あなたのカラコン使用頻度はどれくらいでしょう。外出時はいつもつけてるー、ならほとんど毎日かもしれませんね。
ところで、度数やベースカーブ(BC)は見ても、酸素透過率を気にしたことはありますか?
パッケージに書いてなかったりもするのでなかなか印象に残りづらいふたつの数値ですが、実はコレ、目の病気やつけた時の見た目のキレイさに大きく影響する大事な数なんです。
酸素透過率でカラコンの映え方がどう変わるかを知って、いつまでも輝く瞳を手に入れちゃいましょう!
あなたの目も元気に呼吸している
皮膚呼吸ってありますよね。
あれと同じで、眼球もその表面から酸素を取り入れてるんです。
目の表面には角膜というカメラのレンズのような組織があって、ここが機能することで正しく目が見える状態になるわけです。
角膜が酸素を取り込むには涙の水分が必要なので、コンタクトレンズをすることで角膜を覆ってしまうと十分な呼吸が出来なくなってしまいます。
酸素不足で何が起こる?
目が呼吸不足に陥ると、様々な弊害が発生します。どれも決して見過ごせないものなので、当てはまっているものはないか確認しましょう。
分かりやすい症状としては、目の乾燥が挙げられるでしょう。
実際お店にくるお客さんでもコンタクトの使用頻度が高い人ほどドライアイに悩まされている傾向があります。
目はパッチリ可愛いのにやたら瞬きが多くて、話してる間も忙しなくパチパチパチ…。
せっかくカラコンつけてるのに瞬きばかり印象に残ってもったいないなあと思ってしまいます。
コンタクトをつけ始めてから目が充血するようになったと感じる人はいませんか?
角膜は涙液から酸素が十分手に入らなくなると、それを補うために周囲から血管を伸ばして血液から酸素を補おうとします。
結果、いつも充血したような目になってしまうのです。
酸素不足により、まず角膜表面の角膜上皮細胞という部分が影響を受けます。
栄養が足りなくなってぽろぽろと剥がれやすくなっていくのです。
ここも皮膚と同じで細菌などの侵入を防ぐのが最大の役割ですから、荒れてしまえば感染しやすくなってしまいます。
酸素不足に対してなんの対策も取らないでいると、眼細胞は酸素も栄養も足りないシワシワ状態になっていきます。
すると元気のない疲れた目になってしまうのです。
せっかく目元周りに施したお化粧も、瞳自体に輝きがなくては台無しというもの。
あなたの目に酸素はしっかり行き届いているか、しっかりチェックするのが良いでしょう。
高い酸素透過率でイキイキした瞳を守る
目を覆っても呼吸が出来るように、コンタクトレンズは酸素をなるべく通すような構造になっています。
その通す割合を数字で表したものが酸素透過率となります。
酸素透過率=「DK/L値」
ではどのように見ればよかと言うと、「DK/L値(DK/t値)」という表記に注目して下さい。
レンズによってこの数字はかなり違い、DK/L=30などと書かれています。
この数字が大きいほど酸素を通しやすく、目のトラブルを押さえやすいと言えるでしょう。
「D」はレンズの中で酸素がどれくらい移動しやすいか、
「K」はレンズの外側から酸素をどれだけ取り込みやすいかを表しています。
最後の「L」はレンズの厚みのことですね。
このDKをLで割った値を酸素透過率と呼びます。
つまりレンズが薄いほど、酸素が角膜まで辿り着く確率が上がるというわけです。
このDK/L値はレンズの素材によっておおよその傾向が決まってきます。
素材の違いが酸素透過率の違い
■HEMA(ヘマ)
従来品によく使われていて、ヒドロキシエチルメタクリレートという素材で作られています。
水分を含むことで柔らかくなり、快適な装着感を得られるのが特徴です。
その代わりに酸素透過率は低いです。
レンズ自体が酸素を通しにくい分、水分を介して酸素を取り込む設計になっているため、全体的に含水率は高い傾向にあります。
含水率が高いということはレンズから蒸発する水の量も多くなるので、目の水分がレンズに吸われて乾燥しやすいというデメリットに気をつけなければいけません。
■シリコーンハイドロゲル
素材自体が酸素を通しやすいので、含水率に頼ることなく目に酸素を供給することができます。
目の負担が軽いので、長時間コンタクトをつけても疲労を感じにくいでしょう。
低含水率なので乾燥しにくく、目の充血も防ぎやすいレンズです。
一方、HEMAに比べて硬めの素材であるため、シリコンに変えてはみたものの装用感が合わずにHEMAに戻した、という人は一定数見かけます。
またメイク汚れなどが付着しやすい性質なので、汚れを落とさない洗浄を意識する必要があります。
カラコンを使いながら目を守る方法
上記のシリコーンハイドロゲルのような、高透過率のレンズを選ぶのが最も良い方法です。
なので、カラコンを購入する際にはDK/L値がいくつなのかを確認してから買うようにしましょう。
