視力検査の赤と緑はどう答えるのが正解?正しい処方をするのに超重要なテスト

眼鏡やコンタクトを作りに行くと、ほとんどの場合に行われる赤緑の視力検査(別名レッドグリーンテスト)。

こんな感じの赤と緑の左右に分かれた画面を見て、「どちらの二重丸がよく見えますか?」と聞かれるあれです。

でも受けているほうとしたらこれって何してるのか全然わかんないですよね。
なんなら視力検査で一番よくわからない部分かもしれません。

 

  • 『これって赤と緑のどっちがよく見えるのが正解なの?』
  • 『答えても流されてどんどん次に進むから不安』
  • 『そもそもどっちがよく見えてるか自分でもわかってない』
  • 『正しく答えないとなにかマズいことが起きる?』

こんなギモンを持っている人、いっぱいいるんじゃないでしょうか。

この記事では謎に包まれた赤緑検査の全貌と、どう答えたらベストの結果になるのかに対して解説していきます。
受けててイマイチ不安が拭えなかったあの検査を自信を持って答えられるようになりますよ!

 

視力検査の赤緑で何がわかるの?

ズバリお答えすると、赤緑検査は

『これ以上度数を上げても見え方が良くならないポイントがどこか』を探るためのテストです。

それが判明すると何の役に立つのかというと、

矯正不足でも過矯正でもなくちょうど使いやすい度数がわかる
乱視の度数と軸度を正確に調べられる

大きく分けてこの2点に必要な検査であると言えます。
順に見ていきましょう。

 

赤は『矯正不足』、緑は『過矯正』(近視の場合)

眼鏡レンズの度数は、途中までは強くしていけばいくほどよく見えるようになります。
しかしあるポイントを境にしてそれ以上【視力が上がらなくなり】、それでも度数を強くすると今度は逆に【視力が下がっていく】度数が存在するのです。
つまり眼鏡は度数を上げても無限に見え方が良くなるわけではないんですね。

わかりやすく近視の場合で言うと、赤緑検査で『赤側にある文字』の方がくっきり良く見えたならそのポイントの手前の度数であることを示しています。
つまり赤はまだ度数を上げればもっとよく見えるようになる余地があるよ!ということ。

図で表すとこんな感じです。


東海光学

眼鏡レンズを通して曲げられた光は波長ごとに曲がる角度が違うので、近視の度数を上げていくと図のように赤い光が先に網膜に届きます。これが検査で『赤のほうがよく見える』状態。
黄色い光が網膜に届いた時が最も視力が出るので、もう少し度数を上げる余地があるかもしれません。

そこから更に度数を上げると黄色の光が網膜にきました。
これが検査で『赤も緑も同じくらいよく見える』状態。視力は一番出やすいですが、よく見えすぎて疲れやすい度数でもあるためこのままの度数で採用することは少ないです。


さらに度数を上げてみました。今度は網膜に乗っているのが緑の光ですね。
この状態だと『緑がよく見える』ようになり、逆に赤はぼやけ始めます。完全に過矯正ですので度数を落としていかなければなりません。

このように赤緑検査をすることで、現在入れている度数が「強すぎる」のか「弱すぎる」のか「丁度良い」のかを判断しやすくなるのです。

 

乱視検査のために必要

もうひとつ赤緑検査の大事な役割は、乱視のデータを正確に導き出せることです。
乱視の検査は主に放射線テストとクロスシリンダーテストがありますが、これらを正確に行うには赤緑検査を先に行うことが前提となっています。

詳しくは長くなるので割愛しますが、

・放射線テストはやや赤がよく見える状態(近視性単性乱視)
・クロスシリンダーテストはやや緑がよく見える状態(混合乱視)

にした上で行うべきとされています。
それぞれ一長一短がありますが、特にクロスシリンダーテストは乱視の軸度を5°単位でかなり正確に決定することが可能なため、できるだけ確実な状態での検査を求められます。なので前提となる赤緑検査をちゃんと済ませておきたいのが検査員の本音ですね。

 

正解はどっち?赤緑検査の正しい答え方

どちらがよく見えれば良いというワケではない

ここまで見てきた通り、

赤は「まだ矯正の余地あり
緑は「過矯正

を単に示しているだけなのです。
つまり別に検査中どちらがよく見えたら正解というわけではありません。

検査員はどの度数が赤と緑の境目なのかを知りたいのです。その境目を参考にして使いやすい度数がどの辺にあるかを算定したいだけ。なので赤がよく見えますとか緑が見やすくなりましたとか聞いたところで、検査員の人もそれが正しいとか間違っているとかいちいち言ったりしないわけですね。

