コンタクトの度数を上げる時の注意点。どうしても検査を受けたくない場合は?

コンタクトレンズを使っていると、同じ度数では段々見にくくなってくることがあります。仕方ないとはいえ、目が悪くなったのかとガックリきますよね。

こうなると使用中のコンタクトの度数を上げる必要が出てくるわけですが、どんな風に上げていくのがいいのか心配になる人がいるようです。

度数を上げるのは目に悪かったりしない?
必ず眼科に行かなければならない?
どうしても検査ナシで度数を上げたい!
乱視や遠近の人はどうすればいい?
この機会に別の製品を試したいんだけど

この記事ではこういった疑問に答えつつ、コンタクトレンズの度数を上げるために注意して欲しいことをまとめています。
眼科に行く人も行かない人も、まずはこの記事を読んで心配を解消させておきましょう。

 

今のコンタクトが見辛くなってきたら

成長や生活環境によって、日々目の状態は変化していきます。
特に目にストレスがかかるような生活をしていると視力は悪化しやすく、コンタクトレンズの度数が進みがち。

普段見る必要があるものに対し見え方が悪いままでいると、いつも目はピントを合わせようとして緊張状態が解けずに疲れが溜まってしまいます。これがさらなる視力低下を招くことがあるので、度数を上げたくないからと放置することはオススメしません。

基本は眼科で処方を受けよう

コンタクトレンズの度数ですが、高度管理医療機器なので大原則として眼科の処方が必要になります。

目の健康状態
度数測定
ベースカーブのチェック
トライアルレンズで実際の見え方確認する

眼科に行くと、上記のようなレンズ選びにおける重要なポイントをしっかり検査することができるので非常にオススメ。
自分にとって快適なコンタクトを見つけやすいですし、長期的に見ても目が受けるダメージを減らすことにつながります。
処方期間は眼科によって3日~12ヶ月と大きく幅がある(最も多いのは3ヶ月)ので、長めに処方を出してくれる眼科を見つけておくと良いでしょう。

コンタクトレンズを長期間使う人は気を付けないと目が本当にエライ事になる可能性があるので、可能な限り検査をしておいたほうが良いことだけは覚えておいて下さい。処方代なんて数百円ですしね。

度数上げると痛みや疲れが出るってホント?

そんなに多くはないですが、ホントです。
見え方の変化に慣れるまで目のピント合わせ機能が細かく調整を続けるので、疲れやすかったり目の奥が痛んだりといったことは考えられます。

でも眼科では統計と経験と患者さんの状況を踏まえた上で、痛みや疲れが出にくいように数字をしっかり処方してくれますのであまり心配しなくても大丈夫。一気に度数を上げたりしたとか、もともと度数の変化に敏感という人でもない限りはあまり心配しなくてもいいでしょう。

もしその度数が会わなくても大抵のお店で処方交換が可能です。一定期間以内なら改めて処方箋を取り直すことで、新しい度数の製品と無料で交換して貰えます。
ただ未開封品に限ることがほとんどなので、貰った数日分のトライアルレンズを使い切るまでにその度数が合うか合わないかを判断します。

 

検査がどうしてもイヤ。どうすればいい?

さて、そうは言っても検査したくない人が一定数いるのは承知しております。
そんなときはどうすればいいでしょう。

先程コンタクトレンズには処方箋が必要と書きましたが、実はあくまでもそれは原則であって、処方がないならないでコンタクトを購入することは可能なんです。
もしかすると断られる店舗もあるかもしれませんが、買える可能性の方が高いはず。特にネット購入なんかは度数を自分で入力するだけなので、処方箋チェックなんてなしで購入できてしまいます。

ということで、あくまでも自己責任においてという前提ですが、自分でコンタクトレンズの度数を変更する時の考え方をお伝えしましょう。

度数の上げ方と目安

まず自分の今の度数を確認しましょう。

球面度数といい、【S】【SPH】【P】【PWR】などと表されることが多いです。

「その度数をしばらく使っていたけれど最近見にくいと感じるようになった」というパターンが一番多いと思いますが、基本的には今の度数から両眼とも1~2段階上げるのが無難です。
1段階は0.25なので、

今の度数が
右目-2.00Dなら、-2.25Dもしくは-2.50D
左目-1.50Dなら、-1.75D~もしくは-2.00D

というように足していきます。
一般的に、低度数ほど少し度数を上げただけで見やすくなることが多いので上げるのは1段階だけにしておきましょう逆に高度数は多少の違いでは見え方に差を感じにくいことがあるので、見にくいと自覚してからそこそこ時間が経っているなら2段階上げてしまっても良いかもしれません
いずれにしても一気に上げると目の負担が大きいので、それ以上を一度に上げるのは推奨されません。”1~2段階上げる”を時間をかけて何回か繰り返す方が良いと思います。

 

他のポイントとしては、

片目だけ明らかにぼやけるとかでもない限り、両目に同じだけの数字を足すようにしましょう。
乱視がある人も基本は球面度数を足します。乱視度数は強くすると疲れが出やすい特徴があるためです。しかし見え方が良くならないなら乱視度数を上げるのもアリです。
遠視の人は状況が複雑になりやすいので自分で判断はおすすめ出来ません。もし無理やり上げるなら、近視とは逆にプラスの数値を増やしていきます
近視は度数を上げて遠くを見やすくすると、近くが逆に見にくくなります。遠くも見にくいが近くが見えないのはもっと困るという人は、むしろ度数を下げなければいけません(この場合遠くの見え方の改善は諦めます)。
遠視は完全矯正値まではプラス度数を増やすほど遠くも近くも見やすくなります。しかし完全矯正値を過ぎてしまうと、近くは見やすくなりますが遠くは見にくくなりだします(老眼鏡に近づいていく)。

