コンタクト頭痛のセルフチェック!思わぬ事が痛みの原因に

コンタクトレンズをつけていると、目の奥が痛くなり、こめかみに力が入り頭痛がしてくる。疲れやすく、ひどくなると吐き気までしてくる―――――。

ここまではいかずとも、コンタクトレンズの装用中に目や頭の痛みに悩まされている人は多いようです。
コンタクトは高度管理医療機器ですが、なぜ普通につけているだけで頭痛まで発生してしまうのでしょう。

そこにはコンタクトレンズのつけ始めにしやすい勘違い、あるいは逆に慣れた時にやりがちな行動が大きな原因になっている可能性があります。

 

まずは自己診断から。あなたはどれに当てはまる?

このくらい平気だろうと普通に過ごしていても思わぬ事が体調を変化させていることがあるので、コンタクト頭痛に悩んでいる人はこの後に挙げるポイントに当てはまっているか確認していきましょう。

セルフチェックをして要因を1つずつ取り除いていけば、頭痛の発生を抑えやすくなるはずです。
以下の要素に当てはまるものがないか順番に見ていって下さい。

 

  1. 遠くがよく見える
  2. 目が乾きやすい
  3. 自分でレンズを選んだ・変更した
  4. 乱視用コンタクトを使っている
  5. 乱視が入っていない
  6. つけっぱなしで寝ることがある
  7. 右と左を間違えている
  8. コンタクトを初めてつける

 

頭痛を引き起こしやすい代表的な事例を挙げてみました。

○種類や度数など選ぶコンタクトレンズそのものに問題があるパターン
○コンタクトの装用方法や使うタイミング、ペースなどに問題があるパターン

に分けて細かく解説をしていきます。

 

コンタクトレンズ自体に原因がある

遠くがよく見える

え、遠くが見えて何が悪いの?」と思いますよね。
よく見えることそれ自体が悪い訳ではないのですが、問題は『そこまで遠くを見る機会が少ないこと』です。

人の目が遠くも近くも見えるのは、見たい距離に合わせて目の毛様体筋を動かしてピントを合わせているから。
目に何も力を入れない時に最も遠くにピントが合って、近くを見るほどに筋肉を使うというイメージですね。
つまり、コンタクトレンズをつけて遠くがよく見える状態とは、近くを見る時にかなりのパワーが必要になる状態と言えます。

解決するには?

実はコンタクトレンズの眼科処方って、視力をバッチリ出すことが最優先になってる場合が多いんです。
店にはあちこちの眼科から処方箋が持ち込まれますが、基本的に視力1.0から1.2を出せるような度数ばかり。
見えないより見える方がクレームになりにくいので自然な流れなのかもしれませんが、でも普通の生活をしていて1.2が必要なシーンなんてそうはないですよね。1.0なくてもほとんどの場合で困るほどのことはありません。よって少し(1~3段階)度数を落として室内で使いやすい視力設定にしてもらうと頭痛を改善させられる可能性があります。

 

目が乾きやすい

コンタクトレンズ使用者の悩みで多いのがドライアイ。
このドライアイも悪化すると目だけではなく頭の痛みを引き起こすと言われているので、慢性的に目が乾く人は要注意です。

裸眼時は目の表面を涙の水分が多い乾燥を防いでいるのですが、コンタクトをつけるとその涙成分が入り込みづらくなり目が乾きやすくなります。
昔からあるHEMA素材のコンタクトは酸素を通すために含水率が高く装用感が良いのですが、その瑞々しさを保つために多量の水分を必要とします。封を開けた時にレンズに含まれている水分は徐々に蒸発していってしまいますが、レンズは他から水分を補充して性能を保とうとします。

ではこの水分はどこから補充するでしょう?

「あなたの目」からしかないですよね。よってレンズは水分たっぷりでもその中の眼球は意外と乾いているということが起こるのです。

解決するには?
レンズ素材を変えてみるのはどうでしょうか。
最近増えてきたシリコンハイドロゲル素材は、素材自体の酸素透過率が高くそこまで多くの水分を必要としません。つまり目の涙分がレンズにあまり持っていかれないので目が乾きにくい特徴があります。また、眼科を受診してドライアイ用目薬を使うのも効果的。
何かに集中すると目が開きっぱなしになるので、瞬きを増やす意識を持ったり目を休ませてあげる時間を作ることも重要です。

 

自分でレンズを選んだ・変更した

実は、コンタクトレンズは眼科医の処方がなくても購入することが可能です。
よって(恐ろしいことに)最初から適当なレンズと適当な度数を自分で選んでコンタクトを使い始める人もいますし、処方された度数が見にくくなったからと度数を自分で上げたり別のレンズに移行する人もいます。