大事なのは、どこまでが赤でどこからが緑なのかをしっかりと教えてもらえることです。

 

ちなみに見え方の変遷としては、入れた度数が弱い順に

も見えにくい

がよく見えては見えにくい

もよく見える

が見えにくくてはよく見える

も見えにくい

といった動きを辿ります。

ちゃんと答えられてる自信がない…そんなときはココに注目

赤緑検査を受けていて困る点として、

今どっちが良く見えているのかよくわからない
どこに注目して判断すればいいかがわからない

といったことがあるかもしれません。

まあ正直これは仕方ないと思います。
多少の緊張の中で慌ただしく始まる検査、次々と色んな質問をされてどうやって見ればいいのかなんて疑問をゆっくり解決する時間もないでしょうから。

 

ではどうすればよいかというと、まず検査員からは『左右で赤と緑の画面に分かれていますね。ではそれぞれにある大きな黒い二重丸(もしくは数字)に注目してください。どちらのほうがはっきり見えますか?』といった感じのことを聞かれますよね。

この時、見るべきは黒で書かれた二重丸の輪郭です。明るさとか濃い薄いではなく輪郭の鮮明さが重要です。

円の輪郭がにじんだりブレたりせずにくっきりと見えるほうの色を答えてください。
赤側の方が色が明るいので何となく見やすい感じを受けるかと思いますが、あまりそこには惑わされずに輪郭に注目するのが良いです。網膜から外れている方の色は、黒のインクを軽く擦ったような滲み方をしているはずですから。

もしそれでもどっちがよく見えるか判別がつかなかったり、全体を同時に眺めて比較するのが苦手な人は、いっそ緑側は無視して赤側だけに注目しましょう。さらに赤側の二重丸の内側の円だけ見るとわかりやすいかもしれません。
度数が上ったときに、その円が直前と比べて見やすくなったならまだ『赤がよく見える状態』と言えます。検査員の人に「赤と緑のどちらがよく見えているかはわからないけれど、赤側の二重丸はさっきより見やすくなった」と教えてもらえれば伝わります。度数を上げても円の見え方が特に変わった感じがしなければ、混合乱視もしくは過矯正になっている可能性が高いですね。

適当に答えると過矯正になるかも?

ネットの書き込みを見ていると、赤緑検査に対してこんな感想が書かれていることがあります。

『よくわからんので勘で言ってる』
『メンドくさいから全部赤って答える』

はいストップ!

な、なんという驚愕の書き込み。
全検査員の顎が外れるレベルです。私も最初に見つけた時はマジか…となりました。

基本的には赤と答えが返ってきたら、まだ矯正不足と判断してどんどん度数を足していきます。最初の目安にするのは患者さんの見え方なので、もうとっくに過矯正になっていたとしてもさらに度数を強くしてしまうケースがあるんですね。
もちろんある程度赤が続けばこれはおかしいなと考えますし、オートレフの数値や今まで使っていた眼鏡の度数を参考にできれば異常な数値になることは防げます。

視力検査は総合的に判断するものですからそこまで心配は要りませんが、仮に不慣れな検査員に当たってしまった場合、あまり適当な答えを返してしまうと検査員がレッドグリーン迷子になって目安を見失ってしまうかもしれません。結果として、どこか歪な度数設定にされてしまう可能性が…。

このように正確に度数が導き出せない確率が上がるので、適当に答えちゃうのはオススメできません。
わからなかったらわからない、と言ってもらう方がまだマシです。

 

まとめ

なんとなく赤緑検査(レッドグリーンテスト)の内容が見えてきたんじゃないでしょうか。
検査する人はこんなことを考えながら色々質問をしてきてたんですねー。

繰り返しますが、赤か緑かというのはあくまで度数決定における基準にされているだけです。
赤がよく見えるほうが健康な目だとか緑を選ぶと間違いだとかそんなことは全くありませんので、ぜひ見たまま感じたままをお答えくださいな。

仮に赤と緑がうまく判別できなくともいくらでも検査のやりようはあるので、あまり心配せず気楽に検査を受けてください。変に緊張したり不安に思ったりするほうが、眼の状態が変化して検査に悪影響を及ぼす可能性があるくらいですから。