正しく選べばよく見える!ハズキルーペと老眼鏡の違いと選び方

CMでもお馴染みのハズキルーペ、知名度も随分上がりましたが、実際のところ老眼鏡とどう違っていてどっちを選べばいいのかという話はまだまだ浸透していないように思います。

お店にも「手元が見づらくなったからハズキルーペ下さい!」と元気よくいらっしゃる方が多いです。

でもちょっと待って下さい。
実は近くが見えにくい原因によっては、ハズキルーペではほとんど効果のないときがあるのです。

ここではハズキルーペと老眼鏡の違いと、自分はどちらを選べばいいんだろうという疑問にお答えします。
正しく選び方を知れば、今まで見えなかったものが驚くほど見えてくるかもしれませんよ?

ハズキルーペと老眼鏡って同じようなものじゃないの?

小さな文字を読む人

同じように見えて、実は結構違うんです。

なので目的に合わない選び方をしてしまうと、よく見えると思って買ったのに全然効果がない!ということがあるので注意しましょう。

 

ルーペは大きく見せる、老眼鏡はピントを合わせる

それぞれの特徴を簡単に言うと、

・ハズキルーペはものが大きく見えるように拡大している
・老眼鏡は見たい距離のものがよく見えるようにピントを合わせてくれる

ハズキルーペのほうはわかりやすいですよね。
手で持つ虫眼鏡(ルーペ)とやっていることは同じです。
対象を大きく拡大するので、小さすぎて見えない場合に効果を発揮します。(実はルーペにもプラス度数が入っているのですが、拡大する効果がメイン)

老眼鏡は近くを見る際のピントを合わせる力がなくなってきた方に有用です。
ピントを合わせるには目の中の筋肉を使うので、加齢で衰えた筋力の代わりを老眼鏡がしてくれるというイメージがわかりやすいかもしれません。

 

どっちを選べば見やすいか

ルーペでパソコンを見ようとする人

さて、それでも実際どちらを選べばいいのかと言われると考えてしまいますよね。
もしくは既にどちらかを使用しているんだけど、思ったより見えなくて困っているという方もいると思います。

まず、あなたの目が近くを見えないのは何故か、その原因を考えてみましょう。

 

基本は老眼鏡で補正する

前述の通り人間の目は近くを見るとき、目の中の水晶体というレンズを毛様筋を使って厚くすることで近くを見やすい状態にします。

若いときは余裕でこの筋肉を動かせるので、近くを見るのに困ることは少ないでしょう。
しかし歳を取ると筋力が落ち、自力でこの厚みが変えにくくなって前まで見えていた本が読めなくなった、ということが起こるのです。

つまり目の筋肉が頑張れなくなったか、ものすごく頑張らないと見えなくなった、が老眼の正体です
老眼鏡は、頑張らなくても楽に見えるように手伝ってくれる道具と考えて下さい。

この衰えは40歳あたりから始まると言われています。
なのでそれより歳が進んでいる方で近くが見えないのなら、まず老眼鏡の使用を考えて下さい。
そうでないと、見たい距離にピントを合わない=ぼやんと滲んだ視界でものを見る羽目になります。

 

老眼の人がハズキルーペをかけたらどうなる?

ぼやんと滲んだ視界」が「大きく拡大」されます。

ぼやんとしたままでも、文字が大きければ読めたりしますよね?
だから、老眼の人にもハズキルーペは一定の効果があるといえます。

ちなみに先程も書いた通りルーペにもいくらかのプラス度数が入っているため、偶然あなたが必要とする矯正度数と合致している場合はピントもある程度合う可能性もあります。しかし大抵はそうはならないでしょうから、筋肉が頑張り続けている状態は変わらず、仮にある程度見えるようになっても目の負担が相変わらずかかり続けているのです

また、乱視がある人の場合もやはりメガネの方でしか矯正することは出来ません。
乱視はものが二重に見えるので、ルーペをかけても二重になった状態が大きくなるだけです。

これも目にとって快適とは言い難いでしょう。

 

じゃあハズキルーペが必要なのはどんなとき?

見たい対象が小さすぎて見えない時です。

例えば裁縫で針の穴に糸を通すときであったり、精密な作業が必要になる仕事をしていたり、そういう人は普段見ないような小さなものを見なければいけません。

そういった時に老眼鏡でどんなにばっちり目の補正が出来たとしても、小さすぎることが見えない原因なら「拡大して見る」必要があるでしょう。

 

老眼鏡とハズキルーペの同時使用はアリ?

もちろんアリです

ハズキルーペはメガネの上からでもかけられるように作られています。
大きめのメガネをかけているならハズキラージを、メガネのサイズが小さいならハズキコンパクトあたりでも問題ありません。

老眼鏡で見え方の滲みやぼやけを矯正し、ハズキルーペでそれを大きく拡大する
うまくいけばとても良く見える状態を作り出せるはずです。

 

これから購入を考えている人はこうやって探そう

バッチリ見えてOKサインをする人

老眼鏡 or ハズキルーペ?

