「自分のメガネのレンズ、随分長いこと使ってるけど寿命は大丈夫なのかな?」
普段意識することはあまりないですが、眼鏡は使っていれば当然劣化していきます。
フレームであれば古くなると見るからにわかるのですが、レンズとなると意外と気付かなかったりするものです。
しかし目に見えずとも、そのレンズは本来の機能を失っているかも知れません。
状態の悪いレンズのせいで実は目に悪影響があった、なんてことがないようにレンズの状態をチェックしておきましょう。
レンズの寿命どれくらい?

一般にプラスチックレンズの寿命は2年前後と言われています。
ガラスレンズならもう少し長くなりますが、普通に使用しているレンズでも様々な要因が重なることで充分な機能を保てなくなってしまうのです。
紫外線カットの限界
まず自然劣化で挙げられるのは、UVカット機能の低下でしょう。
現在、ほとんどのレンズは標準で紫外線をカットする機能が付いています。
紫外線カットはレンズの中に紫外線を吸収する材料を練り込んであるのですが、これは永久に吸収し続けられる訳ではありません。
おおよそ3年から5年で吸収の限界を迎えると言われています。
コーティング剥がれ
眼鏡のレンズは、基本の素材の上に
- ハードコート(硬さを保つ)
- 反射防止コート(チラつきを抑える)
- 任意の追加コーティング(キズ防止やブルーライトカット)
が順に貼り付けられています。
まず、時間が経ったり熱が加えられたりすると、クラックと言って波を打ったようにコーティングが浮いてきます。
そこでついた細かな傷から汗や汚れが侵入しハードコートの劣化やコーティングの剥がれを招くのです。
買い替えが必要か見極める方法

そんなことを言われても普通に使えているし、じゃあ実際どうなったら買い換えた方がいいの?となりますよね。
眼鏡屋で説明しているやかりやすい基準をお教えします。
購入からの年月
簡単なのはやはり使用年数ですね。
普段使いをしていてもずっとしまっていても、レンズが劣化していくのは避けられません。
購入時のベストな状態を保てるのはそう長くはないので、2~3年を目処にレンズの状態をチェックするようにしましょう。
特に紫外線機能の低下については、UVカットの量がどれほど残っているかを調べる機械のあるお店もあります。
傷が目立ってきた
眼鏡は普段何気なく手にとって装着するものなので、意外と自分の眼鏡のレンズに付いた傷に気付ずにかけている人がいるんですね。
なので、たまにはレンズの方をまじまじと観察してみてください。
ぶつけてつけた傷やコーティングの剥がれなどが実はかなり増えていたということがあります。
こういったものを放置するとレンズに入ってきた光が拡散して見え方が悪化するので、あちこちに目立ってくるようなら替え時と言えるでしょう。
汚れが取れにくい
最近はUVカット機能などの他に、撥水効果のついたコーティングのレンズも増えてきました。
これのおかげでレンズを綺麗に拭き取ることができるのですが、やはりこれも時間が経つことで汚れが残りやすくなります。
コーティング表面が荒れて傷が増えてきたということでもあるので、前より拭き取りづらくなったと感じたら、レンズ表面の悪化のスピードは上がっていると考えて下さい。
度が合わなくなってきた
単純に時間が経てばどんな人でも目の状態は変わっていきます。
度が進むのはよくあることですし、今まではなかった乱視が出てきているかもしれません。
また、老眼が進んでいたなら今までとは全く違う度数が必要になってくる場合もあります。
度のあわない眼鏡をかけていると目は常に負担を強いられて視力の悪化を招くので、眼鏡が今の自分に合っているかは頻繁に確認した方がいいです。
フレームの劣化
また、レンズとは違いますがフレームの寿命も2~3年を目安と考えておいてください。
多かれ少なかれ曲がったり歪んだりするので、だんだんずり落ちやすくなったりかけていて違和感を感じるようになります。
するとレンズの位置もずれて本来の見え方ではなくなってしまうので、そのまま放置するのはオススメしません。
どうすれば眼鏡レンズの寿命を伸ばせる?

