最近眼鏡のレンズの汚れが拭いても拭いても落ちなくなった・・・そんな経験はありませんか。
眼鏡レンズは何層もの薄いコーティングで覆われており、それが傷んだり剥がれたりすることで汚れのように見えることがあります。
つまり、その汚れは汚れではなくコーティング剥がれかも・・・!?
そしてコーティングの剥がれなことに気付かず、汚れを落とそうと念入りに掃除をすることで逆に剥がれを広げてしまうことがあるのです。
この記事では
- 汚れとコーティングの傷みの見分け方は?
- 傷をつけにくい洗い方が知りたい
- いっそのこと剥がしてしまうのはアリ?
といった疑問にお答えしていますので、気になる方は最後まで読んでみてください。
眼鏡レンズがすぐダメになってしまう人も、少しでも寿命が延ばせるようになれば幸いです。
拭きすぎNG!とれない汚れは剥がれやキズと考えよう
『汚れが取れないのでクリーニングして下さい』と持ち込まれる眼鏡を見ると、コーティングがあちこち傷ついて白い汚れに見えている状態が大半。
かなりボロボロになっていることも多く、絶対に見えにくいのでもっと早く異常に気付きそうなものなんですが、ゆっくりとした変化には人間気付きにくいのかもしれませんね。
できればこんな状態になる前に、汚れかコーティング剥がれかを見極めて正しい対処をしたいところです。
レンズの汚れと傷の見分け方
レンズ状態の見極め方は簡単です。
まず普通にいつも通りでいいのでメガネ拭きで表面を拭き取ってホコリや汚れを除去してください。
それでも汚れが残っているなあと思ったら、汚れの付き方を確認してみましょう。
一定方向に線のように跡があるのか、一部だけもやっと広がったような跡が残っているのか、色々な状態があると思います。手元が見えにくい人はレンズを前後左右に傾けて部屋の電灯を反射させると見やすいですよ。
その次に、今ついている線の向きとは違う方向へメガネ拭きをこすってみましょう。
さあ、どうなりましたでしょうか。
- 最初の線が見えなくなって、新しく拭き上げた方向にわずかな線が見える
➡目立った傷はなく、汚れがついているだけの状態 - 最初の線が全く変わらずに残っている
➡コーティングが傷ついている
①であればまだまだレンズはキレイです。
買ってからしばらく経っているのにこれならば、あなたの眼鏡の扱い方が非常に丁寧だと言えるでしょう。クリーナーなどを使って丁寧に拭いてあげれば傍目には汚れは見えなくなるはずです。
②の場合はコーティングが傷み始めています。
光を反射して気づくくらいの線ならばまだまだ大したことはないですが、どこからどう見ても白い線や跡がついている箇所があって、拭いてもその範囲が微動だにしないならばもうどうにもできない傷や剥がれだということです。
この傷の初期状態に気付かず、なんとか落とそうと頑張って余計に剥がれを広げてしまう人はかなり多い印象ですね。特に目にかかる部分を集中的にこするので、レンズの中央がひどい剥がれ方をしてしまうことが珍しくありません。
一度ついたダメージは元には戻せないので、こうなってしまったならあとはなるべくそのダメージを広げないように気をつけながら過ごすしかありません。
次に解説するポイントに注意しながら洗えば最大限寿命を伸ばすことが出来ます。
レンズコーティングに傷がつきにくい洗い方
レンズは落として硬い場所にぶつけたとかでもない限り、傷がつく主な原因は日々のレンズ掃除にあります。
よって、可能な限りダメージを抑えた洗い方を実践する必要があります。
レンズコーティングを長持ちさせるコツは、
掃除の時にレンズを拭く回数をなるべく少なくすること。
やり方としては、2段階に分けるのがオススメです。
・次に、ティッシュでレンズを優しく押さえて水分を拭き取りましょう。こすってもいいですがあくまでも優しく。
・最後に柔らかいメガネ拭きで拭き上げます。いつまでも雑にごしごししないで短めの往復でケリをつけるのが良いです。
水分がレンズに残ったままメガネ拭きを使うと、メガネ拭き側が水分を全部は吸いきれず、拭いても拭いても水滴がどこかに残ってしまって結局拭く回数が増えてしまうことになりかねません。なのでティッシュとメガネ拭きを併用するのが最も拭き上げ回数を少なくすることができるはずです。
その他の注意点として、ちゃんと眼鏡を洗っているつもりなのに何だかコーティングが傷むのが早い気がする人は次の点に当てはまってないか確認してみましょう。
◇お湯で洗っている
これは有名ですが、眼鏡はレンズフレームともに熱に弱いもの。
レンズは熱により膨張するのですが、コーティングがその膨張に耐えられないため剥がれやすくなってしまいます。たしかに汚れ自体は落ちやすいとは思いますが、洗浄はお湯ではなく水で行いましょう(水に近いぬるま湯ならそこまで問題はないかもしれませんが)。
