眼鏡の度数の見方がわからない人必見!処方箋にまつわる疑問を解決します

眼鏡、もしくはコンタクトを作る時に必要になるのが度数の記載された処方箋。
でもいろいろ数字が書いてあってパッと見方が分からない…。

・そもそも必ず必要なの?

・いつまで使っていいものなの?

・コンタクトの処方箋を眼鏡で転用してok?

等、処方箋についてまわる疑問の数々にお答えします!

知れば簡単!あなたの目を処方箋で一発把握

眼鏡や色々なものを並べる

何を作ろうとしている処方箋なのか

処方箋には用途によって便宜上いくつかの種類に分けられます。

  1. 近視用(遠くにピントが合わせられない人)
  2. 遠視用(全体的、特に近くにピントを持っくるのが難しい人)
  3. 老眼用(目の調節力が落ちて、手元が見づらい人)
  4. 遠近両用(’遠い所+近い所’、あるいは’室内の少し離れた場所+手元’のように2箇所以上見たい場所がある人)
  5. コンタクトレンズ用

おおまかにこの5つですね。
近視、遠視、老眼用は一箇所にのみ焦点を当てる単焦点レンズを用います。

~用と書きましたが、基本的にはどんな度数を入れてどの距離で使いやすくするかという違いがあるだけで、レンズそのものが違う種類になるわけではありません。

乱視がある場合も同様で、乱視の度が入るかどうかだけの話です。
乱視専用の設計のレンズがあるわけではありません。(屈折率を上げたりして結果的に乱視でも見やすくなる、ということはあります)

例外は遠近両用で、これは1つのレンズに2つの度数を入れることから違う設計図が用いられていると思っておいて下さい。
それに伴って、処方箋に書かれる情報は多くなっているはずです。

そして、眼鏡以外としてコンタクトレンズを作る場合の処方箋も少しだけ内容が変わります。

では順番に見ていきましょう。

 

これだけ分かれば眼鏡はすぐに作れる

実際に眼鏡を作成する際、最低限以下のものだけわかっていれば大丈夫です。
球面度数(D、S、SPH、PWR)
乱視の度数(C、CYL)
乱視の軸(A、AX、AXIS)
目と目の間の距離(PD)

ここに、遠近両用メガネであれば
「加入度数(ADD)」

コンタクトレンズであれば
「レンズが描く弧の角度(ベースカーブ、BC)」

が必要になります。

 

球面度数(D、S、SPH、PWR)

レンズに入れる矯正度数のことです。
やたらと表すアルファベットが多いですね。でも全部同じものを指しています。
言葉で伝える時は、「ディー」や「エス」や「パワー(コンタクトの場合)」で通じるでしょう。

「ー(マイナス)」と「+(プラス)」に分かれていて、近視の場合は-を、遠視や老眼の場合は+を入れます。
0.00D(度なし)から0.25刻みで変わっていき、数字が大きくなるほど矯正する力が強いことを表しています。

自分の度数が強いほうなのかを気にされる方が多いようなので、すごく大雑把に
0D~2Dが低度数、3D~5Dあたりが中度数、6D~は高度数とお答えしておきましょう。
ただの目安ですが、どんな設計や屈折率のレンズを使えばいいかの指標になると思います。

ちなみに度数(D)と視力(V)は混同しやすいことに注意して下さい。

学校や病院の視力検査で書かれる数字が視力(V)ですね。

例えば、
右レンズに2.00D、左レンズに1.50Dの度を入れた眼鏡で見たら、1.0Vの視力が出た
というように使います。

「前の眼鏡の度数はいくつでしたか?」と聞くと「0.1で作りました!」とお答え頂くときがたまにありますが、そう答えたお気持ちはよくわかります(笑)。
裸眼視力が0.1Vしか出ない時に(おそらく1.0Vあたりまで)よく見える眼鏡を作ったよ、ということなのでしょう。

眼鏡屋さんなら意図は汲み取ってくれますが、もしネットで眼鏡を購入するときなどはご自分で処方箋のデータを入力することと思います。
なのでここの部分は間違えないように気をつけましょう。

 

乱視の度数(円柱度数、C、CYL)

乱視がある目は映像が二重にぶれて映ってしまいます。
これを矯正するのが乱視度数で、「シー」もしくは「シリンダー」と読んで下さい。
こちらも0.25刻みで数字が大きいほど強いぶれを修正することが出来ます。
乱視が強めに出ている人は、この乱視度数を入れるとかなり景色がクリアに見えることでしょう
ただ乱視の眼鏡に慣れていない人は、かけるとクラっときたり、ぐわんと景色が迫ってくるような感じがしたりと慣れるまでは使いづらいかもしれません。
その時は乱視度数を弱めるか、いっそ抜いてしまってその分球面度数を上げるというのも手ではあります。

