たまに受ける相談で、眼鏡のネジの予備を自分で持っていたいけれどどうすれば良いかというものがあります。
眼鏡はしばらく使っていると徐々にネジが緩んできて、気付かずにいるとある日突然外れてしまい、テンプルが取れたりレンズが脱落したりといったことが発生します。長期間の使用でネジ穴が削れ気味になっている眼鏡やサングラスに多い現象ですね。
その時用に予備が欲しいとの事なのでしょう。
しかし見れば分かりますが、普通に小物やDIYで使用されるネジとは種類がかなり違います。これがもともとご自宅にある家はほぼ無いんじゃないでしょうか。
この記事ではそんなネジの取得方法と、交換時に注意するポイントについて解説していきます。
眼鏡のネジを締めるにはコツがあります。上手くやらないとネジ山を潰したりフレームを痛めたりするので、ご自分で行うならこちらの記事を参考にして下さい。
眼鏡は使っているうちにだんだんネジが緩んできます。そしてそれに気付かずある日突然ポロッとネジが外れ紛失してしまう。 ネジが外れてしまえばそこを抑えていたパーツ同士が外れてしまい、もはやまともに眼鏡をかけることができ[…]
眼鏡のネジは少し特殊
眼鏡のネジをまじまじ観察したことはありますか?
わざわざ自分から外す人はあまりいないですよね。見るとしたら自然と取れてしまった時くらいかなと思いますが、かなり小さめのネジが使われているのがわかると思います。
指先でつまむのも一苦労で、実に取り落としやすそうなイメージ。いやあ、今まで何本のネジを紛失したことか。
特徴としては細くて短く、いくつかのサイズで区分されています。
ネジの規格
太さ…眼鏡のどの場所で使用されるかで主な規格は変わります。
①フロントとテンプルをつなぐ部分なら、ほとんどの場合直径1.4mm。
レンズを落ちないように固定するリムロックでも大体このサイズです。非常にちまっこいですね。持ちづらいと思うので挟む用の溝付ピンセットがあったら活用して下さい。
②鼻パッドに使われるのはもう少し細くて1.0mm~1.2mmです。1.2mmのほうが多いでしょうか。
こちらは細長い印象を受けるネジだと思います。
長さ…フレームによってだいぶ変わる
①短いものなら2.0mm、長ければ3.0mm~4.0mmあたりが使われます。
5mmや10mmなんてものもありますが、これはさすがに稀ですよね。
長さは測りやすいと思うので、留める場所を定規で測ってそれに合わせた長さのネジを選んで下さい。
プラスマイナス
回すときにプラスドライバーとマイナスドライバーのどちらを使うネジかチェックしておきましょう。
サイズがあっていればどちらでもいいと言えばいいのですが、左右でバラバラだとバランスが悪いので。
変わり種として六角ナットなどで固定される場合もあります。
山の形
ネジの頭にも種類があります。
よく見かけるのは、丸く山のように盛り上がっているタイプと、平たくぺたーっと広がっているタイプ。
これもパーツの固定にはあまり関わらない部分ですが、片方だけネジ頭が飛び出たりしているとかっこ悪いかもしれませんね。
またデザインによっては頭のサイズが合わずうまく埋まらなかったり、飛び出た頭に肌や服がひっかかりやすくなってしまったりということもあるので、極力最初についていたものと同じ形のネジを選択して下さい。
色
シルバーやゴールド、ブラックあたりがメジャーでしょうか。
フレームの色と親和するように設定されているので、これもなるべく同じ色で揃えるようにしましょう。
黒テンプルの根本に金色のネジが輝いているとめっちゃ目立ちますよ。
ツーポイント用はナット
ツーポイントフレームとは、レンズに穴を開けて直接ネジを留める構造をした眼鏡のこと。
ただしレンズにネジを受け止める螺旋状の溝を掘るのはさすがに無理なので、レンズの片側(もしくは両側)にナットを挟み込んでネジを固定する形を取ります。
他にも金属製のリングワッシャー、レンズを保護する樹脂製ワッシャー、袋ナット、段付の部品などが必要になる場合があります。
ツーポイントはフレームによって使用する部品がかなり変わるので、これを個人で揃えておこうというのは大変かもしれません。
特殊規格
ブランドに多いのですが、眼鏡の中には特殊な規格を採用しているフレームが存在します。
汎用のネジでは固定することが出来ず、メーカーが生産している特殊な形状の部品を用いる場合がほとんど。
廉価帯で人気のブランドのアイクラウドを例にすると、