◇強くこすっている
汚れが落ちにくいと感じると、ことさらレンズをグリグリ拭き上げる人がいます。
普段から掃除していれば、そんなに力を入れなくてもメガネ拭きで軽く挟むようにして動かすだけで十分です。なにかしらこびりついた汚れがある時は、クリーナーなどをつけてまず指でこするようにして落とします。
◇全部ティッシュで行う
レンズ掃除をティッシュのみでやろうとする人もいます。
ティッシュは水洗い後の水分を拭き取るのには向いているのですが、メガネ拭きに比べると繊維が荒く、水分が取れたから拭き状態ではむしろ傷をつけやすくなります。
◇メガネ拭きが古い
メガネ拭きの状態にも注意を払うべきです。
新品のメガネ拭きは全く問題ないのですが、しばらく使用していると布の繊維の中にホコリや砂などのゴミが段々と詰まってきます。洗いもせずに使い続けているとこのゴミが研磨剤の役割を果たしてしまうため、せっかく眼鏡専用クロスを使っていても効果が薄くなってしまう可能性があります。
◇中性以外の洗剤
メガネクリーナー以外の方法として、中性洗剤をぬるま湯に溶かして使う方法があります。
それはいいのですが、石鹸(酸性)やアルカリ性洗剤を使うと非常にコーティングに良くないので絶対にやめてくださいね。特にアルカリ性は一発でダメになる確率が高いです。
◇頻度が高い
眼鏡を常にきれいに保とうと、毎日毎日丁寧に洗ってくださる方もいます。
もちろんぞんざいに扱うよりはるかに良いのですが、あまりにも頻繁に洗いすぎるとそれはそれで傷みやすくなってしまうかもしれません。普段は軽めに拭き上げて、じっくりと洗うのは週一くらいでも問題ないかと思います。
コーティングダメージの見た目と要因
実際にコーティングの状態が悪くなったらどんなふうに見えるかもご紹介しておきましょう。
クラック
れんず屋
レンズが熱されたことによりコーティングが引き伸ばされ剥がれかけている。
原因:お風呂やサウナに入った、眼鏡をかけたままドライヤーをした、ストーブのそばに置いておいた、真夏の車内に放置した等
剥がれ
クラックが進んで完全にコーティングが剥がれてしまった状態。
原因:レンズを過酷な環境にさらし続けたり、傷や剥がれ始めに気付かず適当に拭き掃除をしているとなりやすい。
傷
東海株式会社
レンズをこすったり荒い布で拭き続けるとつきやすい。
原因:レンズ面を硬いものに触れさせている(テーブルにレンズを下にして置く・ケースの中に入れる時にメガネ拭き側にレンズを向けない等)、から拭きばかりしている、むき出して保管していてゴミがつきやすい。
シミ
Ito lens
いずれかの水分がついたときにしっかりと拭き取らないと水ヤケとして跡が残る。
原因:レンズ洗浄時に水やクリーニング液が残っていた、小雨のときなど薄くついた雨粒をふいてない、化粧品や整髪料や食事の際の料理の液ハネがついたまま。
見えにくいならいっそ剥がすのはどうなの?
コーティングに視界を阻害するほどの傷や剥がれが発生したなら基本的にはレンズ交換しか手段がありません。
しかしそれ以外で強引なやり方として、『どうせならコーティングを全部剥がしてしまえばキレイに見えるんじゃないか?』と考える人もいるかもしれません。
結論から言うとこれは確かにその通りで、全部跡形もなく剥がしてしまえば一見新品と見紛うくらいピカピカな状態にすることが可能です。
やり方はシンプルで、【セスキ炭酸ソーダ】【ハイター】【重曹】などのアルカリ性の液体に数日浸けておくことで、レンズコーティングを完全に剥がし落とすことができます。
ただしもちろんデメリットも大きいことは覚悟しておきましょう。
大きな変化としては、
・撥水コートがなくなるため、
『汚れがつきやすくなる』『傷がつきやすくなる』
・反射防止コートがなくなるため、
『レンズがギラギラ白く反射するようになる』
です。
特に反射に関しては顕著で、近視レンズなどは光を小さく集めて反射するためぎらつき感が物凄くなってしまいます。写真に写った時に目が見えないほど反射する時もありますし、夜間はレンズ裏側の照り返しが強くて視力に影響が出るレベル。
正直その先長く使用に耐える状態とは言い難いため、あまりオススメできるものではないです。
まとめ
ここまでの説明でお分かりの通り、レンズの傷・剥がれと汚れは似て非なるものです。
そこを意識しないままレンズの掃除を続けていると、結局は買い替え時期を早めてしまう羽目になりやすいと言えます。掃除をすることは大切な行動ですから、ぜひこれを機会にレンズ掃除のやり方を見直して眼鏡のレンズを長持ちさせるようにしていきましょう。