レンズについた傷は結局直していいの?ダメなの?直すと何が起こるか知っておこう

眼鏡って使っているといつの間にか傷がついちゃってることありますよね。

どこかにぶつけたわけでもなくて普通に使っていただけなのに、すったような小さな傷が知らずあちこちにできていてもうゲンナリ。
油断すると買ったばかりの眼鏡でもそうなることがあります。

すると、この傷を何とかして直せないかと考えてしまうのが人の性。
実際、ダメージを受けたレンズを直せませんかと持ち込んでくる方は結構います。

ところがネットで直し方を探すと、自分で研磨すれば直るというサイトと、絶対に研磨しないでくださいというサイトの両方が見つかるかと思います。もちろんそれぞれ根拠があっての記載なのですが、読んでいる方としては結局どっちなんだと迷ってしまいますよね。

どちらの主張も間違ってはいないと思うので、ここではどういう傷なら自分で手入れが可能なのか、修理した後どうレンズが変わるかを解説していきます。
実態が分かれば、その眼鏡をどうするべきかしっかり判断がつくようになりますよ。

 

レンズを直す、は可能なのか

修理中の人

レンズの修理が可能かという話は、『直す』がどういう意味かで変わってきます。

結論から言うと、

レンズの傷がつく前の状態に修復させるのは無理です。

しかし、

レンズについた傷を目立たなくすることなら可能です。

この2つは大きく意味合いが変わってきますので、違いをおさえておきましょう。

 

一度傷ついた表面は元に戻らない

メガネのレンズを細かく見ていくと、レンズ本体の基材の上にいくつものコーティング層が重なってできていることがわかります。
この層はひとつひとつがとてつもなく薄い膜でできており、それぞれ違う役割を担っています。

  • ハードコート
  • 反射防止コート
  • UVカットコート
  • 撥水コート
  • キズ防止コート
  • ブルーライトカットコート

などがあり、ここに傷がつくとその部分から水分や脂などが入り込み、やがてコーティングの劣化を招くわけです。

そして劣化したコーティングを新たに貼り直すということは眼鏡屋さんでもできません。0.001mm以下という層の厚みなので、修復するのは果てしなく難しいのです。

なので、やはり傷がつかないように気をつけることが大切になってくるでしょう。

 

傷を削ってならせば目立たなくは出来る

では修復は無理として、他に何の手も打てないかというとそうでもありません。

レンズの傷直しで調べたことのある方は目にしたことがあるでしょうが、レンズ表面を研磨剤などを使用してこすることで小さな傷なら目立たなくなる場合があります。
次項でやり方を載せておきますが、頑張れば表面上かなりキレイに仕上げることが可能です。
これは眼鏡だけでなく、カメラのレンズを修繕する時などでも使用されるテクニックなのでそちらのやり方を参考にするのもいいかもしれません。

ただとても重要な点なのですが、あくまでも最初の傷とその周囲を馴染ませるために削った結果目立たなくなっただけであって、レンズのダメージ自体は増えてしまっていることに注意してください。
つまり、傷が見えなくなっただけでレンズが直った訳では無いのです。

これが何を意味するかと言うと、レンズを保護していたコーティングが研磨によって最初より大きく剥がれてしまうので、いずれそこから新たなトラブルが発生する可能性が高いと考えられます。

 

レンズ削りのデメリット

具体的には、まず屈折率の変化が挙げられます。

眼鏡レンズは非常に繊細な加工がされていてレンズを通る光をその人に合わせて曲げているので、レンズを削ったことによりその曲がる角度が変わってしまうと正しく視力矯正の効果が出なくなるのです。
ここがカメラレンズやガラスなどを研磨するときとの違いで、この僅かな屈折率の差でものが見えづらくなったり身体の調子をおかしくしてしまうことがあります。直接健康への被害が発生することは覚えておく必要があるでしょう。

他にも削った後のレンズ表面を一見キレイにできたとしても、厳密には荒れた状態を拡大してしまったことに他ならないので、光が乱反射したり不要な光が入り込んだりしてやはり目の負担が増えることが避けられません。

そして削る前よりレンズの寿命は間違いなく縮まってしまいますから、研磨をする際はその点を充分承知の上で行うようにして下さい。

 

どんな状態なら研磨する意味があるか

表面をキレイに直している人

レンズを見えづらくする傷はいくつかの種類に分けられますが、その全てで研磨が効果を発揮する訳ではありません。
大して意味がないばかりか逆に盛大に悪化させるだけという場合も存在します。

 

◎小さな擦り傷、浅い切り傷

一番効果的なのは、眼鏡を拭くことでいつの間にか自然にできる擦過傷やレンズ面をどこかにこすってしまいできる一本線の痕です。

こういったタイプの傷は浅くて済むので、ある程度研磨することで周囲と上手く馴染ませることは容易です。
こする時間が少なくできればレンズの悪化も最小限で済むでしょう。

 

○水ヤケ、化粧や整髪料のシミ

撥水コートが施されている眼鏡ならば、水分や化学製品の溶剤がついても弾いてくれます。なので最初は普通のクリーニングで落ちるかを試して下さい。

コーティングが古かったり傷が入っていていたりすると、そこに汚れが染み込むので拭いただけではなかなか取れないと思います。
その場合は、コートごと汚れを削り取ることで見た目を整えられるかもしれません。
もちろん撥水コートが更に傷つくので、次に同種の汚れがつく機会は早く訪れるでしょう。

 

△欠け、へこみ

強めにレンズを打ち付けてしまったり落とした場所が尖っていたりすると、プラスチックレンズといえども欠けることがあります。

深いダメージなので基本的には研磨非推奨です。強引に行ったところでその部分はまともに見えないでしょうから、かけていて非常にうざったいはずです。
強いて言うならフレームの縁からはみ出したあたりの、実質視界には入ってこない位置。ここなら屈折変化はさほど気にしなくで良いですし、モロに欠けたままよりは少しでも平に均しておいた方が見栄えは良いのでアリかと思われます。

 

✕コーティングはがれ、クラック

完全にアウトなのはこちら。
目で見てわかるくらいのコーティングはがれやクラックが広がっている場合、研磨剤で擦ったところで何一つ改善はされません。
頑張ってへばりついているコートがさらにバリバリ剥がれていくだけなので、レンズがこの状態のときは大人しく交換に出しましょう。

 

まとめ

せっかく買った眼鏡のレンズ、できればそのまま使い続けたいという気持ちはよくわかります。
しかし目という器官は微かな外部の変化も敏感に察知するので、ちょっと削ったくらいなら大したことないだろうと安易に考えるのは危険です。

目の安全を考えるなら傷ついてしまったレンズは寿命であると考えて、眼鏡をより合うものに取り替えるいい機会であると捉えるのが良いかもしれません。
修繕を行うなら、本文にあるメリットとデメリットをしっかり把握した上で行うようにしましょう。