言うまでもないですが、検査なしで選ぶコンタクトは博打と同じ。
相性もベースカーブも度数も勘に頼っていますから、いつ調子をおかしくしても不思議ではありません。最初は全然大丈夫でも、ダメージが蓄積して慢性的な頭痛を起こす症例も珍しくないのが怖いところです。

ちなみに同じ名前のレンズでもワンデーと2ウィークで性能やベースカーブなどの設計が違う製品があるので、変更時は問題ないかどうか様子をしっかり見る必要があります。

解決するには?
一にも二にも、コンタクトは検査を行いましょう。
異常が起きていないならば百歩譲ってそのままいくのも手ではありますが、レンズをつけると頭痛が常に発生するなんて状況では即眼科医行きをオススメいたします。
正しい処方をもらうのがベストですが、もしどうしても検診をしたくないなら、なるべくコンタクトレンズをつける時間を減らして目の回復を図ってみてください。
角膜は再生力の高い組織なのでコンタクトをつける時間が短いほど状態の改善が期待できます。

 

乱視用コンタクトを使っている

目に乱視の症状がある人は多く、乱視用コンタクトも増えてきたのでそちらを利用している人もいるかと思います。
しかし乱視は結構デリケートな状態であることが多く、正しくない乱視矯正による頭痛を起こす人が少なからずいます。

まず知っておいて欲しいのは、乱視用コンタクトレンズの軸度は種類が限られているということ。
乱視軸とは、乱視を矯正する角度のことです。乱視のある人はものが二重にブレて見えるのですが、人によってブレる方向が違うためそれを矯正する角度もバラバラになります。

この軸度は眼鏡ならば5°単位で指定できるのですが、乱視用コンタクトはここまで細かく分けられていません。
【ワンデーモイスト乱視】
10°、20°、60°、90°、120°、160°、170°、180°
【ワンデーピュアプラス乱視】
20°、90°、160°、180°
【2ウィークピュアプラス乱視】
90°、180°
【ワンデープレミオ乱視】
90°、180°

このように大抵は180°と90°だけで、角度の多いワンデーモイストでも8段階しかありません。相性によっては角度の多いレンズが使いにくいこともあるので、本来のあなたの目の軸度とかなり違うレンズを装着せざるを得ない可能性があるのです。
僅かな軸度の違いで調子を悪くする人もいるので意外と気をつけるべきポイントでもあります。

解決するには?
正しい乱視矯正を行うべきですが、使用者からはどれが正しいかわかりませんよね。
こんなときは、眼鏡の処方度数を確認してみましょう。
コンタクトが入っているなら眼鏡も乱視入りの可能性が高く、5°単位で正確な軸度が示されているはずです。この数字とコンタクトの乱視軸度の差があるようなら、それが頭痛原因となる場合があります。
改めて眼科医と相談して他の軸度を試してみるか、乱視度数を弱めるか、弱い乱視ならいっそのこと抜いてしまうのもいいかもしれませんね。抜いたなら球面度数を1~2段階足せば近い視力を確保できます。

 

乱視が入っていない

今度は上記とは逆パターン。
入れなければならない乱視が入っていないせいで見え方にぼやけが残っていると、よく見ようと目を細めたり四六時中目に力が入ってしまい痛みを引き起こすことがあります。

解決するには?
時間が経つと昔は乱視のなかった人にも乱視症状が現れることがあります。というか全く乱視のない綺麗な眼球の形をしている人は少ないので、定期的に乱視用レンズを使うべきかどうかをチェックしてもらうのが良いでしょう。
ちなみに軸度も一生モノではなく、徐々に変化していくことがあります。

 

コンタクトレンズの使用習慣に問題がある

つけっぱなしで寝ることがある

ついついやりがちなコンタクトをつけたままの寝落ち。
これも角膜の酸素不足を招き、レンズが張り付いたり乾いたりで下手をすると頭痛を引き起こしますが、事はそれだけに留まりません。

目が呼吸しにくくなることで眼内細胞が減っていき、細菌も繁殖して結膜炎や角膜の剥離などを起こしやすくなり最終的に失明の危険すらあるのがコンタクトレンズのつけっぱ寝なのです。

解決するには?
家に帰ったらコンタクトレンズは外すのが当たり前、という状況を作るのがベスト。
荷物を片付けて服を着替えるのと同時にコンタクトから眼鏡にかけかえるのを一連の流れにしてしまいましょう。
室内用眼鏡を1本用意しておけば不必要に度数が強くて負担になることもないし、寝転がってスマホを見るだけなら眼鏡すら外してしまっても大丈夫な人は少なくないはず。これならそのまま寝てしまっても平気ですね。

