眼鏡フレームで最も有名なレイバンには純正レンズというものが存在します。
通常眼鏡に入れるレンズはレンズ専門のメーカーであるHOYA、Nikon、SEIKOなどのものを使用するのですが、レイバンに限ってはレイバン自身が製作しているレンズを使用することが可能。
フレームもレンズも一式に染めることが出来るので、レイバン好きなら一度は試してみたいですよね!
- 普通のレンズとの違いを知りたい
- どんなフレームでも作れるの?
- 作る手順はどうすればいい?注意点は?
- かかる費用がよくわからない
- フレームを持ち込んで純正レンズのみ交換してもらえる?
ここではこういったレイバン純正レンズにまつわる疑問に答えていこうと思います。
なるべくわかりやすく、かつ細かく突っ込んだ部分もカバーしていきますので、純正レンズを検討している人は是非参考にしてくださいね!
そもそも純正レンズはなにが違う?
まず最初にレイバンの純正レンズは通常のレンズとの違いが何かについてお話しましょう。
特徴①:ロゴマーク
まず他にないものとして、レイバンの純正レンズは全て専用のロゴマークが刻印されます。
正面から見て、図のようにRレンズの左上に「RayBan」、Lレンズ右横に「RB」のイニシャル文字が描かれるようになります。
ロゴの色はクリアレンズならやや透明に近く、サングラス用のカラーレンズなら白色。
いずれもレンズの端っこの位置にあるので、眼鏡をかけたときに視界の邪魔にはならないですから安心して下さい。意識してみれば外から見て刻印があることに気付く、くらいの丁度良い存在感です。
特徴②:独自のレンズテクノロジー(DST)
レンズの見え方を構成する要素として、DST(デジタル・サーフェシング・テクノロジー)を採用。
カンタンに言うと、これは眼鏡のレンズでどうしても発生してしまう視界の歪みを光学的に可能な限り抑えた高性能レンズのこと。全体をおおまかに中心部・中間部・周辺部の3つのエリア(3重の同心円をイメージするとわかりやすい)に分けてそれぞれ最適な度数の補正を行うことで非常に快適な見え方になります。
普段はあまり意識しないかもしれませんが、眼鏡は原理的にレンズの真ん中と比べると端側で見たときは視力が落ちてしまうんですね。
ためしに遠くにある文字を首を回してレンズの中心⇔端っこで交互に見てみて下さい。明らかに端っこは景色がぼやんと歪んで文字が見えにくくなることがわかるかと思います。
度数が強めの人や乱視がある人などはこの見え方の違いのせいで目が痛くなったり疲労しやすくなってしまうのですが、それを予防してくれるのが純正レンズのDSTというわけですね。この補正はかなり緻密で、度数を0.01stepで修正してくれるというのだから驚き(通常は度数の1段階は0.25step)。
特徴③:レイバンカラーが選べる
普通他社レンズで色を入れる時業界共通のアリアーテカラーの中から選ぶことになりますが、純正レンズの場合は歴史あるレイバンカラーを採用することが可能です。
レイバンカラーといえばG-15などに代表される定番中の定番色で、格好良く視認性が高いため人気が高いですね。
現在、図の色の他に加えて以下のカラーが増えています。
GLADIENT LENS:【LIGHT BLUE (NO POLAR)】【LIGHT GREY (NO POLAR)】【DARK GREY (NO POLAR)】【LIGHT BLOWN (NO POLAR)】
MIRROR LENS:【GREEN SILVER (NO POLAR)】
CHROMANCE LENS:【PURPLE, MIRROR GOLD GLADIENT (POLAR)】【BLOWN, MIRROR GOLD GLADIENT (POLAR)】【BLOWN, MIRROR LILVER GLADIENT (POLAR)】
※「POLAR」は偏光レンズのこと。なので「NO POLAR」は偏光ナシですね。
※「GRADIENT」はグラーデションレンズ。上から下に向けて徐々に色が抜けていくイメージ。
※「MIRROR」は鏡のように反射するレンズです。見た目以外にも遮光性能がUPするメリットも。