遠くは見えるが、近くのものは全般的に見えない
→まず最初に老眼鏡を作るのがオススメです。
近くが全部見えにくいなら、これはもう調節筋力の衰えが確実でしょうから。

裸眼(もしくはメガネ)で本や新聞は読めるが、もっと細かい作業に苦戦する
→シンプルに見たいものが小さすぎて見えにくいならハズキルーペの出番です。
店頭にハズキルーペのサンプルが置いてあるお店(眼鏡屋等)に行って、3種類ある倍率を順番にかけてみましょう。

ハズキを試しがけしてみたけど、どの倍率でもイマイチな感じがする
→視界を拡大しても見えにくいなら、それはピントが合わないことによる視界のぼやけの影響が大きいと言えるでしょう。
ハズキでカバーできる度数と離れている、乱視が強い、左右で度数が違うなどの理由が考えられます。この場合もまずは検査を受けて老眼鏡を作る方向で動いてください。

前に作った老眼鏡はあまり見えないんだけど、ハズキルーペなら見える
老眼鏡の度が合ってない可能性が高いです
時間が経って目が変化したか、もともと使いたい距離を意識せずに度を入れてしまったのかもしれません。
もちろんルーペで間に合うならそのままでもいいですが、ベストの老眼鏡を作るともっと目に優しく見えるようになる可能性があります。

 

ハズキルーペの拡大率の選び方

老眼鏡を選ぶ場合は眼鏡屋さんで検眼をして度数を決めてもらうのでここでは割愛します。
ではもうひとつのハズキルーペを使ってみようとなった場合はどうでしょうか。

ハズキルーペには、
1⃣拡大率
2⃣サイズ
3⃣フレーム色、レンズ色
においていくつか選択肢が存在します。

重要なのは1⃣の拡大率ですね。下で詳しくまとめていますので目を通してみて下さい。

2⃣のサイズや3⃣の色は単純にお好みのものを選んでもらえれば大丈夫。
・サイズは大きい方から「ラージ」「コンパクト」「クール」。
単純に縦幅が大きいか小さいかの差です。大きいほど視界は広いですが気持ち重くなります。
・色はフレームが10色、レンズはクリア(色なし)とカラーレンズの2種類。
カラーレンズはやや赤みがかったブラウンカラーが入っていて視界が鮮やかになるため、文字がくすんで読みにくいと感じる人はカラーにしてみるとはっきりと見えるようになるかもしれません。

 

1⃣拡大率
拡大率①作業距離②度数③フレームPD④プリズム⑤視野
1.32倍50~70cm以下+1.25D48mm

約1△(プリズム)

61mm*2
1.6倍30~40cm以下+2.50D47~48mm約2△(プリズム)61mm*2
1.85倍22~28cm以下+3.50D42mm約3△(プリズム)54mm*2

拡大率は以上の3種類で、それぞれの特徴を表にしてみました。
なんとなくイメージできる項目と何だかよくわからん項目があるかと思いますので、順番に見ていきましょう。

まず①の作業距離
拡大率が大きいほど作業距離が短くなっているのがわかりますよね。

つまりどの距離の対象物を見たいかで拡大率を決めるのが基本ということ。
裁縫の針穴に糸を通したり非常に小さい部品を組み立てるお仕事などでは、かなり目を近付けて作業する必要があるでしょうから1.85倍が合うことが多いです。
逆にテーブルに広げた新聞や書類の文字を見るのが主目的なら、大体50cmくらいは離れるので1.32倍より大きい拡大率では逆に見えにくくなる可能性が高いです。つまり拡大率は大きければ大きいほど見えるとは限らないわけです。ここはぜひ注意しておきましょう。

②の度数も曲者です。
繰り返しますがハズキルーペにも度数が入っているので、本来必要としている度数とかけ離れていると見えにくくなっていきます。
平均的に、1.32倍の+1.25Dというのは50歳以下、1.6倍の2.50Dは55~60歳、1.85倍の+3.50Dは65~70歳以上の方にかみ合う度数となっています。

つまり、例えば50歳の方が20cmくらいの至近距離で作業をしたいからといって1.85倍を選んでも、入っているプラス度数が強すぎてぼやけが悪化し、逆に全然見えないということが十分に有り得ます。この場合は1.6倍や1.32倍に拡大率を下げた上で、やや距離を離して見るようにすると見え方が改善すると思われます。

③のフレームPD④のプリズム⑤の視野は一応記載してみましたがあんまり気にしなくて大丈夫。まあオマケの要素だと思って聞いてください。

○フレームPDとは左右レンズの中心点を結んだ距離のこと。その中心点が一番歪みが少なく見やすいポイントなため、人間の黒目がぴったりその位置にくるのがベストとされています。
実はハズキルーペのフレームPDは実際の人間の黒目の距離より少なく設定されています。これは近くを見るときに寄り目になることを計算に入れた数値になっているんですね。

また拡大率が高いほど強いプリズムが入っていることで、かなり近い距離を見るときでも無理に寄り目にし過ぎずに済むという効果があります。
たまに「雑貨屋で売っているハズキの類似品だとよく見えないけど、ハズキルーペならすごく見やすい」という声があるのは、このあたりが要因なのではないでしょうか。

○拡大率が上がるほどレンズが厚くなっていく(=歪みが強くて用をなさない)ため、ハズキルーペは厚くなりすぎたレンズの外側をカットしています。
つまりカットした内側のエリアが実際に使用可能な視野と言えます。1.85倍は他の2種に比べてカット部分が大きく、やや視野が狭いことに留意して下さい(まあそんなに広い視野は必要ないので困ることは特にないでしょうが)。

 

大切なのは見えない原因を把握すること

繰り返しますが、近くが見えない原因によって対処の仕方は違います。

ここを意識せずに単純に老眼鏡もしくはルーペを選んでしまうと、せっかくよく見えるようになるとワクワクして買ったのにガッカリ、ということになりかねません。

お店に行けば老眼鏡もハズキルーペも試しがけをすることができます。
なので、まずはお店の人と相談して原因を把握することが重要です。