2020年12月現在の状況ですが、なかなか新型コロナ感染症の増加が止まりません。
実感としても、感染者が出たという話をだいぶ身近で聞くようになりました。
今まではせいぜい市内のどこそこで~くらいだったのが、知人の家族の学校や職場で出た!くらいまで迫ってきたイメージです。
さらに、現在の第3波の特徴として【家庭内感染の人数が多い】ことが挙げられます。
今回は家庭内感染が第2波の約2倍にも上り、その経路からの重症者も増加しているのが看過できないポイントです。
家族同士での感染が広がっている原因は何でしょう。
それを考えていくと、メガネの果たす役割がそこにあることが見えてきました。
ということで、今回はメガネにおける感染症予防にスポットを当てています。
・聞くことは聞くけどどこまで本当に効果があるかよくわからん
・メガネ初めてor久しぶりなんだけど、どんなのを選べばいいの?
・眼科や眼鏡屋行くのは逆に危なくない?
・何で家の中だとメガネが効果的なの?
といった疑問の答えをわかりやすくまとめておいたので、感染に対して不安を抱えている人はぜひ最後まで読んでみてください。
第三期に突入した感染流行の変化に対してどう対処していけばいいかのヒントになるはずです。
メガネは感染に本当に効果があるの?
ではまず、そもそもの疑問から解決していきましょう。
つまり、
『ウィルスは目からも感染するのか?』
『感染症に対してメガネはどれくらい意味があるのか?』
という点です。
これに関して公益法人日本眼科学会が見解を発表しています。
Q1 どのようにして目から新型コロナウイルスが感染するのですか?
新型コロナウイルスに感染した方の咳やくしゃみ、しゃべっているときの唾液(つば)に含まれるウイルスがあなたの顔にかかった場合、目の粘膜(結膜)からウイルスが体の中に入る(ウイルスに感染する)可能性があります。
Q5 眼鏡やゴーグルを使えば、感染から目を守れるでしょうか?
眼鏡やゴーグルを装用すれば新型コロナウイルスの飛入を、ある程度は抑えることができますが、完全ではありません。
流行直後の4月1日に発表された文書ですので、かなり早い段階で目に対する感染と防御の有用性は確認されていたようですね。
とはいえ、マスクや手洗いに比べてその後のテレビ等で取り上げられる機会は少ないのも事実。実際に新しくメガネを買うほどのことなの?抑えられるけど完全じゃないってどういうこと?と考えちゃいますよね。
ならばということで、判明しているデータから本当にメガネの必要性があるかを改めて考えていきましょう。
目はばっちり感染源になる
出典:たがみ眼科
目から感染というのがピンと来ないかもしれませんが、目の中って口鼻喉に繋がっているのはご存知でしたか?
目は常に涙が分泌されて潤いを保っていますが、通常それが外に流れ出さないのは目の内側にある涙点というところに水分が吸い込まれて鼻涙管を通って鼻や喉に流れ落ちていくからです。
目薬をしたら何となく舌に薬液の味を感じたことはないですか?そういえば一昔前に鼻に牛乳を入れて目から飛ばす一発芸を得意としていた人もいました。
これらはまさに目と喉が繋がっている、つまり感染源が目から入った時に体内まで侵入してしまうことを示しています。
マスクをしていても感染してしまうパターンの1つと言えます。
飛沫が描く軌跡
次に見てほしいのはコチラ。
これはくしゃみをした時に飛沫がどんな広がり方を見せるかのモデルです(0:30~)。
うわ、めっちゃ顔にかかっていますね。
口から飛び出した飛沫は水平方向に飛び出し、重力に引かれて斜め下へ落下していきます。また、エアロゾルなどと呼ばれるもっと軽い飛沫の塊は相手の顔に当たったあと煙のように上方向に広がっていきます。