遠近両用を使っている人は、弱い加入度数を使っているならさらに上げる余地があります。コンタクトの種類によりますが、+0.75Dを+1.50Dにしたり、+1.00Dを+2.00Dにしたりといった具合。これ以上強い加入度数はほとんどないので、それでも近くが見えにくい時は球面度数を下げて対応しましょう

 

「度数を上げる=見やすくなる」とは限らない

もう一点、どうしても覚えておいてほしいのが

必ずしも度数を変えればよく見えるようになるわけではないということ。
理由は、見え方の悪くなった原因が何かわからないからです。

 

例えば、今までなかった乱視が出始めてきた場合、乱視の進み方によっては球面度数を上げていってもさほど見え方が改善しない場合がありますその場合乱視用コンタクトを使用する形になるのですが、乱視には軸度というぼやけを矯正する方向を指定しなければなりません。多くの人は180°ですがそうでない人も少なくないため、どうしても眼科で乱視の状態を検査しないとそのあたりを判別できないんですね。

また、近視はいつも進むだけとは限りません。
場合によっては目の状態が遠視側に寄っていくことで、近視が弱くなる可能性もなくはないのです。すると今まで入れていた度数では過矯正になり、そのせいで視界がぼやけてしまったなんて人も稀に存在します。これは度数を下げて対応しなければなりませんが、自分でそれに気付くのは非常に難しいことです。

何かしらの病気を要因としている場合も、度数を上げただけでは改善しません。
白内障や緑内障は視野が欠けたり白く濁ったりして見えなくなるため、いくらレンズを変えたところで見えにくい原因には影響を及ぼさないからです。

他製品に変更したい

度数を変更するついでに、あるいは見え方の改善を求めて、今使用しているコンタクトレンズとは別の製品を試してみようかという人がいます。

しかし各社が販売しているレンズはそれぞれ特徴や設計データがかなり違っているので、勘で種類を変更しても快適に使えるとは限りません。同じ度数なのに思ったより視力が出ないとか、ベースカーブが合ってないせいでゆるくてすぐ取れるとか、張り付いて取るのに苦労するとか、すぐ乾いて何時間もつけてられないとか、挙げたらきりがないほどトラブルの種があちこちにあるのです。

あえて行うのなら、メーカーや素材やベースカーブを今現在使っているレンズとなるべく合わせると「ハズレ」は少ないはず。
素材は高価格帯で多いシリコン(大抵商品説明にシリコンと強調してある)か、従来品のHEMA(シリコン表記がなければ大体これ)の2種類で、装用感なども違うため今のレンズと同じ素材が良いでしょう。
ただHEMAを使っていてドライアイで困っている場合などは、シリコンに変えると目の乾きが軽減される可能性が高いので乗り換えを試してみるのも悪くはないです。

度数を自分で勝手に上げるデメリット

度数を上げる目安を説明しましたが、やはり問題が出やすいのも確かですのでデメリットも把握しておいて下さい。

目が疲れやすくなる

個人差が大きいのですが、少し度数を変えただけで今までとの違いを敏感に感じとって調子を悪くする人がいます。
その場合眼科なら片目だけ上げてみたり、乱視を試してみたりと確認のしようもあるのですが、自分で度数をあげた時はそうはいきません。
もしどうしても違和感が残るなら度数は上げずにしばらく様子を見るのも手です。

左右バランスの悪化

左右の目の視力は揃えておいた方が疲労を抑えられます。差が大きいとそれぞれの目から送られてくる映像をひとつにまとめる脳に負担がかかるためですね。(もともと左右差が大きい見え方、いわゆるガチャ目に慣れている人は別)

コンタクトレンズの度数を変えると、このバランスが崩れることがあります。普通は両眼に同じ度数をプラスすれば問題ないのですが、左右の視力の上がり方が同じにならないときとあるので注意が必要です。
どうしても変更後の見え方に差があるなら片方だけ度数を上げることも試してみましょう。

明視域が変化する

度数を上げると遠くが見やすくなるわけですが、逆に近くは見にくくなることにも留意して下さい。

ぼやけずにピントの合う、最も遠い位置から最も近い位置までを明視域と言いますが、これは歳を重ねるに従って範囲が狭くなっていきます。
つまりコンタクトレンズの度数を上げるということは、この明視域が遠く側に移動してしまって近くを見る際に目の負担が大きくなることを意味するわけですね。

若い人でも疲れやすくなるし、40~50代だと今まで見えていた本やスマホがぼやけてくる可能性があります。
それまで視力1.0や1.2で過ごしてきた人はそこから視力を落とすことに抵抗がある傾向がありますが、日常生活に支障がないのであれば視力をキープすることに拘らないほうがいいかもしれません。

返品不可になる

しっかりと検査した結果の処方箋データではなく購入者の希望度数で買った場合、保証の一部が適用されなくなる可能性が高いです。

・見え方が悪い時に改めて処方箋を取り直すことで新しい度数の製品と無料で交換してくれる
・未開封品なら購入者都合での返品、返金に応じてくれる

といった内容の保証をしてくれる店が多いですが、自分で度数を上げたりすると上記の保証が使えなくなる場合がありますので注意しましょう。

 

まとめ

大概、コンタクトレンズの度数は進むものです。
余程気をつけて生活していてもなる時はなるので、あまり深く気にしなくて大丈夫。今の度数が生活する上で物足りないと思ったら、遠慮せず度数は上げちゃって下さい。

ただこの記事で解説したようにマイナスの影響が出る場合もありますから、そのときどう対処するかは意識しておく必要があると言えるでしょう。