どうもこんにちは、手持ち遠近の加入度数が物足りなくなって年齢の進行を感じ始めたくだんです。
今回は知る人は知っている『中近両用メガネ』に関するお話をしていきましょう。
こんな感じの疑問について答えていきますので、これから中近両用メガネを使ってみたい人も、使って失敗した経験がある人もちょっと立ち寄ってみて下さいな~。
中近両用メガネは中~近距離特化!
中近両用は遠近両用と同じく、
老眼が進んで手元のものが見づらくなってきた人をサポートするメガネです。
レンズの中に二種類の度数が入っているため、遠めの距離と近めの距離を両方ともしっかり見えるようにしてくれる非常に利便性の高いレンズなんですね。
では遠近両用と比べて何が違うかというと、
中近両用は読んで字のごとく
『中距離』と『近距離』が見やすいメガネのことを指します。
基本的に、
- 中距離とは4~5mあたり
- 近距離とは30~50cmあたり
と考えてもらって良いです。
つまりその中距離から近距離の間をよく見えるようにしたい!と考えている人にベストマッチのメガネと言えるでしょう。
遠近両用と比較するとこの図のようになります。
中近両用は「黄色い中距離がよく見えるエリア+ピンクの近距離がよく見えるエリア」がかなり拡大されているのがわかりますね。
遠近両用ではオマケ程度だった中間領域が広く、また点線から外側の視界が歪んでしまう部分が狭めなので、中近両用は中距離以下に絞ればとにかく扱いやすいのが特徴と言えます。
一方で「青い遠距離がよく見えるエリア」はかなり上の方に押し込められてしまっています。
このせいで、普通に作ると5m以上先にある時計やカレンダーの文字が明らかにわかるくらい見にくくなったります。
ちなみにこの青いエリアを使おうとすると、かなりアゴを引いてめちゃくちゃ上目遣いにしなければなりません。正直相当変な人になります(笑)。
なので基本的にこの遠距離エリアの出番はありません。どうしても遠くの看板の文字を読みたいといった際に、いっときだけ顔を傾けて強引に利用する、といった使い方くらいでしょうか。
ただしこの4~5mや30~50cmという距離はあくまでも目安であって、レンズの度数や累進やアイポイントの設定、メガネをかける位置でかなり変わってくるので覚えておいてください。
中近を作った=必ずこの間の距離設定になるわけではないんですね。
例を挙げると、
メガネのコミヤマ
累進レンズは遠用度数からどれくらいの長さで近くの度数が入ってくるかという累進という数値を選べることがありますが、
・図上の23.5mmタイプ
累進が長いので、中間域が広く遠域と近域が狭め。
度数の変化がゆっくりなので歪みにくく、ヨコの視野が広い。
中間域の4m前後を最も良く見る人に向いている。
・図下の20mmタイプ
累進が短いので、中間域が狭く遠域と近域が広め。
度数の変化が急なので歪みやすく、ヨコの視野が狭い。
4~5mよりもう少し遠くや手元がさらに見やすくなる。
といった特徴の差が存在します。
これはつまり、作る人の希望により設定距離をずらせるメリットがあるということ。
近くは十分すぎるのでもう少し遠くの壁に書いてある文字が読みたいとか、遠くは2m見えればいいのでもっと手元を強化して欲しいといった調整が可能です。
中近メガネに向いてるのはこんなシーン
◎自宅での利用
〇近所の散歩、お買い物
〇遠近両用が慣れなかった場合
中近が主に活用されるのは上記のようなシーンです。
中~近距離ということは、やはり基本的には室内で活動する方がターゲットになるでしょう。
自宅でくつろいだりオフィス内でパソコン+書類仕事をメインに行うようなデスクワークの人なんかがまさにドンピシャで、ある程度の視力を保ちつつデスクの上の視界を幅広く確保することができます。
PC画面がよく見えるし、もっと近くにある書類で書き物もしやすい。話しかけてきた人の顔もちゃんと判別できるし、そこまで遠くなければテレビの文字も読めるようにできます。
4~5mが見えるということは、室内をうろうろ歩くのも特に支障はありません。
さらに近所や知っている道であれば、散歩したりお買い物に使用するのも困ることはほとんどないのかなと思います。
中近両用メガネのデメリット
では逆に中近両用メガネが苦手な場面はなにかというと、
△~☓映画、演劇鑑賞
☓遠距離の文字を読む
切符売り場の上にある路線図も結構見えにくく、探すのに苦労したなんて声もありましたね。
中近両用をかけての運転は非推奨?