 

乱視の軸(円柱軸、A、AX、AXIS)

乱視を入れる場合、度数だけではダメでこちらの乱視の軸(円柱軸)をセットで入力する必要があります。
先ほど乱視は映像がぶれると書きましたが、それには方向があります。
横方向にぶれるのか、縦方向なのか、あるいはナナメに二重に見えているのか。
その方向を角度として表示しているわけですね。
度数と同じく人によって全く違うので、これも重要な要素と言えます。
軸度の数字を間違えてしまうと、全く効果がないばかりか下手をしたらぶれを増幅してしまう可能性すらありますので気をつけて下さい。
読むとしたらそのまま「エー」で、数字は5刻みで5°~180°までが存在します。

 

目と目の間の距離(PD)

あまり知られていないですが、PD(ピーディー)も忘れてはいけない重要な数値です。

眼鏡の時のみ出てくる数字で、左右の瞳孔間の距離(黒目の中心同士の距離)を示しています。
PDが大きければ外寄りの目、小さければ内寄りの目と言えます。

ではなぜPDが重要なのかというと、これがわかれば眼鏡をかけた時、レンズのどの辺りに黒目が配置されるかが決まるからです

レンズはもともと大きな丸い形をしていて、そのほぼ中央に光学中心というものがあります。
この光学中心こそが歪みがなく一番良く見えるポイントなので、眼鏡のフレームの形に合わせて削り出す時、かける人の黒目がちょうどこの光学中心にぴったり当たるように加工できるとベストです。

つまりPDがわかれば、レンズのどこに光学中心をもってくればいいかが判明するわけですね。

平均を取ると、男性のPDは64mm、女性は60mmあたりになります。
処方箋によっては左右で分けて表示している場合もあります。
鼻の中心線からそれぞれ瞳孔までの距離になるので【右32mm 左32mm】のように分かれていますが、基本はそれを足してPD=64mmのようになると思っていて下さい。(左右で違う数値になる時もあります)

ちなみにコンタクトレンズは直接眼球に装着するのでPDが必要ありません。

 

加入度数(ADD)

遠近両用のときにだけ出現する数字です。
「アド」とはほとんど言わないですね。普通に加入と読んで下さい。

遠近ではレンズの上半分で遠くを見る度数を入れ、下半分に近くを見る度数が入ります。
累進レンズといい、上から下に向けてグラディエーションのように徐々に度数が変わっていく設計になっています。
上の度数からどれくらい近くを見る用の度を下側に入れるかということを表すのが加入になります。
その構造上、中心を外れた左右側に歪みが発生して普通の単焦点より視野が狭くなることに注意して下さい。

遠くの度数の書き方は単焦点レンズと同じでS-3.00DやS+2.50Dなどと表記され、
そこに近くを見る度数として加入が「ADD+2.00」という数値で追加されているはずです。

 

では仮に『右目がS-3.00D、左目がS-2.50D、加入が+1.50D』と書かれていたとしましょう。

この場合、
右目で遠くを見る時は-3.00Dの度数、近くを見る時は-3.00+1.50=-1.50Dの度数を使う
左目で遠くを見る時は-2.50Dの度数、近くを見る時は-2.50+1.50=-1.00Dの度数を使う

となるわけですね。
-の数字が大きいほど遠くを見るのに適しているレンズということになるので、加入でその数字を下げることで近くを見やすくしているという寸法です

加入は左右とも同じ数字が入るので一箇所にしか記載されません。
そして加入が大きくなるとは、つまり遠くと近くの度数差が開くということであり、上下の度数が急激に変化するという状態に他なりません。

人によってはその変化が大きいせいで遠近がうまく使えなかったという場合もあることでしょう。
その際は、遠くの度数もしくは加入の数字を落として上下の度数差を減らせば解決するかもしれません。
あるいは、レンズを高性能なものに変えることで歪みを軽減させるのも良い手段です。

 

レンズが描く弧の角度(ベースカーブ、BC)

コンタクトレンズの場合、PDがない代わりにBCが必要になってきます。

眼球には丸みがあり、そのカーブの曲がり方は人によって違ってきます。
コンタクトレンズは眼球に直接貼り付ける関係上、そのカーブにピッタリ合った角度のレンズを選べば目に良くフィットした装着をすることができるわけですね。

その曲がった角度を表したのがBCで、数字が大きいほうが角度が緩やかになります。

1dayや2weekレンズの場合、BCは大体850~900のあたりの商品が主流のようです。

ちなみに日本人の平均は860~870と言われていますが、正確なところは眼科で測ってみないとわかりません。
BCは多少ずれていても問題はないですが、可能ならある程度かみ合うレンズを選ぶようにしましょう。

