ちょっと待って!眼鏡のピントが合わない=レンズ交換とは限らない!?

『新しく買った眼鏡のピントがイマイチ合わない…これってすぐにレンズを交換したほうがいいの?』

眼鏡を新調したときにたまにあるのが、なんだか景色がぼやけ気味でピントが合わないという症状。眼鏡歴が長い人は一度や二度は経験があるかもしれません。
せっかく期待して手に入れた眼鏡がこんなことになったら不安ですよね。

 

まず新調した場合を例に挙げましたが、ひとくちにピントが合わないと言っても状況は様々。

例えば、
・買い替えたばっかりの眼鏡が最初から合わない
・今までとは少し違う種類のレンズを使ってみた
・遠くはよく見えるけど近くを見るときだけピントが合わない(またはその逆)
・最近はコンタクトばかりだったが、久々に眼鏡を作った

ピントが合わないんだからそりゃあ眼鏡が悪いんだろうと思われるかもしれませんが(もちろん多くはその通りですが)、実は意外とそれ以外の条件が原因だったりすることもあるんです。
そしてその原因によって、眼鏡を買い替えるべきか、あるいは様子見をしておいた方が良いかが変わってきます。

 

この記事では今現在使用中の眼鏡のピントが合わず困っている方に向けて、
その眼鏡は買い替えをするべきかどうか、あるいはするとしてもどのような方向性で調整するべきかをわかりやすく解説していきます。

このあたりをおざなりにして進めると、実は必要のなかった買い替えでお金と時間を無駄にしてしまうかもしれません。
もしくはせっかく眼鏡を作り直しても状況が悪化するなんてことも!?

そんな状況に陥らないように、一度ご自身の状態をチェックしておくのをオススメいたします。

 

数少ない【様子見をしたほうが良いパターン】

基本的に「ピントが合わない=作り直し」というイメージがあるでしょうし、実際調べてもそのための説明しか載ってないことも多いでしょう。
買い替えや交換をしたほうが良い場合はそちらのほうに譲るとして、

本記事では

眼鏡を作り直さず、そのまま使い続けて様子見をしたほうが良い場合

の紹介をしていこうと思います。

正直様子見をしたほうが良いパターンは大して多くはありませんが、慌てず騒がずご自身の状態を振り返ることが重要ですから、一旦落ち着いて当てはまりそうかどうか調べてみて下さい。

 

では買い替え以外で対処したほうが良いパターンを並べてみましょう。

  1. 買い替えた直後
  2. 乱視など、レンズに初めての要素を追加した
  3. 目的距離が合っていない
  4. フレームの問題

おそらくはこのあたりが注意すべきポイントになるかと思いますので、順番に説明していきましょう。

 

①買い替えた直後

最もピントが合わない事態が発生しやすいのは、やはり新しい眼鏡を購入した直後

新しいレンズ=今までと違う視界 ということですから、見え方の変化に敏感な人間の目と脳はその違和感を感じ取って主張してきます。眼球はその視界に適応するように自動でピント合わせをしてくれるのですが、慣れないうちはその調整に手間取ることもしばしば。

 

つまりこの、最初の「手間取っている」だけの状態をピントが合っていないと感じてしまうことがあるんですね。

適正な処方であればピントが合わない状態は徐々に改善されていきます。
年齢や個人差でかなり違いがあるのですが、具体的には新しい眼鏡に慣れるまでおおよそ数分~数日間ほど。かけた直後は違和感があっても、段々と慣れてくる実感があるならば様子見をしておいて良い段階です。昨日より今日の方が調子がいいなと思ったなら、すぐさま交換に走らずに状況の推移を見守っておきましょう。(普段コンタクトレンズを使っていた人が久々に眼鏡にした場合も似たような事案が発生します。コンタクトは眼球に直接くっついていて、眼鏡とは見やすさや視界の歪みに差があるため)

ちなみに新しい眼鏡はある程度の時間かけ続けていないと馴染んでいかないので、初日に数分かけただけで外してしまい放置していたなら、その後何日経っても見え方は良くはなりにくいです。

 

ただ当然ながらピントがまるっきり合わないような場合は交換案件と言えます。
前の眼鏡より明らかに見えにくいとか、かけた直後からぐわんぐわんして何分もかけていられないといった場合は無理するのはやめて、度数の交換をお願いしておいたほうが良いでしょう。

 

②乱視や遠近など、レンズに初めての要素を追加した

メガネレンズは、様々な目の状態に対応できるように少し特殊な矯正をかけられたものが存在します。

○モノが二重に見える人のための乱視レンズ
○斜視矯正のプリズムレンズ
○1枚のレンズに2種類の度数がある遠近両用レンズ
ブルーライトカットレンズ

これらは見え方を改善するために使用されるレンズではあるのですが、特殊な処理を施している関係上、レンズ(特に中心部以外)に歪みが発生しやすいという特徴があります。意外に思われるかもしれませんが、ブルーライトカットレンズなども反射の変化やゴースト光による色にじみでピントが合わないと感じて疲れやすくなる人もいるんですね。度数はまったく変えずにブルーライトカットだけを取り除くと見やすくなったという人もちらほら見かけるくらいです。
まあ普通のレンズでも歪み自体は発生するのですが、こういった特殊なレンズはそれがさらに顕著。

 

つまり、処方が合っていても違和感を感じやすいレンズだと言えるわけです。

TVでたまにやっている実験を見たことがあるとイメージしやすいですが、人はモノを見るときに正面ばかりではなく、忙しなくあちこちに視線をめぐらせます。そのせいで最もピントが合いやすい中心部分以外でもモノを見る機会が多く、正しい処方の眼鏡でも視線をずらしたときにピントが合いにくいと感じる可能性が高くなります。