※「CHROMANCE」は、純正レンズの中でも優れた偏光機能を持ち、反射防止機能やコントラスト性能が非常に高いレンズです。余計な光に邪魔されずありのままの色彩風景を見たい時、これ以上の選択肢はないと言えるでしょう。
特徴④:単焦点と遠近両用のどちらにも対応、屈折率も選べる
レイバンの純正レンズは単焦点のみならず、遠近両用も選択可能となっています。
レイバンの遠近はグレードで段階的に歪みや視野欠けを減らす設計を選ぶことができるので、初めての遠近で不安な人も、他社の高性能遠近レンズから乗り換えようと考えている人にもオススメできるレンズです。
また屈折率も1.59,1.60,1.67,1.74を用意してあるため度数が強い方でもレンズを薄く保てるので安心。(フレームやレンズの種類によっては選べないものもある)
特徴⑤:ポリカーボネート
カラーレンズの場合のみですが、屈折率1.59のポリカーボネート素材のレンズを作ることも出来ます。
ポリカーボネートとはとても頑丈なプラスチック素材と思って下さい。
高い耐衝撃性や耐熱性に加えて透明性も高く、普通の眼鏡レンズに傷防止コーティングを施したものよりもずっと耐久性があります。決して割れてはいけない飛行機の窓に使われている素材と言えばそのスゴさが伝わるでしょうか。
純正レンズ作成の手順
では純正レンズを作りたいと思った時、どのように進めていけばいいのでしょうか。
レイバン純正レンズを取り扱っている店舗に赴いてレンズを注文するわけですが、流れとしてはカンタン。
フレームを選ぶ(作れるフレームかどうか確認)
⬇
レンズを選ぶ(カラーつきかどうか、レンズの性能をどうするか等)
⬇
注文する(価格や納期に問題がないか最終確認)
この3ステップです。では順番に見ていきましょう。
フレームを決める(一式購入)
まず最初に使用したいフレームを決定しましょう。
やり方は2パターンで、
①その場で展示してあるフレームを掛け比べて決める
②あらかじめ買いたいフレームが決まっているのなら、型番を伝える
どちらの方法でも大丈夫です。
②を選ぶ場合、必要なのは「型番、フレームカラー、サイズ、レンズの種別」の4種類。
大体左側の耳にかけるテンプル内側に表記があります。上記写真、有名なウェイファーラーの場合ですと、
901=フレームカラー
54=レンズサイズ
3N=レンズ種別(濃さや偏光の有無)
この4つ(上3つでも大丈夫)がわかっていればフレームを特定することができますから、しっかりメモを取っておいて下さい。
覚えておいてほしいのは、純正レンズ購入時はフレームとレンズのセット購入(コンプリート)になることです。
(※フレームを持ち込んでレンズのみの交換は対応していないので注意して下さい。)
フレームは店頭に並んでいるものを使うのではなく、レイバン社にある注文された同じ型番のフレームの新品を使用して製作されます。店頭品は例え未使用でも陳列する間に空気や人の手に触れて多少なり劣化が進むものですから、完全な卸したての一品を手に入れられるのは嬉しいところですね。
レンズを決める(種別、色、グレード)
フレームが決まったのなら、次にレンズを選びます。
レンズ選びの要素は
こんな感じ。
眼鏡をレイバンフルセットにしたいから透明レンズにロゴだけつけたいという人もいますし、フレームは気に入っているけれどレンズの色を違うものにしたい人が行うことも多いです。スポーツでも使えるようハイコントラストレンズが欲しかったり、単純に頑丈なレンズを求めて純正を入れる人も。
あなたがその眼鏡、サングラスに何を求めているかを考えて決めると良いでしょう。
ここでの注意しておきたいのは、レイバンの純正レンズは使うフレームによって入れることの出来るレンズが違ってくること。
これは単焦点の場合の純正レンズ製作表ですが、まず左側にある横軸の要素を見て下さい。
最初に大人用と子供用とありますが、いちばん重要なのは次の「オプティカルフレーム」と「サングラスフレーム」という区分です。
オプティカルフレーム