デメリットで特に気になるのは「中近両用で運転が可能か?」というポイント。
結論を言うと、
『基本的には推奨されないが、加入や設計によっては可能な場合がある』
となります。
どういうことかというと、結局は中近をかけたときの水平視力(顔を傾けずまっすぐ見た時の視力)が運転可能な0.7Vを越えていればいいわけですよ。
このようにまっすぐ見た視線の位置に中近両用レンズは加入がかかってきて、遠用視力がいくらか低下します。レンズメーカーのニコンによると、
『遠用度数において視力が1.0出るように作成した場合、アイポイントの加入が+0.50までなら視力0.7を確保できる』そうです。
ピンとこないですか?では例を挙げて考えてみましょう。
どうでしょうか、ちょっと面白いですね。
(ただしあくまでも計算上の数値なので、実際にはもっと見えたり見えなかったりします)
なので中近両用を運転で使いたいのなら、
1、加入を少なめにする
2、設計を遠近寄りのものにする
3、なるべくレンズの上側エリアで見るようにする
4、いっそ遠近両用にしておく
といった選択肢を考える必要があります。
もちろんそうすると代わりに近くが見えにくくなるといった弊害が発生するのでやりすぎもよくありません、このあたりは加減が大事です。せっかくの中近なのに手元の見え方がイマイチなんてもったいないですから。
中近両用もかけていて気持ち悪くなる?
中近両用メガネは歪みが少なくかけやすいと言われる一方で、かけると気持ち悪さがあり使用を続けることができなかったという人もいます。
累進独特の視界に慣れやすい人と慣れにくい人がいるので正直個人差の部分もあるのでしょう。この点は仕方ない話ですね。
それ以外の傾向として考えるなら、
という方が多いかと思われます。
遠近両用もそうですが、累進レンズは早めに試し始めるのがベスト。
最近もしかしたら文字が読みにくいような気がする、という自覚が出たらもう始めてしまって良いと思います。
老眼は50代以降というイメージはもはや昔の話で、生活スタイルの変化もあいまって今は40代、早い人では30代後半あたりから累進メガネを活用する人が増えてきました。早ければ早いほど中近両用を気持ち悪いと感じる確率は下がるはずです。
大事なのは何に使いたいかちゃんと伝えること
私は遠近関連の記事の度にこのお話をよくしている気がしますが、本当に大事なのでまた言っちゃいます。
遠近、そして中近両用メガネを作る時は、どこのどんな距離でどのように使いたいかを明確にしておくことです。
そして、それを不足なく検査員に伝えること。
この部分を曖昧にしたまま作ってしまうと、期待したほどの効果が得られず全然使わなくなってしまった、といったことが起こります。
遠近は言ってしまえば全距離対応型レンズですから、遠くも近くも(視野が狭いとはいえ)見えることは見えるんですよ。言ってしまえば多少適当に作られたとしても何とか使えることが多いと言えます。
しかし中近は遠くを見ることについては限界があるので、それをしっかり認識しないで買ってしまうと「思ったより遠くが見えなくてすごく困った」となります。
中近レンズ交換案件の大半はコレじゃないでしょうか?
よって、どれほどの視力を確保したいのか、ココまでは見えないと困るというポイントをしっかり考えて伝えることが最重要です。
まとめ
中近両用は遠距離を苦手としていますが、中距離以下に関して非常に使い勝手の良いレンズなのは間違いありません。
中近が合わないと感じるのなら、それは『使いたいシチュエーションがふさわしくない』場合がほとんど。
あなたが必要とする使い方に応じて、中近の種類やあるいは遠近両用や近々両用も含めたレンズからピッタリのものを探すと、失敗した!と感じることは少なくなるでしょう。