 

その他まれに見かける表記

E.P(アイポイント)
これもPDと同じく瞳孔の位置を表す単位です。
違いとしては、PDが左右の瞳孔間=横の距離なのに対し、EPはレンズの中における黒目の位置の高さ=縦の距離を表すために使用されることが多いですね。
単焦点の遠く用眼鏡を作る時、処方箋に「EP+2.00」と記載されている場合がありますが、これは
レンズの中心より2mm上の位置であなたは見るだろうから、一番良く見える光学中心も2mm上にずらしておきますよ』
という意味を表しています。
上記画像を見て下さい。
青い線は、縦横それぞれフレーム枠の幅の真ん中から二等分するように引かれています。
つまりフレームの枠から見た中心は青い線が交差する場所になるのですが、人は遠くを見ようとする時少しだけ目線を上げるように出来ています。
すると実際に黒目で見る位置は、青い線の交差する場所より気持ち上にずれることになるわけですね(図の赤い点)。
このずれがおおよそ2mmになります。
プリズム(P) 単位:Δ
斜視や斜位を持っている方が眼鏡を作る時、この数字が出てくるかもしれません。
本来左右の目は同じ方向を向いていますが、斜視があるとその視線の方向がずれてしまいます。
これにより、右目からの映像と左目からの映像を上手く脳で重ね合わせることが出来ず、立体視がやりづらかったりと様々な弊害が起こるかもしれません。
これを矯正するために入れるのがプリズム。
プリズムレンズを通すと、光の進路を大きく曲げることが出来ます
例えばまっすぐ見ようと思っているのに左目が外側を向いてしまう場合、光を内側へ曲げてあげれば結果的にまっすぐ見たのと同じ状態を作り出せるわけです。
この、光をどれくらい曲げますか、ということをプリズムという数値(単位はΔ)で表記します
基底(BASE)
上記のプリズムを入れる時、じゃあどっちの方向に曲げるかという話も必要になりますよね。
それが記入されているのが基底になります。
症状基底方向処方箋での表示
目が外側を向く
(外斜視)
基底内方(光を内向きへ曲げたい)IN / BASE IN(ベースイン)/ BI 等
目が内側を向く
(内斜視)
基底外方(光を外向きへ曲げたい)OUT / BASE OUT(ベースアウト)/ BO 等
目が上側を向く
(上斜視)
基底下方(光を下向きへ曲げたい)DOWN / BASE DOWN(ベースダウン)/ BD 等
目が下側を向く
(下斜視)
基底上方(光を上向きへ曲げたい)UP/ BASE UP(ベースアップ)/ BU 等

上記のように基底方向の表示方法はいくつか存在しますが、どれも同じ意味です。

ちなみに角度で表示する場合もあって、

基底内方:右目なら、左目なら180°
基底外方:右目なら180°、左目なら
基底上方:90°
基底下方:270°

となります。(内方外方のみ左右の表記が変わります)

仮に「左目が外側を向いていて、4Δ分のプリズムを内側方向へ入れるとちょうどよく見える」とします。
実際には、左目だけプリズムを入れると動かす量が多くなりすぎる上に厚みのバランスも崩れるので、左右で半分ずつ数字を振り分けるのが一般的です。

つまりこの場合処方箋には

プリズム基底(下記のどれかひとつ)
R(右目)IN/BASE IN/IN/0°
L(左目)IN/BASE IN/IN/180°

と書かれることでしょう。

 

視力表記
この度数の眼鏡であなたはこれくらいの視力が出ていますよ、という表示です。
単位はVで、1.0が見えるなら1.0Vなどと書かれています。
処方箋内であれば、
右目視力:RVもしくはVD
左目視力:LVもしくはVS
となっている場合もあります。

 

これで解決!処方箋の疑問Q&A

眼鏡と資料

処方箋は必ず必要になる?

メガネに関しては特段必要ありません。

どの眼鏡屋さんでも視力検査をする機械がありますので、その場で視力を確認してお作りすることができます
処方箋をお持ちくだされば眼鏡屋さんの検査時間を省略できるので、もちろんその形でも構いません。

ただ、処方箋に書かれたレンズを在庫しているかはお店次第なので、その当日で完成できるかはわからないことには注意してください。

そしてコンタクトは基本的に処方箋が必要となります。

コンタクトは度数以外にも、眼のBC(ベースカーブ)や装着の際のつけ心地を調べなければなりません。
その設備やテストレンズは眼科にしか置いてないことがほとんどです。

なので、特に初めてコンタクトを使用するという方は処方箋を求められるでしょう。

 

処方箋がなくても良い場合は?