普通の眼鏡フレームのこと。展示してある時点で色なしの透明レンズがはまっているものがそうだと思って下さい。
枠の右隣を見ると、次に「クリア」と「トランジションズ(調光レンズ)」に分かれています。
つまり、オプティカルフレームは色の入っていないクリアレンズもしくは調光レンズしか純正で選ぶことができないわけですね。
サングラスフレーム
こちらは逆に最初からカラーレンズが入っているタイプのフレーム。
サングラスフレームはクリアとドランジションズの他に「カラー」や「偏光」や「クロマンス」などの項目が増えています。なので普通のサングラスのように色を入れたかったらサングラスフレームを選ぶ必要があるということです。
フラットサングラスは、レンズ表面の通常緩やかな円を描いているところが真っ平らになっているフレーム。
型番の数字の最後に「N」がついているものがこれに当たります。このフレームは純正も強制的にフラットレンズになるので注意しましょう。
純正レンズのグレードと価格
純正レンズを注文するときにかかる費用は「フレーム代」+「レンズ代」の合計金額になります。
「フレーム代」はそれぞれのお店が設定した価格になります。一応レイバン側が提示したフレームごとの上代はあるのですが、それよりもっと安く販売している店もありますから気になるなら先に確認しておくのも良いでしょう。
「レンズ代」に関しては先程の表から導き出すことが出来ます。
見ての通り、一番安くても大人用オプティカルフレームなら+18000円~、サングラスフレームなら+28000円~ということですね。レイバンのフレームはどれも大体2万前後はしますから、合わせて4万くらいが純正の最低ラインの予算と思って良いんじゃないでしょうか。
表の見方としては、上部にある縦軸がレンズのグレードを表しています。
単焦点の場合、それぞれの性能はこのようになります。(横スクロールあり)
STANDARD | ADVANCED | PREMIUM | TOP | |
ロゴの刻印 | ○ | ○ | ○ | |
DST(デジタル補正) | ○ | ○ | ||
あおり・傾斜角による最適な補正 | ○ | |||
中近方視における対象物の位置ズレ補正 | ○ | |||
角膜頂点距離を考慮した快適な見え方 | ○ |
遠近両用はこちらの表になります。
やはり遠近両用は費用が多めにかかってしまいますね。最安でも+40000円~となっています。
ところで遠近の場合、グレード表記は先ほどと同じなのですが、その内容が実は単焦点と異なっていることに注意して下さい。(横スクロールあり)
STANDARD | ADVANCED | PREMIUM | TOP | |
ロゴの刻印 | ○ | ○ | ○ | ○ |
DST(デジタル補正) | ○ | ○ | ○ | ○ |
あおり・傾斜角による最適な補正 | ○ | |||
中近方視における対象物の位置ズレ補正 | ○ | ○ | ○ | |
角膜頂点距離を考慮した快適な見え方 | ○ | ○ | ||
両眼バランス設計 (左右差の軽減) | ○ | ○ | ○ | |
ステップ・チャネル (スマホ使用時に使う範囲を見やすくする) | ○ |
遠近両用は視界が歪みやすいため、こちらはグレードを上げることを検討してもいいかもしれません。
ADVANCED以上なら近くの見え方も自然に近づきますし、PREMIUMなら個人個人に合わせた補正をしてくれます。TOPは特にスマホを頻繁に使う人にうってつけの設計となっています。
純正レンズが不可能な場合
廃盤・在庫切れ
眼鏡のフレームは入れ替わりが激しく、2,3年おきにモデルがガラっと入れ替わることも珍しくありません。
人気フレームは長年その地位を守りますが、多くのモデルは気づいたら廃盤になっていたり、製作数が少なくレイバン側に在庫が残っていないことがあります。
こうなると純正レンズを作ることは非常に難しくなります。
在庫切れならしばらく待てば補充される可能性がありますが(それでもいつになるかは店舗ではわからない)、廃盤になった型番はほとんどお手上げ。運が良ければ復刻したりモデルチェンジをして限りなく似たフレームが出てくることもありますが、基本的には望み薄です。