プラスチックレンズには利点も多いですが、弱点も少なくありません。
しかし、ポイントを押さえて取り扱うことで寿命を十分に伸ばすことができます。
高温に晒さない
眼鏡レンズが特に弱いのは高温です。
ここで言う高温とは60℃あたりを指しますので、何気なく使っていて近い温度に触れている場合があります。
- 真夏の炎天下の車内に置きっぱなしにする
- 眼鏡をかけたまま熱いシャワーを浴びたりドライヤーをかける
- サウナで過ごす
- 火の着いたタバコの近くに放置する
などなど、人によっては何気なくやっていることが知らずにレンズのダメージになってしまっているのです。
またシャワーはマシな部類ですが、サウナや火の傍は一発でアウトになりかねないので注意して下さい。
洗浄には中性洗剤を
眼鏡の洗浄には何を使っていますか。
市販のレンズクリーナーがベストですが、ない場合は洗剤を使って洗っていただくのでも結構です。
ただし、眼鏡レンズは酸性やアルカリ性塩分などに弱いので、洗浄時には薄めた台所用中性洗剤を使ってください。
レンズにから拭きは✖
レンズには自然とホコリや花粉、細かなゴミなどが付着していきます。
これをそのまま眼鏡拭きで拭こうとすると、そのゴミが研磨剤の役割を果たし、レンズ表面が傷つきやすくなってしまいます。
なので毎日とは言いませんが、レンズを拭く時は定期的に水で表面の汚れを洗い流してから拭くようにしてください。
たまに、眼鏡屋さんにある超音波振動機で洗ってもらうと、レンズは勿論鼻パッドやフレームの隙間についた油汚れなどを落とすことができますので寿命の延長に一役買うでしょう。
この超音波振動機は一般にも販売していますので、興味のある方は手に入れてみるのも良いでしょう。
ケースにしまう
当たり前の話で恐縮なのですが、効果的なのは使い終わった眼鏡を出しっぱなしにしておかないということです。
眼鏡が壊れてしまうケースの大半は、床やテーブルに置いておいた眼鏡を踏んづけてしまったり、かけたまま居眠りをして曲げてしまったといったことが挙げられます。
これらを防ぐためにケースにしまう習慣をつけることが効果的と言えるでしょう。
ちなみにケースに入れた時眼鏡拭きがある側にレンズが触れるようにしまってください。
カバンに入れて持ち歩いた時などにケースの中で眼鏡が動いてしまっても、レンズに傷がつきづらくなります。
寿命が来てしまったらどうしよう?
基本的に寿命を迎えて劣化・破損した眼鏡を元通りの状態に戻すことは非常に難しいです。
やれるとしたらバフ磨きでセルフレームの表面を綺麗にするとか、ロウ離れしたパーツ同士を改めてロウ付けするくらい。ただし見かけ上は直っていても耐久性までは戻らず、再度同じ箇所がトラブルを起こす可能性は高いと言えます。
特にレンズのキズは一度ついたらそこでおしまいです。
レンズ表面にある極薄のコーティングが傷ついていますので、これを修復したり貼り直したりといったことが不可能なんですね。こればかりはどの眼鏡屋に持っていっても残念ながら同じ。
なので、こうなった場合はやはり買い替えをするしかありません。
選択肢はふたつ。
一部を買い替えるか、全部を買い替えるかです。
レンズ・フレームの交換
フレームは綺麗だけど、レンズに傷がついてしまった。
見え方は全く問題ないのにフレームが歪んでかけていられない。
そういった場合、レンズもしくはフレームを残したまま問題のある方だけを交換するということが可能です。
大抵は完全に一新するより安く済みますし、高いレンズがまだ使えるとか、気に入ったフレームを変えたくないと言った時には検討の余地ありです。
基本的には購入したお店で行うのがオススメですが、パーツ交換は数年経つと同じフレームの取り扱いがなくなるなんてことはよくあるので注意しましょう。
心機一転新しくしよう
もうひとつとしては、
いっそのこと新しく買って眼鏡を一新してしまうことです。
もちろんコストはかかるのですが、
- レンズ度数を見直すいい機会になる
- 新しい眼鏡で心機一転してQOLアップ
- 修理するより新品のほうが寿命が長いので実はコスパも悪くない
このようにメリットも少なくないのが見逃せません。
見え方やかけ心地の状態がベストではない眼鏡を使い続けると視力低下や体調不良を招くことが本当にあるので、完全に破損した時のみならず、寿命が近いなーと感じたなら眼鏡は早めに新調するのを全然アリですね。
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正しい知識とお手入れで、目にも眼鏡にもずっと優しく
以前、眼鏡が見えづらくなってきたから視力を測ってほしいという方がいました。
しかしレフラクター(視力検査機)で測ると、現用の度数で充分視力が出ている。
そこでご持参の眼鏡を見せてもらうと、一見わからないような傷やクラックが全体に広がっていました。
結局度数はそのままでレンズを新しくするだけで、ものすごく見やすくなったと驚きの声を聞いたことがあります。
このように、注意しないと気付かないような傷さえ見え方に大きな影響を及ぼすことがあるのです。
なんとなくで使い続けるのではなく、しっかりと知識を持ってレンズの状態を把握すれば、結果的に健康な目の寿命を伸ばすことにも繋がるのではないでしょうか。