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赤いメガネの彼女

とても興味深い営業職の人がいた。

「このメガネをかけているとすぐに顔を覚えてもらえるんですよ。」

確かに彼女は赤いクリアカラーの少し変わったメガネをしていた。ここで着目すべきは彼女がメガネを「顔を覚えてもらうためのツール」として利用している積極性である。

つまり彼女は自分があまり印象的ではない顔立ちであることを理解した上で、赤いメガネという前衛的なアイテムを使い、弱点を補完しているのだ。

およそメガネを極めようとする真摯な人の姿ほど心を打つものは無い。

メガネは視力矯正の器具でありファッションアイテムでもあるわけだが、ここではそういった役割を超越した新しい可能性が見え隠れしている。

営業職の人間にとって取引先に顔を覚えてもらうのはまず第一にクリアしなくてはならない仕事だ。これがなかなか難しい。

よほどダイナミックな顔をしているのなら別だが、印象に残る営業はあまり見たことが無い。つまりみんな似たり寄ったりということだ。

彼女は言われるだろう。

「あのなんか赤いメガネの人来てるよ。」

こうなってくると名前を覚えてもらうのも時間の問題だ。

営業ツールとしてのメガネ。従来の役割を果たしつつ、生計をもサポートするけなげな姿を見ていると、わたしは涙が止まらなくなる。

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