 

右と左を間違えている

シンプルながらやりがちなのは、コンタクトレンズの左右を逆にして装着してしまうこと。
度数差が大きいなら明らかに見え方が変わるので気付くと思いますが、ある程度近い度数が入っている場合は逆につけて違和感が多少あっても「今日は調子が良くないのかな」くらいで済ませてしまう人が多いようです。
実際ハードレンズの見え方がおかしくなってきたから検眼してほしいと来店した人を調べてみたところ、購入から半年以上ずっと左右を間違えたまま過ごしていたーなんてことが決して珍しくありません。

解決するには?
店舗での購入ならそれぞれのレンズにそれとわかるようシールを貼ってくれるはずですが、ネット購入を利用している人は自分で左右を判別できるようにしておくと良いでしょう。
片方だけ適当な印をつけておくとか、右と左の容れ物を分けておくとか、もらった明細はちゃんと取っておいて定期的に度数の確認を取るとか、少し意識しておくだけで充分防ぐことはできます。
そんなのしなくても大丈夫だよと思いがちですが、度数変更をした後なんかは意外とやってしまうので注意して下さい。

 

コンタクトを初めてつける

眼鏡でもそうなのですが、コンタクトレンズを含め視力矯正を初めてする時にレンズを通した見え方に慣れていないため目が疲れたり頭痛に見舞われることがあります。
今までと違う景色に脳がすぐ対応できなかったり、ピント合わせの筋肉がそれまであまりしなかった動きを強いられるのがその原因。

特に年齢を重ねてから初めてコンタクトをつける人は痛くて長時間つけられなくなる人もいます。遠近両用レンズのつけ始めも同じで、補正された景色に慣れるのはなかなか大変なことが多いのです。

解決するには?
基本的にはしばらくすれば身体が慣れてくれるのでそこまで長続きはしません。最初は無理せず短い時間で慣らしながらつけ外しを行って下さい。
ただそれでも頭痛がひかない場合は、度数設定が間違っているかレンズとの相性が悪いか、あまりないですがコンタクトレンズに付着する汚れのいずれかにアレルギー反応を起こしている場合もあります。決して放置せず、処方してもらった病院で早めに相談をしに行くようにしましょう。

VDT症候群にご注意

VDT症候群というものをご存知でしょうか。
Visual Display Terminalの略で、パソコンなどディスプレイ作業を長時間続ける人達に現れる心身への悪影響を総合した言葉です。

コンタクトをつけたせいでという話からはやや逸れるのですが、「コンタクトをつけた状態で現代人が最も行う時間の長い行動が引き起こす不調」という点においてご紹介しておきます。

 

ディスプレイをずっと見ていると、瞬きが減り同じ姿勢で固まっていることも多く、視線は画面や周辺の書類などをせわしなく行き来するため目に大きな負担がかかり以下のような症状が出てきてしまいます。
その症状の内訳を調査したデータがこちら。

VDT症候群の身体的症状

●目の疲れ・痛み 90.8%
●首・肩のこり・痛み 74.8%
●腰の疲れ・痛み 26.9%
●頭痛 23.3%
●背中の疲れ・痛み 22.9%
●腕、手、指の疲れ・痛み 8.3%
●その他 1.7%

出典:厚生労働省「技術革新と労働に関する実態調査」(平成20年)

 

これは平成20年のものですが、最近の研究ではこういった症状のいずれかを持っている人の割合は、ディスプレイ作業を長時間行う人の実に6割以上と言われています。
そのままの生活を続けると最後には重度の病気に繋がる可能性もあるので、なるべく予防していきたいところ。

方法としては、同じ場所での作業が長時間続くことが原因なのでこまめに休憩を取るようにするだけでかなり違いが出てくるはずです。定期的に身体を動かしたり、マッサージで血流をよくしたり、画面とにらめっこする以外の仕事を合間に挟むようにしましょう。
また、ディスプレイの光そのものが疲労する要因となることもあるため、画面の輝度を落としたり、ブルーライトカットつきのコンタクトや眼鏡で青色光のちらつきを抑えることで負担を少なくすることが可能です。

 

まとめ

身体の不調は大きな病気の早期発見のサインです。

コンタクトレンズ装用における頭痛は、「まあそういう時もあるよね」くらいに軽く流されてしまいがち。
しかし目の中に異物を入れた状態で過ごしている以上、ある程度注意は払っておくべきです。

大した痛みではなくても、むしろその時点で対処しておけば後々の慢性的な症状に悩まされなくても良くなるので、コンタクトでの頭痛が気になる人はご自身の使用環境をしっかりと振り返っておくことをオススメいたします。