ちょっと前に「オンライン会議などの最中にメガネのレンズにPC画面が反射して情報が流出する」という面白いニュースが流れてきたので取り上げてみたいと思います。
発端はアメリカのZhejiang University(ミシガン大学)と中国のZhejiang University(浙江大学)による研究で、内容としては
- 画面の向こうにいる相手のメガネに反射した文字が読めるかどうかをユーザーによってチェックする
- カメラの解像度ごと(780P、1080P、4K)で違いを比較する
- 文字のサイズで違いを比較する
といった感じ。
研究では、門外不出のデータがメガネの反射なんて意外な部分から流出してしまう可能性は十分にあるという結果を示しています。
オンライン会議を頻繁に利用している方にとっては他人事ではないですよね。
かくいう私もその一人。取引をしているフレームやレンズのメーカーとビデオ会議でやりとりすることは少なくありません。
いやー困った。
ということで、その原因と少しでも対策を打つ方法はないか調べてみたので一緒に見ていくことにしましょう。
メガネは思いの外画面を反射する
「何だかこの人のメガネ、めちゃくちゃ反射してない?」
オンライン会議で参加者の顔がずらっと並んでいると、時々やたらとメガネのレンズがペカペカしている人がいます。
目を覆い隠すくらいキラッと反射して漫画表現かよと思ったりもしますが、企業情報の流出という懸念が生まれたとあっては笑い話にもしていられません。
そのシーンを思い出すと、たしかに何かしらのの景色が映り込んでいるような気はします。
ただ文字が読めるかどうかと言われると…んー?と感じる自分もいるので、まずは研究報告を読んでいきましょう。
上記写真はノートパソコンのwebカメラから人がかけたメガネレンズがどう映っているかを解像度ごとに撮ったものです。
(b)が720pで、ノートパソコンの内蔵カメラ。
(c)が1080pで、高性能の外付けカメラ。
(d)が4Kで、撮影機材は一眼レフカメラとなっています。
順に解像度が高くなっていくわけですが、見ての通り文字をかなり読めてしまいます。
720pであればぼやけが強いため厳しいものがありますが、それでも大きな文字はなんとか読めそうな気がします。
えーと…cyber…curty…der…issued?かな?
ここまで読めればサイバーセキュリティに関する資料かなくらいは予想をつけることができますね。
さらに1080pなら大きな文字は完璧に読めて、4Kともなればかなり小さい字も十分に読み取れる感じ。画像を拡大すれば全文いけるかもしれません。
実験では、720p時に10mmサイズの文字を75%の人が読み取れると回答。
10mmとは例えば記事のタイトルなどに使われる見出しサイズ(フォント28pt)が当てはまります。やはり「何を読んでいるか」くらいならばバレてしまう可能性があるのでしょう。
逆に、これ以下のサイズで例えば本文に使用される文字(フォント16pt)までもを盗み見ようと思えば、カメラの解像度は4Kレベルが必要になると言えます。
4Kでオンライン会議やるやつなんかいねえよ!と思ったあなた。私も同感です(笑)。
現状はそこまで心配しなくてもよさそうですが、今後さらに技術が発展してノートパソコンに標準搭載されるカメラの解像度が4K以上になっていった場合、データ漏洩のリスクが高まることを示しています。
今後の生活においてこのお話を頭の隅にとどめておく必要はありそうですね。
反射を起こしやすい状況とレンズ
ところでメガネのレンズが反射する人としない人は何が違うかというと、
基本的に影響してくる要素として光源の強さと角度とレンズの種類の影響が考えられます。
当たり前ですが光源の光が強いほどレンズもよく反射します。
これはPC画面の輝度が高かったり、部屋が暗くて相対的に画面の明るさが際立ったりすることで発生しやすくなります。
あとは画面映りを良くするために、最近は被写体を照らすように照明を設置する人が増えてきたのも一因ではないでしょうか。証明は影を消して人物を明るく印象良く照らし出してくれますが、その分メガネに反射する光もいや増してしまうというわけですね。
あとは光源に対するレンズの角度も重要。
画面に対して完全にまっすぐ向いたり、照明を下手な位置においた場合、webカメラに対して反射光が届きやすくなります。
なので解決法として、①カメラに対してわずかに顔を傾けてみる ②照明を斜め上から照らすような位置に設置する とするとたったそれだけで画面の映り込みをかなり低減することが可能です。以下の動画ではそのあたりをわかりやすく比較解説してくれているので少し覗いてみて下さい。
(2:18~/2:50~/3:25~ で映り込みの比較を行っています)
ダントツの低反射率を誇るリフレクションコート
最後にレンズの種類ですが、
①現在殆どのレンズで採用されている『反射防止コート付きレンズ』
②PCやスマホ対策の『ブルーライトカットコート付きレンズ』
③サングラスによくある『ハードコートレンズ』
がよくあるパターンでしょう。
みなさんが使っているのはほとんどが①か②じゃないでしょうか?③はまずいないと思うので省きます。
画像のマネキンがかけているメガネ、向かって左側(緑反射)が『反射防止コート』、右側(青反射)が『ブルーライトカットコート』になります。
こうしてみるとわかりますが、ブルーライトカットを施したメガネはかなり光の反射が目立ちます。青色光が目に届かないように跳ね返しているからこうなっているわけですが、傍から見た場合は悪目立ちしてしまうのが玉に瑕と言えるかもしれません。
そして今回のお話においても、ブルーライトカットコートのほうが情報流出の危険性が高いということになってしまいそうです。うーむ、目の保護を取るか、データの保護を取るか…。
いずれこの2択に悩む時代がくるかもしれませんね。
さて最後に、じゃあもっと反射しないレンズはないの?と思った方に、東海光学の「ノンリフレクションコート(NRC)」をご紹介しておしまいにしたいと思います。
東海光学
今までの通常反射防止コートの反射率が1%とすると、このノンリフレクションコートはなんと0.19%まで抑えてくれるそうで。
実際に見せてもらったことがあるのですが、このNRCは明らかに反射光が少ないのがひと目で分かるレベルでした。さすが超低反射を名乗っているだけはある…。
低反射を謳うレンズは他にもカールツァイスやKODAKから発売されていますが、どちらも高額だったり取り扱う眼鏡屋さんが少なかったりするため、やはりこの東海光学のNRCがオススメです。(東海も決して取り扱い店舗が多いわけではないですが)
オンライン会議でメガネの反射が気になる人、写真映えをもっと良くしたい人、機密情報を絶対に死守したい人はいちど試してみてはいかがでしょうか。