高度数は対応していない
例にもれず、レイバンの純正レンズにも度数の制限が設けられています。
傾向としてはオプティカルフレームのほうがサングラスフレームより範囲が広く、グレードを上げると入れられる度数もまた増えていくようになっています。
STANDARD | ADVANCED | PREMIUM | TOP | |
オプティカルフレーム(クリア) | SC合算値=+6.00~-8.00 C=3.00 | SC合算値+8.00~-13.00 C=6.00 | SC合算値+8.00~-10.00 C=6.00 | |
オプティカルフレーム(トランジションズ) | SC合算値=+6.00~-8.00 C=3.00 | SC合算値+8.00~-13.00 C=6.00 | ||
通常サングラスフレーム | SC合算値=+6.00~-6.00 C=4.00 | |||
フラットサングラスフレーム | SC合算値=+6.00~-6.00 C=4.00 |
SC合算値=球面度数(S)+乱視度数(C)
C=乱視度数
例えば「オプティカルフレームのクリアのADVANCED」は【SC合算値=+6.00~-8.00、C=3.00】となっていますね。
仮にあなたの度数が両眼で「S-7.00D」なら-8.00以内に収まっているので作成可能。
しかし「S-7.00D、C-2.00D」だった場合、S+C=-9.00になるため作ることができなくなります。
また、C=3.00となっていますから、乱視度数が「-3.25D以上」の場合球面度数の値に関係なく作成不可です。
ちなみに上の表は屈折率1.60の場合の数値で、屈折を上げることでオプティカルフレームのクリアは【SC合算値=+10.00~-16.00、C=6.00】まで範囲を広げることが可能となっています。
特殊なフレームは出来ないことが多い
オプティカルフレームにはほとんどない話なのですが、一部のサングラスフレームは特殊な形状をしているため度付きレンズ自体が難しくメーカーが対応していないフレームがあります。
ハイカーブフレーム…例:RB3483、RB3519など
レンズカーブが非常に強いもの。8カーブフレームなどはまず無理です。
レンズをビス留め…例:RB3550など
レンズをフレーム枠の中に入れるのではなく、レンズに穴を開けてビスやネジで留めているタイプ。
一丸レンズ…例:RB4440NFなど
左右のレンズが独立しておらず一枚になっているもの。
サングラスにはこういった型のフレームがちょいちょいあり見た目が独特で素敵なのですが、度付き加工には向かないフレームであることを覚えておいて下さい。
完成までにかかる時間
レイバン純正レンズの納期は「7日~10日」となっています。
ただしこれは基本の納期で、国内のレイバン加工を担当している川崎ラボにレンズの在庫があるかどうかで違ってきます。
この川崎ラボで加工できるのなら上記の日数、もしくは4~5日以内で届いたことが何度もあったので、平均的にはもっと早いのかもしれません。
国内で作れない場合は海外生産になりますので納期は一気に伸びます。大体その場合は「2~3週間」程度は覚悟しておいたほうがよいでしょう。
このあたりは実際に確認してみないとわからない要素も多いので、なるべく余裕を持って注文をするほうが安心です。
まとめ
さあ、なるべく詳しく疑問の湧きそうな部分を重点的に解説を行ったつもりですが、皆さんの知りたいことは解決いたしましたでしょうか。
純正レンズは主体がレイバン側であるため、店舗では意外と必要な知識が共有されていなかったりします。頻繁に注文の入るお店以外は店員も不慣れであることが多く、もしかするとばたばたと手間取ってしまうかもしれません。
なのでこの記事を参考にしてもらえることで、取引が少しでもスムーズになれば幸いです。
純正レンズは手間や費用をかけただけのことはあるとよく聞きます。性能もそうですが、自分で選んだ特別なレンズが入っていると思うと眼鏡自体に格別に愛着が湧くのだそうで。
そんな眼鏡が一本でも多く手に入れられたら素敵ですよね。