マスクさえしていればここまでの広がり方はしないのですが、一緒に食事をしている最中や、家に帰ってからだとマスクは外してしまう方が大半でしょう。くしゃみよりは量と飛距離が落ちるにせよ、通常会話でも飛沫はこの映像と似たような軌跡を辿ります。
するとやはりメガネには一定の効果は認められそうです。
飛び出した飛沫の角度によってはメガネの隙間から入ってくるものもあるでしょうが、直撃するほとんどは水平方向からぶつかってくる飛沫なので、メガネをしておくことで物理的にその多くを遮断できているのは間違いありません。
コンタクトはむしろ危険が増す
特に若い方は、メガネよりコンタクトレンズを使用することが多いかもしれません。
しかし、コンタクトも目を覆っているといえば覆っているのですが、感染症対策としては残念ながらほぼ無意味と言えます。
先程見たように目からの感染侵入経路は目の端っこにある涙点です。
コンタクトがカバーするのは黒目周辺のみなので、そこにコンタクトをしたところで涙点にはなんの影響も与えません。むしろレンズの付け外しをする際に手についた菌を目に移してしまう危険が増えてしまっているくらいと言えます。
よって可能ならばコンタクトよりメガネの方が少なからず対策としては効果があると言えます。コンタクトを使うのであれば、せめて脱着時の手洗いをしっかりと行うようにしましょう。
たしかにメンドクサイですが、割と重要なポイントです。
家庭内感染のリスクが増えている
感染やその対策についてかなり研究が進んできましたが、最近言われるようになったのが家庭内における感染です。
最も感染しやすいのは家の中
何が原因かは置いておいて、新規感染者の人数はかなりのペースで増えています。こうなると、無症状まで含めればもはや誰がキャリアになっていてもおかしくはありません。
すると、仮に家族の誰かがどこかでウィルスを拾ってきて、しかもそれに気づかずに家庭内でばらまいてしまう状況が考えられます。
あなたが大丈夫でも兄弟や両親が発症してしまう、もしくはその逆が起こるかも…。
意識するべきなのは、家の中では
・共用スペースでの生活、道具の共有
・手で目を触ってしまいがち
などの理由により、感染のしやすさでは最も危険度が高いという点です。
もちろん外出時のほうが不特定多数の人と大勢ニアミスするわけですから分母は多いのですが、仮に目の前の人がキャリアだった場合にウィルスを貰ってしまいやすいのは家の中となるでしょう。
自宅ではメガネが効果的
そこで、メガネをしておくことでこの危険性をいくらかでも減らすことが可能です。
家の中で家族と会話する回数はそれなりにあるはず(全然ないとか淋しいことは言わないように)。面と向かってにしろ横から話しかけられるにしろ、言葉を発した時に飛沫が少なからず相手の顔に飛んでいきます。
この時、一番無防備なのは目ではないでしょうか。
相手の言葉を聞く時はこちらの口は閉じていますし、鼻や耳は角度的に直撃はしにくい上に内部に生えた毛である程度のサイズの飛沫ならば侵入を防ぐことが期待できます。
しかし目は開いている時間がほとんどで、眼球表面についた異物は涙に乗って排出される仕組みですが、異物が軽い飛沫やウィルス程度だと外ではなく内側に流れ落ちてしまうのです。
そのままあっさり感染となりかねないので、目にぶつかる飛沫の量を減らすことができるメガネが有効なのは間違いありません。
また、メガネをしていることで無意識に指で目元を触ったり拭ったりすることを防ぐことにも繋がります。
感染経路の大半は飛沫か接触で、接触とはつまりウィルスのついた場所を触った手を介して食べ物を口に入れたり目に触れたりした場合に起こる感染ですね。
メガネはそういった目からの感染を意識せず自然に遮断してくれる点で優秀と言えるでしょう。
感染対策にはどんなメガネがおすすめ?