逆に処方箋がなくても購入が可能なのは、既にコンタクトをご利用、あるいは過去に使っていたことがあるという方です。
その時の旧度数のデータさえあれば(口頭の申告でも大丈夫です)、そのままご販売が可能です。

特にそのお店を一度でもご利用されたことがあるなら、大抵はお客様のデータが残っていますので度数を忘れてしまっても問題なく買うことが出来るでしょう。

 

処方箋は何処で取ればいい?

お近くの眼科さんでお取りになってください。

ちなみに眼科と謳っていない小さなクリニックなどでも処方箋は取ることができる場所がありますが、 そういったところは曜日によって本職の眼科医さんではないお医者さんが担当していることがあるので、 気になる方は確認をしてください。

 

眼科と眼鏡屋で測ってもらうのは何が違うの?

大きな違いとして、 眼科では度数以外にも目の中の状態をチェックしてもらうことができます
眼球に傷がないか、白内障や緑内障のけがないか、直接目の状態を見ますので病気の初期症状を発見しやすいと言えるでしょう。

その辺りのことが問題ないのであれば、眼鏡屋さんで測ってもらう方が手っ取り早いと思います。

眼鏡屋さんは当然眼鏡のプロですので、どういったメガネが楽に使えるか、あなたの生活に合っているかをよく考慮した上で度数を導き出してもらえることが多いイメージです。

個人的に、遠近両用眼鏡の場合は眼鏡屋さんがオススメです。
遠と近どちらを重視するかやどんなものが見れたら良いかが人によって違うため、ゆっくりお話をする時間が取れる眼鏡屋さんの方が馴染んだ眼鏡が作りやすいです。

あくまでも傾向なので、どちらでないといけないということはないので安心してください。

 

眼鏡とコンタクトの処方箋は使いまわして大丈夫?

使い回さない方が無難です。

というのも、比べるとメガネの方がコンタクトより強い度数になることが多いからです。
コンタクトと眼鏡の大きな違いはレンズから目までの距離ですが、この距離が遠いほど度数を上げないと視力は確保できません。

眼鏡をお持ちの方はかけている眼鏡を1 cmほど前に浮かせてみてください。
すると見えていたはずの文字がぼやけていくのを確認できるはずです。

それで分かる通り、目との距離が近い(ほぼ0距離)コンタクトのほうが度数は低くて済む計算となります。

このように眼鏡とコンタクトはそれぞれ最適な度数がありますので作る際には必ず度数を測るようにしてください。

 

昔に取った処方箋はいつまで使って良い?

処方箋には期限があります
眼科によって違いますが、短ければ3日、長ければ数ヶ月という期限が設定されています。

場合によってはたったの一回しか使えないという処方箋もあるので注意してください

ただし上で説明しているように 処方箋がなくても大丈夫な状況というものもありますので、そういった時は期限の切れた処方箋を昔の参考データとして利用していただくと良いでしょう。

 

処方箋ってどこの眼鏡屋さんでも使えるもの?

使えます。

必要な情報さえ書いてあれば、どの眼科で取得した処方箋でもお作りすることができます
特定の眼科と提携している眼鏡屋さんもありますが、その場合はその眼鏡屋さんで使用して下さいと勧められるかもしれません。

 

処方箋の度数等を変更してもらうには?

最初と同じように眼科で処方箋を発行し直してもらってください。

作ったメガネやコンタクトが合わないなと感じた場合は、遠慮なく相談していただくのが良いかと思います。

 

処方箋と違う度数や種類の眼鏡、コンタクトはその場ですぐ購入できる?

これはお店によって取り扱いが違ってきます。

多くの場合自己申告の度数を購入することは可能です
ただそのお店で購入履歴のない度数を買おうとした場合、「お客様の責任でご利用ください。返品交換はできませんがよろしいですか?」などといった条件を付けられる場合もあります。

しかしメガネに関してはお持ちになった処方箋の内容を勝手に変えることは禁止されているので、 眼科でもう一度取り直してくださいと言われる可能性が高いでしょう。

 

カラーコンタクトの色を変えたいんだけど?

同じ商品の同じ度数であれば、色を変更することは問題ありません。

 

なら同じ商品名の1dayと2week(ex:1dayアキュビューモイストオアシスと2weekオアシス)なら変えても大丈夫?

同じ商品でも1dayと2weekでは同じようにつけられるとは限りません

そもそもベースカーブの数字が違ったりしますし、装用感などにも差があるのでワンデーをつけていた方が2weekと合わないということも十分にありえます。

 

カラコンとクリアレンズだと度数は違ってくる?

これは気にしなくても大丈夫です。

カラコンは黒目の視野に触れる部分にはかかってきませんので、特段視力に差が出るということはありません。