ネジは下側から締めて、上からはネジを受ける溝が掘ってあるパイプで受ける構造になっています。
眼鏡をかけるとネジらしいパーツが見えないようになっていて、デザイン性に優れていますよね。
さらに型番によって受け部分のデザインにも違いがあります。
EC-1032や1036など…三角パイプ
定番型のウェリントンやボストンフレーム。
EC-1042など…丸形パイプ
テンプルにラインの入った掛け心地のしっかりしたフレーム。
EU-02など…プラスネジ(=パイプなし)
テンプルが細いチタニウムのコンビネーションフレーム。
ひとつのシリーズでもこういった差があります。
さすがに特殊規格の部品は一般には手に入れることが難しいので、眼鏡屋さんを頼りましょう。
手に入る場所
眼鏡屋
ネジが手に入りそうな場所としてまず思い浮かぶのが眼鏡屋さんではないでしょうか。
たしかに日々持ち込まれるフレームの修理のため、どの眼鏡屋も多くの規格のネジを常備しています。
ただしこのネジを店頭でお渡しないし販売している店となると、ほとんど見ないかもしれません。
眼鏡に使われているネジは一般用に売られているものは少なく、大抵業者専門のメーカーから数百本とか数千本みたいな単位で発注がなされます。なのでそれを個別に売ろうとしても価格が設定しづらいんですね。
なのでお店に行ってネジが欲しいと相談しても(例えお金を払うと言っても)、ネジ単体で渡してくれる可能性は低いです。
代わりに調子の悪いネジを無料で交換という形なら大抵してくれるはずなので、眼鏡屋さんはやはり修理と調整をお願いする場として利用すべきでしょう。
まあ交換してもらった際に古い方のネジも返してくださいと言えば実質もらったようなものですが…。
ホームセンター
確実にあるとは限りませんが、ホームセンターにメガネ用のネジが少量セットとして置いてあることがあるようです。
すいませんあるようですと言ったのは、私の家の近所で何件か回っても発見できなかったため。最寄りのケーヨーデイツーとセキチューがダメで、少し遠い場所にあるビバホームに電話したら在庫があるとの事でした。
なんだか住んでる地域が予想できそうな話してますが(笑)、探せば見つかるとは思われます。
ネット購入
一番良いのはこれかもしれませんね。
ネットでも眼鏡用のネジはちゃんと売っています。多くは専用ドライバーと一緒になっていて、複数の規格のネジが含まれているので大抵の眼鏡に対応できるんじゃないでしょうか。
通販サイトを眺めていると、やはり業務用らしく大量のネジがセットになったものが並んでいます。しかし1000本セットとか手に入っても正直困ると思うので、まだ適度な範囲の数量をピックアップしておきました。
逆に数本で出品されているものもありますが、数が少ないと規格をきっちり合わせるのは非常に難しいと思うのでこれくらいがよいでしょう。
ネジ締め時に注意すること
強引に回さない
使われるネジの種類のサイズ差はわずかです。ほんの少し太かったりかすかに長かったりあるいはナナメに刺さっていたりすると、それだけでネジはキレイに入っていかないことがあります。
その際にムリヤリ押し込もうとするのはNGです。
・ネジ山が潰れる
・フレームのネジ穴が削れる
・負荷のかかったメガネパーツが破損する
などの危険が考えられるので、合わないと思ったら他のネジを試してみて下さい。
専用工具が必要
ネジがかなり小さめなので、ドライバーも相応のサイズのものを使用して下さい。
家具で使うようなドライバーでは上手く締まらないばかりかネジ山を潰してしまう危険性があります。
締める時だけでなく外す場合も同様にネジをなめてしまうことがあるので注意しましょう。
ツーポイントのナットを締める場合、ナット回しが必要になります。
これも形状次第ですが、左右の片方で押さえて片方で回すようになっているなら用意すべきナット回しは2本となります。
まとめ
眼鏡のネジもこのご時世ですから、手に入れることは難しくありません。
店にに来る時間がなかったり、スポーツやレジャーでのトラブルに備えたり、海外へしばらく行くので念の為、というように何かのために準備しておくのは良いことだと思います。
ただし眼鏡の調整や修理をしようとすると、かなり繊細な部分に触れるのだということは意識して下さい。
私達でも油断をすると傷をつけたり折ってしまったりという可能性があるものなので。
その点を踏まえた上で、「店に持っていく」と「自分で直してみる」を上手く使い分けていきましょう。