛みやすいというのは起こりうる話です。
この2つは外そうと思っても外せないことが多いので、悪化する前に対処をしておきましょう。
耳の痛みを解消するために
曲がらないように気をつける
フレーム関係が原因であるならば、とにもかくにもまずはフレームが歪んでしまわないように注意しましょう。
普通に使用して徐々に曲がっていくのは仕方ない面もあるのですが、抑えられる分は抑えていきたいところですよね。
◎眼鏡を外す時は両手で外すようにする
上で説明している通り、片手外しはテンプルを曲げる原因になります。
◎なるべくケースに入れて保管する
眼鏡を外した後はついその辺りに置きっぱなしにしてしまうものですが、やはり踏んづけたりするリスクを回避するために、面倒でもケースに入れて保管して下さい。
◎たたむ時は左耳側のテンプルから
眼鏡は折りたたむ時、左側を先にたたむよう設計されている傾向があります。
よって、右側を先にたたむと膨らみが生まれ、ケースに入れる際に押しつぶされ曲がってしまう場合があります。
◎熱にさらさない
眼鏡はフレーム、レンズともに熱には非常に弱いと考えて下さい。
炎天下の車内に放置したりとか、眼鏡をかけたままオフロに入ったりドライヤーをかけたりすると極端な劣化を招きます。
自分で調整してみる
可能ではありますが、行う場合は十分な注意が必要です。
眼鏡の調整は加減が難しく、力の方向を間違えるとすぐ破損してしまうからです。
専用の工具が必要な場合もありますので、自分で調整しても大丈夫そうかどうかを気にしながら行って下さい。
フレームによっても変わってきますが、調整の難易度を大別すると以下のようになります。
総じて眼鏡を接続するパーツは脆いため、そこに力が加わるような調整は避けたほうが無難です。
眼鏡屋さんに持っていく
結局はこれに付きます。
眼鏡はイメージよりするより更にデリケートな製品ですので、基本的には眼鏡屋さんに任せてしまうのが確実でしょう。
特に既に耳に痛みが出ている場合、急いで眼鏡屋さんに持ってきて下さい。
たまに耳の縁が痛々しく腫れたままかけている人や、擦れた痕が残ってしまっている人も見かけます。
早めに相談してもらえればこんな状態になることは絶対に防げますので、遠慮なく持ってきて頂くのがよいかと思います。
まとめ
眼鏡は時間とともに変化していきます。
人の手で毎日使用されていることを考えれば当然ですよね。
どんなにぴったりフィットしていた眼鏡もいずれ変調をきたす可能性があるので、たまには調子を見てあげると眼鏡は長く使っていけるのではないでしょうか。