サイズ大きめの鼻パット一体型
出典:Jins
どんなメガネにせよ、ないよりはあったほうが危険を減らせることは間違いありません。
既にメガネを使っている人はそのままでも結構ですが、少しでも感染予防効果がありそうなメガネを探しているというなら、なるべくレンズサイズが大きめのものを選んでみると良いでしょう。
レンズの面積を大きくすれば飛んでくる飛沫もかかりにくいというシンプルな方法がひとつ。
また、目とレンズ面までの距離(頂点間距離)が近いほど隙間から入り込む飛沫は少なくなりますので、鼻パッドがフレームと一体型になっているものを選んでみるのも良いかもしれません。鼻パッドつきののに比べて頂点間距離が平均で3~5mmほど近くなっているので、微妙ながらも防護効果に差はあるはず。
一体型の大きめセルフレームなんかは定番中の定番デザインですので選ぶのに苦労はしないと思います。
ただ今まで鼻パッドつきのメガネを使っていたなら、レンズが近づいた分同じ度数を入れても見え方に少し違いを感じる人がいるかもしれません。低度数ならほとんど問題になりませんが、かなり度の強い人や乱視が強めに出ている場合は気になる可能性があるので眼鏡屋さんに相談しながら作ると安心ですね。
花粉症メガネ
出典:Zoff
この感染症が流行った春頃、前年比で一番売上を伸ばしたタイプがこの花粉症メガネ。
いやーびっくりするくらい売れましたね。
花粉症の季節でさえ月に2.3本だったのがその10倍は売れていたので、当時の混乱が実感できるというものです。
さて多くの人が飛びついた通り、花粉症用のメガネあるいはゴーグルはウィルス感染への対策になり得ます。顔にピッタリ隙間なく張り付くデザインのフレームは、ここまで説明してきたとおり、眼内への飛沫を防ぐという点に置いて一番効果を発揮する手段でしょう。
強いて言うならモロのゴーグルというデザインが日常ではかけづらいということでしょうか。
可能な限りメガネ寄りのデザインに寄せたものや、メガネの上からかけられる透明の保護ゴーグルやオーバーグラスタイプなども発売されているので探してみると良いかと思います。
眼科や眼鏡屋に行く危険性
メガネを作りに行きたいけど、眼科や眼鏡屋は人が集まっていそうで逆に不安…という声もあります。確かに感染防止目的で行ったお店で逆に感染リスクが高かったら本末転倒ですよね。
これについては、基本的にどこでも感染対策は重点的に行なっているはずです。
そもそも眼科というのは、扱う検査機材や検査員・医師が患者の眼球領域に触れる機会が多いので、結膜炎を引き起こすアデノウィルスやエンテロウィルスなどを排除するために機材や手指の徹底な消毒を常日頃から行っています。
コロナ後で衛生面での環境についてはさらに強化されているので、そこまで心配することではないと思います。
眼鏡屋についてもそこは同じ。当然感染者をお店から出すわけにはいかないので、その会社の基準において可能な限り消毒や整備をしているのが普通です。
人の入りについても、このご時世だとオープン直後でもなければそこまでお客さんがごった返すという話はあまり聞きませんので心配しすぎることはないです。
もしそれでも不安だというなら、この機会に通販という手段を試してみるのもおすすめです。
最近はサングラスや伊達メガネだけでなく、度入りのメガネをネットでそのまま注文して買う人もかなり増えてきました。
今までの処方箋データがあればそれをサイトで入力するだけで済みますし、わからなくて今かけているメガネを眼鏡屋に持っていけばすぐに度数を確認して教えてくれます。あるいは視力検査だけお願いしにいくのもいいでしょう。
店にいる時間を可能な限り少なくできるので有効です。
まとめ
このように、メガネはそれなりにウィルス対策として意味があると言えます。
もちろん他にもマスクや手洗い、密を避けた行動など行うべきことはいくつもありますが、重要なのはこういった一つ一つの意識の積み重ねがあなたや周囲の人を助けることに繋がるという点でしょう。
唐突な例えになりますが、感染対策というのは交通マナーなどと同じく、分母の大きなサイコロを投げ続けるようなものです。
【1】が出てしまえば望まない”当たり=感染”となってしまうサイコロを、毎日私達は誰かと会ったりすれ違ったりするたびに何度も何度も振り続けているのです。
その分母が大きすぎるためにそれが意識にのぼることはあまりありません。しかしそれでも、1万分の1のサイコロと100万分の1のサイコロだったら、後者のほうを選んでいきたいですよね。
確かにどんなに対策を行ってもこの確率を0%にすることはできませんが、出来る限りの対策を取ることでこの”当たってしまう確率”を限りなく低くすることはできるはず。
そのためにメガネを役立ててもらえれば幸いです。