…と言いたいのですが、このDK/L値、実は全ての商品で公表されているわけではなかったりします。
箱やホームページにも記載がないものもあるので、調べるのがなかなか大変。
なので私の方で確認出来るカラコンで代表的なものを一覧にしておきました。
ぜひ買う時の参考にして下さい。
商品名 | DK値 | DK/L値 | 含水率 | DIA(レンズ直径) |
ネオサイト1D シエルデュウ | 28 | 40.0 | 58% | 14.2mm |
1Dアキュビューディファインモイスト | 28 | 33.3 | 58% | 14.2mm |
エバーカラー1D ナチュラルモイストレーベルUV | 11 | 13.75 | 42.5% | 14.5mm |
ビューム1day | 11 | 13.75 | 42.5% | 14.2mm |
ネオサイト1D リングUV | 11 | 13.75 | 42.5% | 14.0mm |
ジルスチュアートワンデーUVM | 19.73 | 24.66 | 58.0% | 14.2mm |
2wアキュビュー ディファイン | 28 | 33.3 | 58.0% | 14.0mm |
DK/L値は各メーカーがそれぞれ算出しているので、多少基準にばらつきがあります。
よって表は参考値として考えて下さい。
意外と不足しがちなのがレンズの洗浄。
毎日帰宅してカラコンを外したら、しっかり洗浄液でこすり洗い、すすぎ、消毒を行ってください。
特にカラコンを使用する女性は、お化粧の粉が目に降り注いだり手にクリームがついた状態でレンズを触ってしまったりと、レンズに汚れが付きやすい環境にあります。
汚れが残るほど瞳への悪影響は大きくなるので、今一度レンズが清潔かどうかを気にしてみて下さい。
他にも保管ケースの洗浄を見落としがちなので、忘れずに行うようにしましょう。
酸素透過率の高い低いに関わらず、レンズと瞳は潤いを必要としています。
通常この潤いは、まばたきをすることによって涙液を眼球表面に行き渡らせる仕組みになっています。
しかしパソコンやスマホを使用中はこの瞬きの回数が1/3に減るという調査があるように、現代人は慢性的に潤い不足であると言えるでしょう。
よって意識して瞬きを多めにすることで、水分不足に陥る可能性を減らしていくのが良いと思います。
もちろん目立つほど行う必要はないですよ。
酸素透過率どころかベースカーブや度数までも勘で選ぶ人。
目にかかっている負担は相当なのではと、眼鏡屋さんとしては心配してしまうのです。
たまにでいいですから。
低い酸素透過率を使う場合は何に気をつける?
さて、ここまで酸素透過率の重要性を見てきましたが、
・シリコン素材がイマイチ目に合わない
・今までのレンズに慣れてて変えると違和感
・値段が高くて気軽に使えない…
など、従来品に近い方が都合が良いという場合もあると思います。
気持ちよく使えるというのも大事な要素ですから、そこを無視してまで酸素透過率の高いレンズを使用しなければならない、というわけではないので安心してください。
その代わり、使い方で足りない酸素のフォローをするようにするのが良いでしょう。
上で紹介したやり方に加え、次のことにも注意して使用してみてください。
・長時間使用しない
コンタクトレンズは長時間使っていれば、どんなレンズでも水分は失われていきます。
朝に装用した直後に比べて、夕方なんだかゴロゴロするように感じたならそのあたりが原因です。
酸素透過率が低いということは含水率が高いことが多いので、瞳の乾燥しやすさに拍車がかかります。
朝から晩までではなく、コンタクトが必要なときとそうでないときを見極めて、可能なら眼鏡と併用するなどして装着時間を短めにするようにして下さい。
・目薬で酸素を目に送り込む
上で瞬きが重要と書きましたが、それでも足りない場合は目薬を利用しましょう。
目薬には栄養素や蒸発を防ぐ成分などが入っているので、ただ目を水で濡らすのとは段違いの保湿性を誇ります。
しかし添加物が多すぎるのも問題なので、なるべく涙と近い成分で自然につけられるような目薬を選んで下さい。眼科医に相談するのも良いと思います。
・DIA(レンズ直径)を小さめにしてみる
もう一つの手段として、レンズが目を覆って呼吸が出来ないのならそのレンズのサイズを小さくしてしまえ、というものがあります。
DIAという数値で表され、着色直径が瞳の盛れ方に影響するとしたら、DIAは主に装用感の差となって現れます。
上図の表にDIAも載せておきましたので、そこを参考に小さめの直径のレンズを使用候補に入れて検討してみて下さい。
まとめ
細かいことを気にしなくてもコンタクトレンズは使えてしまいますが、それよりもう少しだけ気をつけることを増やせば、潤いのある元気な瞳をずっと保ち続けることができます。
キレイな目はいくつになっても人を惹き付けるものですから、大事な目が酸素不足にならないよう、レンズの選び方を改めて考えてみて下さい。