なので初めてこういった要素をレンズに取り入れたときは、通常よりさらに注意深く様子を観察する必要があるでしょう。

 

まずは落ち着いて視線をまっすぐ前に固定して(遠近両用レンズは気持ち顎を引いて上目で見て下さい)、その時にピントが合うかどうかをチェック。
それでも視界がぼやけて改善の兆候がないならばレンズが合っていないと考えられますし、まっすぐ見たときは大丈夫なんだけれど少し目線を動かすとぼやけ始めるならばレンズの歪みをピントずれと勘違いしてしまっているのかもしれません。

仮にそれが正しい度数なのにそういった勘違いから慌てて交換してしまうと、交換後は正しい度数からズレたレンズが出来上がってしまいます。せっかく変えたのにさらに悪化する危険がないとは言えないため、一旦立ち止まってチェックしてみるのが重要なのは間違いないでしょう。

 

③目的距離が合っていない

眼鏡は必要な度数を入れればどこもかしこも完璧に見えるようになるわけではありません。

遠くがよく見えるように設定した度数を入れたならば、同じ眼鏡で近くを見ようとしたときに自分の目のピントを調節する筋肉を働かせる必要があります。若いうちは意識に上ることは少ないですが、年齢を重ねていくとこの筋力が衰えていき「ピントが合わない」と感じるようになることも。ずっと使っていた眼鏡で近くを見るときにピントが合わないように感じる原因もこれです。
また近距離~中距離を見るときに負担がかからないように度数を弱めに作っていれば、当然遠距離のピントが合いにくくなります。

この状況をあなたが不満に感じたとしたら、
これは度数が間違っていたというより設定した目的距離に限界があったと表現するべきでしょう。

 

遠近両用レンズでもない限り、ピントを合わせにくい距離は必ず存在します。

つまり、例えば「運転にも使うからちゃんと視力1.0が出るようにしたい!」と思って作った眼鏡なら、本やスマホを見るときにピントがぼやけることを許容する必要が出てきます。
仕事でパソコン作業が長いからそこで疲れにくい眼鏡が欲しい」だったなら、部屋の壁にかかっている時計やカレンダーにはピントが合わず文字が読み取れないかもしれません。

このポイントを(検査員の説明不足から)理解しないまま眼鏡を作ってしまうと、思ったよりピントが合わない機会があって失敗したとなってしまうわけですね。

 

厄介なのは、作り直したところで目的距離が変わるだけなので、ある場所を見やすくしてもまた別の場所のピントが合いにくくなってしまう点です。
あくまでも最初に設定した距離が見やすいままが良いというならば、作り直しはせずにピントが合わない別の距離は諦めることを検討しなければなりません。

それ以外の方法だと、
別々の目的距離で設定した眼鏡を2本以上持つか、どちらの距離もほどほどの見え方の中間点を探してみるか、遠近両用レンズを試してみるかといったあたりでしょうか。
なんにせよ、このパターンもすぐに作り直しだ!とする前に、自分に必要な距離をしっかりと洗い出してみるべきだと言えます。

 

④フレームの問題

見え方に問題が合ったときレンズばかりが注目されがちですが、実は眼鏡のフレームが与える影響も決して少なくありません。

同じフレームを使ってレンズだけ交換したなら別ですが、多くの場合フレームとレンズをまとめて買い替えしますよね。
このとき何が変わるかというと、

・頂点間距離(目とレンズまでの距離)
・前傾角(レンズの角度)
・レンズサイズ
・掛け心地

この辺がフレームによって結構変わってくるので注意して下さい。

例えば近視レンズは頂点間距離が遠くなるほど度数の働きが弱くなるという特徴があります。
なので、今まで低めの鼻パッドを使っていた人が高さのある鼻パッドのフレームに乗り換えたなら、度数を弱く感じてしまうはず。

これにより、今までと同じ度数で新しく作ったとしてもピントがイマイチ合わないということが発生するのです。

同様に前傾角もきつくなれば見え方に悪影響が出ますし、レンズサイズが広いと歪みを感じる範囲が広がります。さらに掛け心地が悪くフィッティングが合っていないフレームは、ずり落ちやすくなったり、頭痛や肩こりを引き起こして何となく見え方の調子が悪くなったりといったことが起こりかねません。

 

ここまでの説明で分かる通り、フレームが原因のピントズレを解決するためには必ずしもレンズ交換がベストとは限らないわけですね。

最初の頂点距離が離れてしまったことが原因なら、眼鏡屋さんで鼻パッドを少し低く潰してもらえばそれだけでピントは合いやすくなります。逆に度数が強すぎると感じるなら、鼻パッドを高くするとちょうど良くなることが期待できます。
前傾角もテンプルなどの調整で変化させることができますし、全体的にフィッティングを整えてもらうことでちょっとした違和感が消失することは往々にして有り得るのです。

よって、レンズの度数が全く(orほとんど)変わっていないのにピントが合いにくいなあと感じたなら、前回まで使っていたフレームとの差異を見比べてみると良いでしょう。

 

まとめ

さて、ここまでピントが合わなくても買い替えや交換をしないほうが良いパターンのお話をしてきました。

しかし序盤でお断りした通り、ピントが合わないということはやはり多くの場合はそのレンズが合っていないからこそ起こる事象です。
ですからレンズの調子が悪いと思ったなら、買い替えや交換をむやみに躊躇する必要はありません。

 

こんな記事を書いておいて結論はそれかーい(笑)。

とはいっても、見え方を注意してチェックする必要こそありますが、ピントが合わないと感じるものを無理に使い続けても良いことはありませんからね。

いずれの場合にしても、ここで読んだことが少しばかり参考になって快適な眼鏡生活の一助になればと願う次第であります。